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2017年12月14日 (木)

どんパ

12月12日(火)

ギャラリーの帰りにカフェ「どんパ」に寄ってコーヒーを飲む。

どんパは水出しコーヒーとニッキコーヒーの店である。ニッキコーヒーにはマイルドとストロングがあり、わたしはいつも

「ストロング」

とだけ言って注文する。美味しい。

ここは、私が大学生時代に、毎週土曜日にギャラリー回りをしたあとに立ち寄ることの多かったお気に入りのカフェである。大学時代というと今から40年前になるわけで、そのときから同じマスターがコーヒーの味を守っていたわけである。大企業の部長さんという風貌で注文を取りに来るのであった。マスターは70歳代かな。

Photo

代金を支払って出ようとすると、マスターが

「来年の1月に店を閉めることになりまして…」

と言う。

「え!!そうなんですか?」

それは困るなあ…

「1月のいつごろですか?」

「1月の20日です」

「あらあ、寂しくなるなあ…」

40年前にあったお店で、マスターが70歳以上だから、多分50年以上続いていたのではないかと思う。

なんだか、世の中どんどん変っていくのだなあ。

そういえば今日は霜田誠二がギャラリーに来て、沖縄のお土産と写真展のチラシを置いていった。写真展は「スペインのパフォーマンス以前の前衛」というタイトルで、成城学園前のアトリエ第Q芸術で来年の1月に開催される。詳細はまた来年お知らせするが、霜田が「おれは、こういうマイナーというかアングラでやっていくのが性に合う」という意味のことをつぶやいていた。観客は少なくて、だれにも知られずひっそりと、わかる人にだけわかってもらえればいい、と言う霜田は、なんか幸せそうに見えた。

霜田のこの発言を、すねて卑屈になっていると取ってはいけない。実は、こういう発言は、自分のやっていることの前衛性と重要性を認識している自信でもあるのである。

わたしはそういう自信はないのだが、しかしひっそりと制作をしてひっそりと発表を続けるのは霜田と同じである。

今は来年の個展「パズル」の制作を少しずつ少しずつ進めている。これは下絵の線を彫刻刀で彫っているところ。

Photo_2

これからどういう風になるのか、これも少しずつお知らせしていく予定である。

12月13日(水)

女子医大眼科の診察日。

視力検査室の前には「30分待ち」という紙が貼ってある。視力検査で30分待ちだから、診察まではかなりかかるなあ…とあきらめて、持ってきた本を読んで待つことにする。

本は、ベンヤミン・コレクションの3、『記憶への旅』(ちくま学芸文庫)である。

2

面白い。いわゆる批評ではなく、いろんなイメージの断片である。詩のようでもある。

視力検査が終わって、さて診察だなと思って検査室を出ようとすると「あ、今日はまだ検査がありますよ。ケアルームに行ってください」と言われる。え?そうなの?そうだっけ?わたしはダチョウ倶楽部になって心の中で「聞いてないよー!」と叫ぶ。

ケアルーム。「40分待ち」という張り紙。

「吉岡さん、今日は検査が4台もありますよ」

と検査技師のお姉さんが、残酷な笑みを浮かべて言う。

「4台」というのは、4台の器械を使うからである。4つの検査といわずに4台の検査というわけである。

ははあ、このあいだの診察が陳先生だったからだな。そういえば写真を撮るとかなんとか言っていたような気もする。新しい機械が入ると使ってみたくてしょうがなくなるのがドクター陳なのであった。

「陳先生って、検査好きですよねえ…」

と言うと黙って笑っている技師。

検査といっても今日は網膜と血管と視神経の撮影だけらしい。わたしの嫌いな視野検査でなくてよかった。

診察。

陳先生はまず逆さ睫毛を抜いてくれる。眼圧の目薬を使うと睫毛が異常に伸びるのである。最近では、この目薬を、睫毛を伸ばすために、つまり美容術として使用する女性もいるそうである。

今撮ったばかりのわたしの眼底写真を見ながら早速解説をしてくれる。

糖尿病でA1cが10の患者であるわたしは、普通なら眼底に異常が発生するはずなのであるが、特に問題は見つからないそうである。

「ほら、こんなにきれいよ。美術的に見てもきれいだと思わない?」

「そうですね…」

普通は網膜に余計な血管ができてきて、レーザーで焼くということをするのだそうであるが、わたしの場合は、新しく血管ができている様子はないという事である。

糖尿病などで網膜がやられると、眼は「酸素をくれ、もっと酸素を」と新しい血管を作るのだそうである。しかしこの新しい血管というのは即製なので、とてももろく、やぶれて眼底出血を起こしやすくなるのである。しかし、わたしの眼は血管を作っている様子はない。

「吉岡さんはさ、ベーチェットでかなり眼底にダメージを受けているのよ。だから、酸素をくれって言うこともできないんじゃないかと思うの」

つまり血管を作ることもできないほど弱っているというわけである。

「これはわたしの個人的な所見だけどね」

まあ、いずれにしろ眼底は無事なのであるから、良かったのではないだろうか。

女子医大から曙橋駅まで急いで歩く。夜のように暗い。

Dm

来週から、Stepsはカン・ソニョン展である。カンさんは今週の土曜日に韓国からやってくる。作品は多分全部手持ちで来る。大丈夫だろうか。

ギャラリーQに預かってもらっていた小品を、ギャラリーの上田さんがわざわざ運んで来てくれる。

上の案内状の作品は立体のように見えるが、これは絵画である。最近はこんな作品を描いているらしい。

カンさんは、たぶん 会期中は全日在廊すると思うので、ぜひ会いに来てください。

作品は月曜日に紹介します。







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