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2025年12月12日 (金)

もの派の女性作家?

正岡子規の俳句が知られるようになると、そうか、なんでもない日常を写生すれば俳句になるんだな、と勘違いする人が多く、巷に駄句が溢れたことは有名であるが、美術でも同じようなことがある。

中嶋泉の『アンチ・アクション』は、戦後の女性画家を紹介している。読み始めたばかりだが、戦後の現代美術を概観する記述が興味深い。戦後すぐに、アンフォルメル旋風というのが起きた。アンフォルメルだから、何らかの形象もモチーフもないような絵画が紹介されると、アンフォルメル風の作品が溢れかえった。今ではアンフォルメルというのはほとんど評価されることがなくなったが、現在でもアンフォルメルの残党のような作家が少なからず居て、駄作を作り続けているようだ。

アンフォルメルの時代に草間彌生や田中敦子のような女性作家が現れるのだが、次に、アクションペインティングが流行ると女性作家は場外に追いやられる。この時代のキーワードは「物質」と「アクション」である。アクションペインティングというのはきわめて男性的な表現なのである。もちろん、女性作家もそれなりに活躍していたわけだが、正当に評価されることは少なかった。女性の作家がちゃんと評価されるのは難しかったし、ある意味では今でも同じなのかもしれない。

上條陽子は1978年に安井賞を獲った。女性では初受賞だった。そのとき、所属していた団体展の中で、まあやっかみというかひがみというのがありいじめられたのである。いろいろ言われたらしいが、ひとことで言うと

「女のくせに生意気だ」

というのだ。団体のなかでは若手だったわけだし、そうとう大変だったらしい。ノイローゼ気味になり、フランスに遊学する。帰ってきてからも作品が描けなくなる。そこで、団体を飛び出して、どこにも属さない現代美術に発表の場を移し、作品も変わっていくのだ。

「アクション」は男性的な表現なのだが、「物質」というのはどうなんだろう。「物質」をテーマにした作品群は、もの派と呼ばれるようになるわけだが、よくよく考えてみれば、もの派も男性的な表現なのかもしれないね。もの派の女性作家っていたっけ?わたしは思い浮かばない。だれか、知っていたら教えてほしい。

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コメント

池田龍雄さんが、アンフォルメルが流行って、そんな作品が大量に出品されて読売アンデパンダン展が終了したのだと語っていました。

投稿: 曽根原正好 | 2025年12月13日 (土) 13時19分

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