麦とホップ(黒)
朝夕がだいぶ涼しくなってきた。10月だもんなあ。あと3か月で今年も終わるが、ギャラリーはあと10本の個展がある。来週は守屋美加。若手有望株である。不思議な風景画を描いてきた守屋だが、今回は抽象っぽい作品も並びそうだ。そもそもこの人には具象とか抽象とかの区別がないように思われる。そのへんが楽しみでもある。初日は祝日なので、作家は在廊するはずである。ぜひ足を運んでください。
気温が下がると身体は楽になるが、なんか疲れが出やすくもなっているようだ。疲れた時は柑橘類が効く。今朝は、南アフリカ産のグレープフルーツを買った。これから食べるのだ。
栗原康の 『はたらかないで、たらふく食べたい』(ちくま文庫)読み終わる。面白くて元気になる。いちばん心に残ったのは、山谷の越年闘争に行ったときのことだ。越年闘争とは、山谷の日雇い労働者が安全に年越しが出来るように、小屋を作って暖をとったり、炊き出しをしたりする活動だ。栗原さんはこれのお手伝いに行く。ところが、炊き出し用の薪を作る作業をするのだが、力がなくて全然できない。炊き出しでニンジンを包丁で切ったら、指を切ってしまい、これもできずに、何もすることがなくなったので、焚火のそばで煙草を吸っていただけだったのだ。
飯が出来上がる。モツ煮のぶっかけ飯である。美味そうだ。あるおじさんが、栗原氏に、おまえも食えよと丼を差し出すのだが、いやいや、わたしは何もできなかったからと遠慮する。働かざるもの食うべからずという資本主義を否定して、はたらかないで、たらふく食べたい、と言っておきながらの遠慮である。案外気が小さい。おじさんはこう言う。
「ここはそういうやつが食っていいとこなんだぜ」
と言う。
「どうだい、あじは?」
「最高です」「いやあ、ぼくなんてきょうみたいになんの役にもたたなくて」
「エッヘッヘ、いいんだよ、きてくれるだけで」
この本の表紙の裏に、栗原康の略歴が書いてあって、これがセンスよかった。この略歴を書いたのは編集者だと思うが、その遊び心が楽しい。
1979年埼玉県生まれ。東北芸術工科大学非常勤講師。のあとに、著書がずらーっと書いてあって、「など」と締めくくられる。そのあとに、オマケの1行が書いてある。
好物に「いきなり!ステーキ」、「麦とホップ(黒)」などがある。
この「などがある」がいいよね。編集者やるなあ。
今日は帰りに麦とホップ(黒)を買ってみるかなあ。
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