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2025年2月21日 (金)

ことばを探す

2月18日(火)

毎週ギャラリーに顔を見せてくれるKさんが来る。かれは美術愛好家でギャラリーをまわっている。毎週来てくれるので、案内状は出していない。長居はしないでぐるっと見渡して黙って帰るのがいつものパターンなのだが、今日は案内状について質問してきた。

「ときどき案内状にいろんなことばを載せてますけど、よく本読むんですか?」

「まあ、読みますよ」

「今回のことばもいいですねえ」

「気に入ったことばを見つけるとメモしておくんですよ」

今回のことばというのは「風景あるいは絵画」の案内状に載せた富岡多恵子の『植物祭』から採った

それは思い出ではない。

事実だったことは

まだ思い出にならない。

である。

「富岡多恵子って、今は知ってる人あまりいないでしょうね」

「そうかもしれません」

これは、今回の展覧会のタイトルに合わせて選んだフレーズなのである。

どこをどういう風に「合わせた」のか、それは自分で考えてみてね。

事実→思い出

風景→絵画

これがヒント。

「吉岡さんが選ぶことば、楽しみにしてるんですよ」

「え、そうなの?じゃあ、がんばって載せなくちゃ」

これを楽しみにしてる人が居るなんて、うれしい限りである。

4月のアートカクテルのDMができているので、それを渡した。丸山薫の詩の一節を載せてある。

鉛筆が買えなくなっても

指で書くから いい

ノートブックがなくても

空に書くから いい

「どうですか?」

「イケてますね」

2月20日(木)

「こんにちは、リュウです」

と言って、若い女の子が入ってきた。

「このあいだシェリーさんと一緒に来たリュウです」

ああ、そうか思い出した。展覧会をやりたいと言って、唐さんと一緒に来た子だ。

二人展をやりたいと言っていた。今日はもう一人の子、スウさんも来た。

唐さんは、みんなにシェリーと呼ばれている。

「シェリーは寮の先生なんですよ」

「え?寮?」

唐さんは留学生の寮の寮母さんとかなんだろうか?ご飯作ったりしてて。

「あ、間違いました、塾です、塾の先生でした」

塾というのは、海外からの学生が、日本語を学ぶ予備校のことである。

シェリーはそこで教えているのだ。バイトだね。そういえば、芸大の博士を出るわけだから、就職どうするんだろう?4月までにはなんとかしないといけないんじゃないかな…

二人は、リュウ・チセンとスウ・シネイ。女子美の大学院に留学している。二人の名前は漢字表記でなくカタカナにする。パソコンに入っていない漢字があるから、それなら全部カタカナにしようと決める。リュウさんはもうすぐ2年生、スウさんは4月から入学。作品もしっかりしている。

今年の6月が空いていたので、そこに二人展を入れた。

「展示台はありますか?」

「うちはないのよ。だから展示台使うときは自分で用意してね」

「大学から借りられると思います」

「ここまで階段で運ぶのが大変だから、力のある友達に頼んだほうがいいよ」

「女子美は女しかいないんですよ」

「じゃあ、力のある女子を連れてこよう」

「リュウさんて、今何歳?」

「もう27なんです…」

若いって、こっちまで元気になるねえ。

 

 

 

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