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2018年5月 3日 (木)

あんぴん

今朝は遅く起きて、稲毛駅ビルで買い物をしてから電車に乗る。

昼ごはんとして、京樽のお寿司を奮発。おやつとして、神戸屋キッチンのパン「レーズンの恵み」。飲み物として横浜ロイヤルパークホテル・アールグレイティーの紙パック。気合を入れるためのグレープフルーツ一個。

連休中は、ずっとギャラリーで作品の制作なのである。

連休なのに、一人で作品制作ってどうなの?と思うかも知れないが、じつは、わたしはこういうのが好きなのである。

昔は、一人で黙々と制作するなんて、なんだか職人さんみたいで、そんな生活は退屈でいやだなあと思っていたのだが、今は逆で、こういう生活が至福だ!というふうに感じるようになってきた。

ギャラリーを始めて解ったことがいろいろあるが、自分が実は人間嫌いなのであると自覚するようになったこともそのひとつである。ギャラリーは客商売なわけなのに、それは困ったものだと思うのだが、しょうがないのである。一人で居るのが楽しい。

これはアートカクテル展最終日の搬出後みんなで飲んでいるところ。

Photo

作家はさ、こうやっていろんな話をして、がんばって作品を作っている人がたくさんいるんだって肌で感じることが必要だよね。

自分が今こうして毎日がんばって制作しているのに、こんなことを言うのは何なんだが、みんなよくもまあ、飽きずに作品をつくっているなあ…どこからそのエネルギーが出てくるのだろうと不思議になることがある。一人ひとり違うのだろうが、いったい何を目指して作品を作り、発表しているのだろう?

不思議である。

連休最初の日は、ギャラリーのかたづけと作品の梱包などで、丸一日を費やした。

アートカクテルは、来場者は昨年の2倍。でも作品の売り上げは昨年の3分の2だった。

やっぱり今は不況なのである。

連休2日めはブランカさんの写真をカットするのに、これも一日かかってしまった。

Photo_2

どういうふうに展示するか考えながら作業をしたが、なかなかいいアイデアが出ない。

3日目、やっと自分の制作を始める。

Photo_3

なかなかはかどらない。休憩ばかりしている。

バルコニーでお茶を飲んで煙草を吸う。ラジオは流しっぱなしである。

そういえば、もう5月だ。ということはですね、2011年の5月からここをオープンしたのだったから、なんと8年目に入ったわけである。

早いなあ。ギャラリーを続けていくのは本当にたいへんなことなのである。それに比べたら、作品を作るなんてちょろいことである。

とにかく仕事は体力も集中力も無いので、こま切れでいろんな雑用をしながらだらだらやっている。

ギャラリーからのDMの発送準備とか、預かっている作品の整理とか、あとはちょっと本を読んだり。

田山花袋の『田舎教師』が面白くって止まらない。夏目漱石の『坑夫』とか森鷗外の『青年』と肩を並べる作品だと思う。この本の初版には、口絵に岡田三郎助の油彩画が使われている。

Photo_4

岡田三郎助の絵画ってあまり好きじゃないのだが、この絵はなんか面白い。

たぶん、この件を絵にしたのではないかと思われる。

「麦倉河岸には涼しそうな茶店があった。大きな栃の樹が陰をつくって、冷たそうな水にラムネがつけてあった。かれはラムネに梨を二個ほど手ずから皮をむいて食って、さて花茣蓙の敷いてある樹の陰の縁台を借りて仰向けに寝た。昨夜ほとんど眠られなかった疲労が出て頭脳(アタマ)がぐらぐらした。涼しい心地の好い風が川から来て、青い空が葉の間からチラチラ見える。それを見ながらかれはいつか寝入った。」

次にこんな描写もあって、わたしはオッ!と声を出してしまった。

「さびしい寺とは思えぬほどその一間は明るかった。茶請けは塩煎餅か法事で貰ったアンビ餅で、文壇のことやその頃の作者気質や雑誌記者の話などがいつもきまって出たが、…」

わたしがオッ!と言ったのは「アンビ餅」という言葉に目をみはったからである。

わたしが3・4歳のころだと思うのだが、米沢に住んでいて、「ばあちゃん」と一緒に住んでいて、ばあちゃんはわたしをどこにでも連れ歩いた。途中の雑貨やさんのようなところで、よく「あんぴん」を買ってくれた。あんぴんというのは、いわゆる大福のことで、米沢ではあんぴんと呼んでいた。東京などで売られているふっくらまん丸の形ではなく、平べったいのである。丸い形のハンバーグみたいな形である。わたしはあんぴんを買ってもらうのが楽しみだった。

あんぴんというのは米沢地方でしか使わない言葉で、山形市では聞いたことがなかった。

米沢でしか使われない言葉ってたくさんあるのである。

で、「アンビ餅」である。

これは「あんぴん」のことだ!とわたしはびっくりして嬉しかった。

『田舎教師』は埼玉県の話である。埼玉県の「アンビ餅」がどういう経緯で米沢まで伝えられて「あんぴん」になったのか、非常に興味深いことである。

このあいだ、やはり田山花袋の作品の中に長野地方で使われていた「歩ゆべ」が、山形では「あべ」に変化していることを発見したが、なんか言葉っておもしろいものである。

『田舎教師』の次は

ホーキング 『ホーキング、宇宙を語る』(ハヤカワノンフィクション文庫)を読む予定である。

Photo_5

さて、制作に戻ろう。

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