« ラッキー底辺 | トップページ | 中間報告 »

2020年7月17日 (金)

何もしない

理由はないのだが、一日何もしないでおこうと決めて、ぼうっとして過ごすことにした。昨日のことである。

ギャラリーにはいつも雑用があり、せわしく動いていることが多いのだが、たまには無為に過ごしてみようと決めたのだ。決めないと何かしらやり始めるという悲しい性があるのである。

つげ義春が理想である。何もしない達人である。

前にもどこかに書いた気がするが、彼の漫画に、いつもポケットに300円を入れておくというのがある。ある日、近所のお祭りの出店で、焼きそばを作る仕事を頼まれて、張り切って焼きそばを作ったら、売れ行きがよかった。もちろんボランティアでやっているので、バイト代は焼きそばとビールだ。つげは、帰りに売り上げが入ったザルの中から100円玉を3枚くすねる。

なぜ300円かというと、(当時は)300円あれば、煙草を買って喫茶店に入り、コーヒーを飲むことができたからである。300円がポケットに入っていると安心なのである。

わたしは喫茶店には行けないので、アイスコーヒーを持ってバルコニーに出て煙草を吸うことにする。ラジオを聴いたり、本を読んだりする。

ロベルト・ロンギ 『イタリア絵画史』 を読み終わる。面白かった。

非常にくせのある人だったようだ。ミケランジェロはすばらしい!と評価する一方で、レオナルドに対しては冷たい。ラファエッロなんかは散々な目に遭っている。

「ラファエッロにこれ以上かかずらうのは止めにしよう。諸君もすでに理解したように、かれは正しくは純粋な画家に列せられる者ではなく、生の理想の視覚的な解説者のひとりなのだ。かれの作品は視覚文学であって絵画ではない。」

『イタリア絵画史』 は講義のメモだったと解説にある。高校生を相手にしての、2週間40時間の集中講義だったようである。高校生といっても、今の日本でいう、大学の教養学部の1年生くらいだそうだ。「諸君」というのは学生のことである。夏休みの集中講義かなんかだったらしく、ものすごく暑い日が続いていた。しかし、ロンギの情熱的な講義は学生をうならせた。最後の「結論」の章では、彼の若さと熱気が伝わってくる。

「イタリア絵画!さてこの言葉がいったい何だというのだろう!どんな権利と義務があって、ある絵画をイタリア絵画と呼ぶのだろうか。ボッライオーロやティツィアーノ、カラヴァッジョのなかにどんな特別のイタリア精神を感じるというのだろう。だから、次のこともまた諸君にはっきりと知ってもらいたい。つまり「芸術における民族性には何の重要性もない」ということだ。」

「本質的!この言葉が、我が身から引き離さねばならない最後のノスタルジーだろうか。本質的なことは四十時間もの美術史の講義のあと、この世にはビフテキと煙草以外に、絵画と彫刻が存在することを、諸君のうちの一人でも時折は思い出せるかどうかということだ。」

「いつどこで諸君のうちの誰かを見かけるだろう。たとえば優雅な春のパリ、サロン・カレで、何世紀ものあいだ世界を欺いてきた偽りの傑作に対し、わたしの忠告に従って軽蔑の背を向けているときにだろうか。焼けつくような夏、地方の寂れた美術館の眠たげな部屋に涼をもとめているところをだろうか。ああ地方の美術館!まどろむ守衛と、市立博物館の名誉にまったく無関心な町の低いざわめきが聞こえてきそうだ。

……

今日はなんて暑い日だろう。

一九一四年七月」

ロンギを読み終えたので、本を2冊購入。

トルーマン・カポーティ 『ティファニーで朝食を』(新潮文庫)

中谷功治 『ビザンツ帝国』(中公新書)

Photo_20200717141401

カポーティは村上春樹訳だけど、まあいいか。

ビザンツ帝国のビザンツというのは、美術史でいうビザンティンと同じだそうである。歴史学ではビザンツといい、美術史ではビザンティンといういい方になっているのだそうだ。どちらが正しいか。どちらでもいいそうである。というか、正式にはどちらも正しくない。正式には「ローマ人の帝国」と呼ぶのだそうである。

昨日、ダンスのカセイさんと、ワカコさんが来て、絵本を出したの!といってチラシをもってきた。

『泣き虫ポロロ』

文 いしだ わかこ

絵 カセイ イノウエ

音楽・映像 なかじま あきひろ

朗読 山本 モリヒト

Photo_20200717142201

これは本屋さんにある「紙」ではなく、電子版なのだそうである。600円だそうである。わたしは、こういうのよくわからないのだが、ネットで注文するらしいですよ。

https://www.music-storybook.com

絶賛発売中!

 

 

|

« ラッキー底辺 | トップページ | 中間報告 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ラッキー底辺 | トップページ | 中間報告 »