« 1月の疲れ | トップページ | 倉重弟 »

2024年1月27日 (土)

もの派

1月26日(金)

倉重光則と勝又豊子が来てしばらくおしゃべりをしていく。小野田くんの話になる。倉重が評価する作家で、今スイスで展覧会をやっているらしい。二人が、アトリエ・Kに行くというのを見送ってしばらくすると、小野田くんがギャラリーに入って来る。

「箱舟展でご一緒させていただいた小野田です」

わたしは初めて会う。小野田賢三、ご存じのない方も多いと思う。コンセプチュアル系の作品を作っているが、海外での発表が多いので、国内ではなかなか見られない。

「今バーゼルで展覧会やってるんじゃないですか?」

「そうなんですけど、いろいろあって向こうには行けなかったんです」

彼と一緒に若い女の子がついてきている。中国人の留学生で陳さん。芸大でもの派について調べているという。日本語もなんとか会話できる。

「李禹煥についてはだいたい調べ終わって、書きました」

「菅木志雄は?」

「スガキシオ?」

「そう」

「ああ、わかります」

スガキシオと聞いてもわからないが、漢字で書くとすぐわかるのだった。

もの派は、彼女の生まれる前が全盛期だったわけだ。それを今研究しているというのはエラいと言わねばならない。

三人で原口典之や倉重の話をする。倉重は作品によってはもの派なんだけど、本人は認めない。

「70年代とか、80年代って、ギャラリーとかどんな雰囲気だったんですか?」

もの派の作品だけを見てもわからないことがいっぱいあるのだ。

「当時はインスタレーションばっかりでさ、絵画で個展とかやると、何、絵なんか描いてんの?ってバカにされたよ」

そういう時代だった。

「アルテ・ポーヴェラとかもいっしょに調べた方がいいかもね」

せっかくなので、この間作ったわたしのミニカタログをあげる。倉重とかもテキスト書いているから。わたしのテーピングの作品も実はもの派なんだよ、と説明する。

「もの派にすごく影響うけててさ、おれ、隠れもの派なんだよ。この作品はさ、遠くから見ると絵画ふうのイメージだけど、近づくとテープのモノとしての存在が前に出てくる」

「あああ!なるほど、そうですねえ!わかります」

わたしのテーピングのもの派的なところをすぐに理解してくれた人は初めてだ。

カタログをぱらぱらめくっていた陳さんは

「あ!この人知ってます!」

と声をあげた。霜田誠二が書いたテキストのページだった。

「パフォーマンスの人ですよね?私はワークショップを受けたことあります」

さすが霜田誠二である。海外では有名人なのである。

 

それにしても今週は寒い。明日の日曜日は久々の休みだから、マッサージを受けて思い切りのんびりしよう。

 

|

« 1月の疲れ | トップページ | 倉重弟 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 1月の疲れ | トップページ | 倉重弟 »