« 霜田哲也の石膏 | トップページ | 槙野央のタイトル »

2023年8月 3日 (木)

気になる略歴

以前「ギャラリーの言い分」に、作家略歴の書き方を載せたが、一つ書き忘れていたことがあるので、追加でここに書いておきたい。どうでもいいといえばどうでもいいのであるが、年を取るとしつこくなるので、細かいところまで指摘したくなるのである。許せ。

美術家の略歴は、生年、出生地、最終学歴などを書いた後に、個展やグループ展を書いていく。個展とグループ展は分けて書いた方が見やすい。何年にどこどこで個展、つぎにここで個展、という具合に古い順から並べていくのであるが、最近、若い作家で、新しい方から先に書いていくというのが流行っているようだ。かっこいいと思っているのかもしれない。

それはちょっと違う。勘違いしている。こういうことなのだ。

ベテラン作家で、60代、70代になると、展覧会歴が膨大になってくる。個展だけで50回、60回になる。これを印刷するとA4紙が5枚にも6枚にもなってしまう。これを個展会場に掲示するのは大変であるし、見る方も面倒になってくる。そこで、「最近の10年の展覧会歴」というふうに直近の数年だけを書き出すのである。こうすると、紙1枚に収まって都合がいいのである。パンフレットやグループ展のカタログを作るときに、略歴を20行以内でお願いします、などと言われることが多い。こういうときにも、最近何年かの展示を書く。この時も展示の年を最近から逆に書いていくのだ。つまり、逆から書いた場合、途中から省略されているのである。若い作家がこれをやると、そうでなくても短い展覧会歴がさらに短くなってしまう。省略していないのに逆から書く人もいる。かっこ悪い。

①略歴を逆から書くのは、60歳、70歳になってからやったほうがいい。

②年号を逆から書くときは、途中から全部省略しなければならない。展覧会をすべて列挙するときは逆から書いたりしない。

③逆から書くのは便宜上そうするのであって、かっこいいからではない。美術館で個展をしてカタログを作る場合、略歴は古い方から書いていく。逆から書くことはない。

とまあ、そういうことよ。

暑苦しい話でした。

 

毎日暑いねえ…

昨日は、新宿の眼科に行って目薬を処方してもらったが、帰りに本屋さんに寄るかやめるか迷ったが、がんばって行ってみることにした。神保町で降りて東京堂書店まで歩く。それほど長い距離ではなかったのだが、日差しに負けそうになる。1階と2階をうろうろして、3冊購入することにした。渡辺京二を2冊見つけたのでうれしい。

渡辺京二 『幻影の明治』(平凡社ライブラリー)

渡辺京二 『北一輝』 (ちくま学芸文庫)

武藤康史編 『林芙美子随筆集』 (岩波文庫)

また強い日差しの中を歩く。

帰ったら西瓜を食べよう。

 

 

 

 

|

« 霜田哲也の石膏 | トップページ | 槙野央のタイトル »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 霜田哲也の石膏 | トップページ | 槙野央のタイトル »