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2020年6月25日 (木)

FAVORITE 2020 作品

☆上條陽子

初日、上條は作品の仕上げをした。細部を補正している。

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年の話をするのもなんだが、彼女はわたしに

「吉岡さん、あんた若いわよ」

という。そりゃそうである。上條はわたしの20歳上である。日影眩と同い年かも。

今回のインスタレーションはタイトルが 「マグマ」 だったのだが、制作途中で変更した。

「コロナ蔓延」 紙にアクリル 280×320cm(インスタレーション) 2020

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迫力に圧倒される。

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上條陽子を知らない方もいるかも知れない。その昔、上條陽子は、少し抽象がかった具象画を描いていた。美術の芥川賞と言われている安井賞を獲ったときは、安井賞を獲った初めての女性作家ということで話題になった。そのまま絵を描いていたら、絵もばんばん売れて、裕福に暮らすことになったはずであるが、何を思ったのか、何年か後に彼女はいきなり現代美術に乗り込んできた。そしてそのまま、現代美術作家として歩いてきて現在に至るのである。

「現代美術に来たら貧乏になっちゃった」

と言いながら、元に戻るつもりはない。生き生きしているのである。

今回は、ドローイング作品を4点持ってきた。作品をわたしに渡しながら

「吉岡さんに合格点もらえなかったら持って帰る」

と言う。何を言ってるんだか。

さすが安井賞作家である。力強い作品からは、元気と勇気をもらえる。わたしは大きい声で

「合格」

と言った。

「マスク 2」 紙に鉛筆 25.0×21.0cm 2020 ¥70,000

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「マスク 4」 紙に鉛筆 22.0×16.0cm 2020 ¥50,000

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上條陽子で忘れてはならないのは、海外作家との交流である。とくにパレスチナ作家と、子どもたちのためのワークショップを毎年のように開催していることは、特筆すべき業績であるだろう。ガザ地区では、「この子達は生まれてから一度も絵を描いたことがありません」という言葉を聞くことになる。しかし、ガザ地区の子供たちは、日本の子どもたちよりも明るく元気である、と上條は言う。昨年は、ガザの3人の画家を日本に呼んで展覧会を開いた。

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☆関水由美子

個展で作品を発表し始めてまだ日も浅いので、わたしが

「まだ若手だね」

と言うと、ずっと

「わたしは若手だから」

といい続けているのだが、関水はわたしと同い年である。いつまで若手でいるのか楽しみである。

「updraft-tommorow's sky Ⅰ」 和紙にアクリル・インク 150×70cm 2020 ¥150,000

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今まで筆をつかわずに流し込みのような技法で作ってきたが、今回は筆のストロークを使ってみた。いろんなことに挑戦しているということは、若手なのかもしれない。

「updraft-wondering」 紙にアクリル・インク 25.7×18.2cm 2020 ¥20,000

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「updraft-to the sky Ⅱ」 紙にアクリル・インク 18.0×14.0cm 2020 ¥10,000

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☆西山真実

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Stepsで発表している作家に、金澤麻由子というパグを描き、映像も手がける作家がいる。ご存知の方は、おそらくわかっているだろうが、金澤は「超」のつく天然である。

昔、たぶん飲み会の席だったと思うのだが、金澤は、西山真実に向かって

「西山さんて天然ですね」

と言い、周りにいたわたしたちが固まってしまったことを思い出す。いやいやいや、天然は君だよ!と全員に言われた。

わたしは、西山真実が天然ではない、と言っているわけではない。彼女は立派な天然である。二人とも同じくらい天然なのである。

天然の作家にはかなわない。計算も、欲も、見栄もないからだ。最強である。

今回の西山作品の素材を見ると、リトグラフとある。絵とことばを組み合わせた作品なのだが、リトグラフで絵画部分を刷って、文字は手描きかと思ったのだが、なんと逆で、絵は手描きで、文字をリトグラフで刷ってあるのである。憎い。

「川 さあ深呼吸しよう」 和紙・白亜・油・パステル・水彩・リトグラフ 35.7×21.2cm 2020 ¥40,000(売約済)

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「夕方 さむ空 赤い舟 2019,6,6-18:36-18:45」 和紙・白亜・油・パステル・リトグラフ 15.0×20.8cm 2020 ¥27,000

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☆中村宏太

「弾丸」の新作を持ち込んできた。9枚のガラスに弾丸を撃ち込んである。以前は、金属板やシリコンにライフルや散弾銃で弾丸を撃ち込んだが、今回はガラスである。え?ガラスを銃で撃ったら、粉々に砕けるんじゃないのと思うわけだが、ガラスの表面にフィルムを貼って、散乱を防いでいる。

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なんか色がついてるような気がするでしょ。ガラスもフィルムも透明なのに色がついているのである。じつは、使用しているフィルムが偏光フィルムで、弾丸を撃ち込んでガラスが割れたときに、その衝撃でフィルムに微妙なよじれができて、こんなふうな色になるのである。作家本人も予想していなかったそうである。

「境界」 弾丸・ガラス・フィルム 45.0×45.0×1.0cm 2019 ¥400,000

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え?40万円?ひとつ?と驚く方もいるかと思うが、ひとつ40万円である。なぜそういう値段なのかご説明いたしましょう。

日本では射撃でこういう作品を作ることはできないので、中村は、ハワイまで行くのである。ハワイまでの渡航費と滞在費がかかる。ガラスの輸送費も往復でかなりかかるはずである。重いので高いのだ。ハワイの射撃場を借りる。ガラスのセッティングをする。射撃の指導を受ける。日本に運んで額装する。これを全部合計すると、この値段じゃないとできないのである。

それにしても、本物の弾丸がつぶれて、ガラスにめり込んでいるのはすごい。

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☆寺崎誠三

全部で5点の作品を搬入した。

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すべて昔の作品である。バライタ紙にゼラチンシルバープリント。黒が美しい。

なぜ旧作ばかり、しかもかなり古い作品を持ってきたきたのか。それはつまり「自信作」ということなのである。

「GOMI TARO」 ゼラチンシルバープリント 50.0×33.0cm 1991 ¥300,000(額別)

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30年前の五味太郎である。若い。寺崎と五味さんはテニス友達なので、こんな写真が撮れてしまうのである。

「IGETA HIROKO 2」 ゼラチンシルバープリント 33.0×50.0cm 2002 ¥300,000(額別)

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人形作家、井桁裕子の作品を撮った。これも20年前になるんだねえ。

FAVORITE 2020 は7月4日(土)まで。

昨日は作家全員が顔を見せたが、次に全員が揃うのは明後日27日(土)になりそうである。

 

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