青い黒板
8月21日(水)
新幹線で山形へ。
グループホームに居る母を連れ出して、お墓の掃除をして花を活けてから、妻の運転で上山温泉に一泊する。財布が盗まれた、保険証もないなどと繰り返してずっとしゃべっているが、わたしと妻の名前が出て来なくなっている。足腰は弱っているが元気である。宿の料理も全部は食べられなかったが、ちゃんと食べられた。91歳である。
8月22日(木)
宿で朝食を食べてから、斎藤茂吉記念館に行く。初めて行ったのだが、立派な建物でびっくりした。茂吉は絵も描いてたんだね。玄人の絵だった。
茂吉が、山形で詠んだ歌集を買う。
『山形県内詠作品集』(斎藤茂吉記念館 1993年)
斎藤由香の本も買う。斎藤由香は茂吉の孫である。
『猛女とよばれた淑女』(新潮文庫 2011年)
『窓際OLトホホな朝 ウフフの夜』(新潮文庫 2008年)
昼食はわたしの希望でヤマザワのラーメンを食べることにする。ヤマザワは山形でいちばん大きなスーパーマーケット。何店もある。以前、「ケンミンショー」の番組でヤマザワが紹介された時に、フードコート「ひまわり」のラーメンが美味しいということだったのだ。350円ですごく美味しいと言っていたからだ。
わたしはひまわりラーメンを頼む。450円になっていた。450円にしてはかなり美味しい。母は冷やし中華、妻は冷やしラーメン。
母をグループホームに届けたあと、車で月山に向かう。山の上はちょっとだけ涼しい。
宿でのんびり過ごす。
8月23日(金)
朝ご飯を食べて、道の駅「にしかわ」で買い物をしてから、丸山薫記念館に寄る。山の上に寂しげに建物は建っていた。「開館中」という札の掛かっている戸を開けて、こんにちは!と言うが誰も居ないようだ。冷房は効いていなくて暑い。もう一度、少し大きな声でこんにちはと言うと、奥の方から受付のおばあさんが出て来た。いらっしゃませ、遠くまで来てもらって…と言い、館内の電気をつけた。入場料200円。汗を拭きながら館内を見てまわっていると、さきほどのおばあさんが、
「なんにもないげんと(何もないですが)」
と言いながら冷たいお茶を持って来てくれた。冷えすぎているくらい冷たかった。
入口で詩集を売っていたので購入。600円。おばあさんに、これください、というと、
「なんぼだっけ?」
と言う。
「600円です」
とわたしが言ってお金を渡す。
『緑の教室』(西川町教育委員会 1991年)
これは西川町の小学生のために作られた副読本であるらしい。丸山薫は大分の生まれで、山形とは関係が無かったのだが、戦時中、西川町に疎開してきて、岩根沢国民学校の代用教員になるのだ。以前、倉重光則が奈義町現代美術館で個展をしたときのカタログにわたしは丸山薫の詩を引用しながらテキストを書いた。丸山薫は山形ではみんな知っているのである。
月山山菜そばを食べてから帰途につく。
『緑の教室』を開いてみる。
最初に「青い黒板」があった。この詩は16行だが、最初の4行で、胸がいっぱいになってしまった。
鉛筆が買えなくなっても
指で書くから いい
ノートブックがなくても
空に書くから いい
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コメント
「青い黒板」ネットに載っていました。
https://blog.goo.ne.jp/heihoroku/e/c4e7404085eb2176d3a37a0d8205759c
投稿: 曽根原正好 | 2024年8月24日 (土) 20時35分