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2020年6月18日 (木)

隔離の島

6月18日(水)

今日は、わたしはギャラリーをお休み。一日のんびりする。アトリエの大掃除の続きをやる。床にはホコリが溜まり、大きな段ボール箱が散乱しているのだが、ガラス窓の汚れがひどいので、ガラス拭きをやることにした。掃除の手順としては、ガラス拭きなどは最後だろうとは思うのだが、気になるところを優先したくなるのである。拭き終わると気分もすっきり。

アイスコーヒーを飲みながら煙草をふかして休憩していると、携帯が鳴る。倉重光則から電話である。

「別に用事はないんだけどさあ…」

とまるで女子高生のようである。倉重は、寂しくなるといろんな人に電話するのである。横須賀美術館の個展の準備で忙しいようだった。

ル・クレジオ 『隔離の島』 を読み進めている。この作品は、半自伝的小説三部作(『黄金探索者』、『隔離の島』、『はじまりの時』)のまん中にあたる。三部作のまん中だけを出版するというのはどういうことなのだろう。『隔離の島』 というタイトルからもわかるように、感染症に関する小説なので、「今」ということなのだろう。

本屋さんには感染症に関する本とか、カミュの 『ペスト』 が平積みにされていたりするわけで、この本を出版したちくま書房も、このタイミングを逃さなかったので、どうよ、と思っているだろう。

『隔離の島』 は1995年の作品だが、今回ちくま文庫に入ったのは、発効日をみると、2020年6月10日とある。1週間前である。翻訳者の中地義和さんは、文庫版のための訳者あとがきというのを書いている。日付を見ると2020年4月とある。

「…目下、「新型コロナウイルス」が猖獗を極めている。本書の人物たちを苛むのは天然痘あるが、小説が位置する十九世紀には欧米ではすでにワクチンが開発され、予防接種(種痘)が実施されていた。………メディアが、感染者や死者の日々肥大する数としてウイルスの脅威を訴え、感染拡大を防ぐための外出自粛を説く時代の読者に、十九世紀末、インド洋上の小島で作家の祖父の身に起きた実話に基づくこのフィクション、人間が地を這うようにして生き延び、生まれ変わる、陰惨にして壮麗な物語は、はたして何を伝えるだろうか。」

さて、この小説であるが、最初に、主な登場人物というページがあり、20人以上の人の説明書きが載っている。これを見ただけで、ありゃあ!これは大変だワ、と慌てる。登場人物の説明をないがしろにしてはいけない。ここをちゃんと頭に入れておかないまま読み進めると、大変なことになるということを、経験上知っているのである。読書というのは、登山みたいなもので、物語の頂上を目指して登場人物を確認しながら登っていくのだが、途中で見失ってしまうと、遭難してしまうか、断念して下山を余儀なくされるのである。

でも、なかなか憶えられない。読みながら、途中で何度も最初のページに戻ることになるのだろう。登場人物だけではなく、家系図などもあり、登場人物の関係も押さえておかないと、あれ?これ誰だっけ?ということになる。地図もついている。モーリシャス島とフラット島である。これもある程度覚えなくてはならない。なんか大変なのであるが、慣れると楽しい。「訳注」というのもいちばん後ろについていて、1ページに1つくらいあるので、これも大変なのだが、「注」というのは、わたしは好きなのよ。注を読むのって楽しい。翻訳者とか解説者の力量が現われるので面白いのである。とにかく、ページを戻ったり進んだりするのが面倒なのだが、読み始めると、物語の中に引き込まれてしまう。さすがに、ル・クレジオである。

☆展覧会案内

K

「selection」

6月26日(金)-7月7日(火) 6/29(月)休廊

ATELIER・K (横浜市中区石川町 1-6 三甚ビル 3F)

8人展ですが、Steps 経由の作家が3人参加しています。小口あや/中澤小智子/TANG SHIYI(唐詩薏)

 

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