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2023年9月 6日 (水)

勇気

今日から有坂ゆかり展。まだ台風は来そうにないから大丈夫だね。有坂作品は油絵なのだが、今回、紙に木炭で描いたドローイングも2点用意した。本人は出したものかどうか迷っていたが、わたしが出した方がいいと言って、マグネットを使って展示した。なかなかよいではないか。油絵のほうもブルーを基調にうまくまとめてある。

有坂さんは毎日在廊できるようにすると言っている。ただ時間は夕方4時ごろからになるようである。会いたい方は夕方来てね。

今日は友人が何人か来るからギャラリーにテーブルを出していいですか?という電話がある。いいですよ。ギャラリー宴会になるな。

ギャラリーをopenしてすぐに黒人のおばさんが来廊。わたしが英語でどちらから?とか作家の知り合い?とかいろいろ話しかけたのだが、彼女はスマホ操作している。しばらくするとそのスマホをわたしに向けると、スマホから

「アナタワエイゴヲハナシマスカ?」

と聞こえる。

だから、英語で話してるじゃん、と言うと、彼女はそうか、そういえばそうだとゲラゲラ大笑いして止まらなかった。

何をしてる人?と訊くとアーティストだという。

ステーションギャラリーに行ったけど閉まってた。ほかの美術館にも行ったけどそこも閉まってた。この辺はギャラリーいっぱいあるの?とずっとしゃべり続ける。あなたもアーティスト?と訊くので、そうだ、ギャラリーもやってると答えると、oh!すごい、何年やってる?と訊くので12年と答える。

カリフォルニアで役所勤めをしていたんだけど、定年で辞めたから好きだった絵を描いている。

どんな作品か見せてというとスマホで見せてくれた。はあ、なるほどね。人物とか風景を水彩や鉛筆で描いていた。

あなたの作品は?油絵?水彩?と言うので、インスタレーションだよと答えると、インスタレーションって何?と訊くので説明する。

素人さんである…

でも面白かった。作品の写真を撮り、わたしの写真も、ステップスのドアのロゴの前で撮る。

アメリカに帰ったら、東京でステップスギャラリーに行ったってみんなに言うわ。

わたしの小さいカタログをあげると、ヨシオカっていうのね、わたしはパメラ。

何回も握手をしてパメラは帰って行った。明日帰国するんだそうだ。

黒人のアメリカおばさん、楽しい!

ずっと暑くてバテているようである。夜はよく寝ているのに、昼間、生あくびが止まらなくなる。月、火と少しゆっくりしたので今は調子が戻ってきた。

昨日は喫茶店と本屋さんで時間をつぶす。

3冊購入

長谷川櫂 『四季のうた』(中公文庫)

中井正一 『美学入門』(中公文庫)

イザベラ・バード 『日本紀行』上・下 (講談社学術文庫)

林芙美子の『トランク』読み終わる。「漣波」という作品のなかにこんな文をみつけた。林芙美子にはいつも元気づけられる。

「人生のなかから、勇気を失った男ほど、魅力のないものはありません。」

長谷川櫂の『四季のうた』は、短歌や俳句を紹介して解説を書いたものだが、どんな作品を選ぶかで、選者がどんなひとかわかってしまう。長谷川さんは、いい人である。解説も良い。

こんなにも猫にはいつもやさしくて母にはたまにつめたいわたし  小島ゆかり

猫は人との距離のとり方がうまい。押しつけも離れすぎもせず、飼い主のほとりをゆるやかに逍遥している。この歌、作者は母親との間にも猫とのような「間」を保とうとしているのだ。しかし、これが人との間となるとじつに難しい。

かたはらの瓦の硯もの云ひぬ主人(あるじ)よすこし疲れたるかと  与謝野寛

日本人は明治以降、疲れるようになった。正確にいえば、近代化を急ぐ社会の中での疲労感が文学に描かれるようになった。与謝野鉄幹先生もややお疲れのようである。ものいわぬものが、ものをいうように感じる。これが典型的な症状。

せんぷうきあああああああおおおおお  山本咲良

扇風機に顔を近づけて何かしゃべると変な声になる。さすがに大人は恥ずかしくてしないが、子どものころにやったことはあるだろう。作者はそれを俳句にした。しかも、みんながあっと驚くような表現で。このとき小学三年。あっぱれ。

 

 

 

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