ランチビール
一昨日の土曜日に、ランチのブログを書いたすぐあとに、Sさんがビールをお土産にギャラリーに来る。ビールを飲みながらのランチいいよなあと思っていたところだったのでナイスタイミング。Sさんは、わたしがベーチェット病で女子医大に入院した時の担当看護師。いつもビールを持って来てくれてバルコニーで飲む。
「女子医大の時は、あたし25だったのよ」
「年取るよねえ…」
あれからもう30年近く経ってしまったのだ。
Sさんは以前、旅行でニューヨークに行ったときに美咲ちゃんと会ってお世話になったので、今回の個展にも来てくれたのだ。
缶ビールを半分ずつに分けて飲む。ランチビール美味い!
Sさんが帰ったあと、中村ミナトがアートカクテル用の作品を持って現れる。新作である。アルミチューブを加工して作ってある。タイトルが「目処はたたない」で、これは原発の廃炉がモチーフである。
そういえば、今井さんが作品送って来たよ、見てみる?
以前、今井由緒子の「MARBLE HIP」という作品について書いた。50年前の大理石の作品である。ところが、今井さんから電話があり、作品は一つしか見つからなかったから、あと2点は作った、とのことだった。え?作ったの??今井さんは若い時は石の彫刻や、金属を使って作品を作っていたが、最近はもっぱら木を使っている。彼女は80歳をとうに過ぎているのに、再び石彫用のノミをふるったということなのだ。信じられない。
作品はそれほど大きくはないのだが、重くて片手では持てない。台座もあって、これも御影石でできているのでやはり両手を使わなければならない。
アートカクテルは4月17日(水)スタートである。初日のこの日は、特にパーティーなどは予定していないが今井さんが長野から出てくるというので、ワインぐらいは用意するとしよう。ミナトさんも来るので、お時間のある方はぜひ17日の夕方においで下さい。
土曜日なので、ギャラリーは5時で閉めて、そのあと教文館に本を探しに行く。
3冊購入。
モーパッサン 『脂肪の塊・テリエ館』(新潮文庫)
清岡卓行 『アカシヤの大連』(講談社文芸文庫)
葛西善蔵 『哀しき父/椎の若葉』(講談社文芸文庫)
カウンターの店員さんに渡す。書店の店員さんというのは、お客がどんな本を選んだかで、その人の読書のレベルを判断する。書店員て怖いのよ。
わたしの3冊を見て、彼は「ほう、なかなか通ぶったものを選ぶじゃないの」と思ったのかもしれない。カウンター越しの真剣勝負なのである。
剣豪というものは、その構えを見ただけで実力がわかるものだが、彼も剣豪であった。
「アカシヤの大連ですか……これは第62回の芥川賞ですね」
げっ!!負けた。負けました。
これだけで彼がどれくらいの読書家かわかってしまうのだ。
わたしは
「心して読ませていただきます」
と言ってカウンターを離れた。
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