ゴッホの星月夜
今週はのんびりして一日中寝ている日も作ろうと思っていたが、なんのことはない、毎日「仕事」をしてしまった。月曜日は作品の仕上げ、火曜日は段ボールを買ってきて作品用の箱作り。終わらず。水曜日は新宿の眼科で診察。昨日の木曜日は箱作りの続き。一日がんばったが終わらず。そして今日、さっき箱作りが終わった。あとは要らなくなった段ボールを捨てる作業が残っている。今、神戸のcity galley からワインが届く。勝又さんの個展に差し入れ。明日は勝又展搬入。
疲れました。
サイモン・シンの『宇宙創成』上を読み終わる。
宇宙物理学はやはり数学が分からないと細かいところがわからない。わたしは数学が苦手なので、肝心の宇宙論よりも、エピソードが楽しい。
アインシュタインは、ミレバと結婚して子供をもうけたが、実はその前に娘がいたということが最近分かった。ミレバはセルビア人である。アインシュタインの父親は結婚に反対していた。しかし子供ができてしまった。世間体もあり、その女の子は養子に出されてしまったということだ。彼女は自分がアインシュタインの娘だということを知っていたのだろうか。気になる。
天文台では、観測結果を計算する仕事が山のようにあった。かなり高度な計算をするので、計算を生業とするプロの人たちを雇ったそうである。その計算グループは、コンピューターと呼ばれていた。計算する人という意味である。今わたしたちが使っている機械のコンピューターは、ここから名づけられたのだそうだ。
ガリレオは天体望遠鏡を使って星の観測をしていたわけだが、ガリレオの時代には写真はまだない。観測の結果は手描きのスケッチにして残した。天文学者は絵もうまくなければならなかったのである。1845年に完成した望遠鏡を使って、ロス卿は渦巻星雲「M51」をスケッチした。
左がロス卿のスケッチで、右は最近、ラ・パルマ天文台で撮影された写真である。ロス卿のスケッチは正確である。このスケッチはヨーロッパじゅうで有名になり、いろんな人が見た。ゴッホもこのスケッチを見ただろう、と言われている。ゴッホの「星月夜」はこの渦巻状星雲のスケッチに触発されて描かれたというのだ。わたしもそう思う。ゴッホは何にでも興味を示したし、勉強家だった。このスケッチを見ていないはずはないだろう。「星月夜」の星の周りに描かれた渦巻は、このスケッチをヒントにしたのだろう。
しかし、もしそうだとすると、ゴッホの作品の見方が変わってくる。
ゴッホは自分が実際に見たものしか描かなかった。
星を描くときも実際にの星を見て描いたはずなのである。ゴッホの目にはこんな渦巻も見えたのだろうか。糸杉をあんなふうに波打ったような形に描くというのはゴッホにはそう見えたのだろうと思っていた。しかし、もし、ロス卿のスケッチを見てこういう描き方を思いついたのだとしたら、ゴッホは「自分が目の前に見たものしか描かない」という定説は、微妙に覆ることになるのではないか。
どうなんだろう。
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