平均寿命
ギャラリーに着いたら、FMラジオを聴きながらテーブルをバルコニーに出したりの作業をするのだが、ラジオからなんかどこかで聞いたような曲が流れていた。曲が終わると、「ジャパニーズブレックファストでした」というアナウンス。へえ、ジャパニーズブレックファストがラジオで掛かるんだ、と驚く。ジャパニーズブレックファストは、アメリカのバンド。ボーカルはミシェル・ザウナー。以前このブログでも紹介したが、『Hマートで泣きながら』の著者である。良い本である。オバマ元大統領も推薦している。本にはミシェルの写真も載っているが、ちょっと怖い感じで、ぜんぜん可愛くない。腕にはタトゥーがぎっしり。ところがですよ、本を読み終わって、あらためて彼女の写真を見てみると、あらあ、なんて可愛いんでしょう!という印象に変わる。不思議なものである。ミシェルは韓国に住んで韓国語を習いたいと思っているそうだ。そしてそれをまた小説にしたいと言っている。何年かしたらその本が出るのを楽しみにしている。
鉛筆のドローイングやテキスト書きをやりたいのだが、他にやることがいっぱいあって、なかなか手をつけることができない。今は来週のアートカクテルのキャプション作りやらでとても忙しい。作品配置も考えなくちゃ。
勝又さんが、会場と作品の撮影をする合間に、わたしの個展の作品を撮影してくれる。
勝又さんはわたしの個展のDMデザインもしてくれるのだ。
「吉岡さんのあの本さ、面白いの?」
と訊くので、とても面白いと答える。スティーブン・ピンカーの『21世紀の啓蒙』のことである。
「じゃあ、わたしも買おうっと」
と言う。
「世界は決して、暗黒に向かってなどいない」という帯にある通りの希望の本である。分かりやすく明解である。数字と統計で事実を分析していく。
「トランプは、アメリカのジャーナリズムにほぼ行き渡っているある考え方の受益者だった。すなわち、「重大なニュース」とは基本的に「何かがうまくいっていないこと」だという考え方である。…何十年も前から、ジャーナリズムが一貫してこの国の「諸問題と治癒不能と思われる病状」に焦点を当ててきたことが土壌となり、そこにトランプが蒔いた不満と絶望の種が根を下ろした。…その結果、今のアメリカ人の多くは、漸進的な制度改革が可能だと想像することも、それを評価することも、いや、信じることさえできなくなり、その代わりに革命的な、「一気にぶち壊せ」という破壊的な変化を望むしかなくなった。」
「今日の世界の平均寿命は何歳だろうか。当ててみてほしい。平均寿命を語るとき忘れてならないのは、人口の多い発展途上国で飢餓や疾病による早死にの率が高いと、平均寿命がかなり引き下げられるということだ。」
「進歩とは何だろうか。この質問はあまりに主観的で、文化しだいでもあるので、答えようがないと思うかもしれない。だが実は、これほど答えるのが簡単な質問もない。
ほとんどの人は死より生がいいと思っているはずだ。同様に、病気より健康が、飢餓より満腹が、貧困より裕福が、戦争より平和が、危険より安全が、専制政治より自由が、偏見や差別より平等が、文字が読めないより読めるほうが、無知より知が、愚鈍より明敏が、不幸より幸福がいいと思っているはずだ。さらに、単調な重労働を強いられるより、家族や友人と過ごしたり文化や自然を楽しんだりする機会があるほうがいいと思うだろう。
これらの項目はすべて測ることができる。そして測った結果、時とともに後者が増えていれば、それが進歩である。」
※「平均寿命」の答えは2015年で71.4歳
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