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2017年8月29日 (火)

ブレーメンの美術隊⑥

8月14日(月)

ドクメンタを見に行く。

朝7:15、ブレーメンから電車でカッセルへ。総勢9名。

電車の不具合か何かで、途中で乗り換えとか面倒なことになるが、なんとかカッセルに到着。駅舎の床などに、一面にドクメンタの宣伝が書いてあって、力の入れようがわかる。

駅でサンドイッチの朝食を食べてから、さらに電車でドクメンタ会場の中心まで移動する。

ドクメンタの会場は中心の会場だけでなく市内に拡がっていて、電車で移動なんてこともあるのだが、われわれは時間がないので、中心部だけを見ることにする。

全部見るには3日ぐらいかかるはずである。

9名で動くと、いろいろとたいへんなので、3つのグループに分かれて行動することになる。昼食もそれぞれ。各グループにドイツ語のわかる人が一人入るようにする。

ウテさんの組は倉重、勝又。エイコさんのグループは小林さんと中村さん。わたしは、小川夫妻とで回ることになる。

わたしはただただ、小川夫妻についていくことにして、どこを見るかも任せることにする。

会場のど真ん中にあるのは、これ。

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パルテノン神殿である。今回はギリシャとの共同開催ということもあって、こんな作品がいきなりあって、度肝を抜かれる。

鉄骨で作ってあり、表面にはサランラップみたいのが巻いてあって、その下には本が挟まっている。

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いったい何十万冊あるのだろうか。ただただ呆然としてしまう。この夥しい本は、すべて、今までに発禁になった本だそうである。

思わず、この作品にかかった費用を考えてしまう。何億なんてもんじゃないような気がする。

広大な公園を歩きながら屋外の作品を見て回る。

こんな彫刻作品も広い会場ではそれほど大きく感じられない。

Photo_8

とにかく歩き回って、ワカコさんの万歩計では8000歩に達していた。

疲れたのでアイスクリーム。まあ、観光地にありがちなネーミングの「ドクメンタアイス」を食べる。

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味?

ちょっと濃い目だね。

3人でランチ。小川くんはケバブが食べたくてお店を捜したがみつからないのであきらめて普通のカフェで食べる。

話をしていたら、思いがけない発見をしてしまった。小川君は、日本で仕事を探していて、福祉に興味があるということで、学校に通って免許を取った。そして今年、「福祉関係の施設」に就職したと聞いていたので、それはどこ?と問うと、江戸川区にある障碍者の施設です、というので、そこの名前はなんていうの?とさらに訊くと、「虹の家」とのこと。え?虹の家なんだ!

虹の家は江戸川区立の生活実習所で、わたしが白鷺養護学校の教員だったときに、何度も何度も会議や実習で通ったところである。なあんだ、そうだったのかあ。しばらく虹の家の話題で盛り上がる。

午後は屋内の展示を見て回る。

Photo_10


広くて、訪れる人もものすごく多くて、わたしが若い頃から憧れていたドクメンタってこうだったのね、と感慨深かった。

圧倒されるスケールにとにかくびっくりしたことはしたのだが、一つひとつの作品は、衝撃的な作品はなかったような気がする。

ま、60を過ぎてドクメンタに驚いているようではしょうがないのかも知れないのだが、わたしは密かに「勝てる」と思ってしまった。

今回の展示に、日本人の作家は一人も選ばれていない。

どうなのよ。

ドクメンタに一人も選ばれていない国で、われわれは美術をやっているわけなのである。その辺を改めて考えなければならないような気がする。

でも、ここの作品群を見て、わたしが思ったことは、なんか、みんな自分が自分がという意識が強すぎてちょっと胸焼けがする。作品の持つ力っていうのはこういうことではないような気もするのだ。

さっき見たパルテノンの作品は圧倒的なのだが、ゴッホの小さな素描一枚に敵わないのではないかと思った。

出来の良い作品は、いきなりわれわれの心を鷲づかみにするものなのだ。心に響かないとだめなんじゃないかな。それは虚心坦懐というか、私を消し去ったところに存在するものなのではないか、と考えたのだった。

あざとい作品はダメだよね。

己を忘れる境地について、『吾輩は猫である』の独仙氏はこんなことを言っている。

「…昔しの人は己れを忘れろと教えたものだ。今の人は己れを忘れるなと教えるからまるで違う。二六時中己れと云う意識を以て充満している。それだから二六時中太平の時はない。いつでも焦熱地獄だ。天下に何が薬だと云って己れを忘れるより薬な事はない。」

夕方、また9人が会場の入り口で落ち合う。わたしはカタログを1冊購入。

17:36発の電車でブレーメンに戻るはずだったが、線路に土砂崩れがあって、電車がキャンセルされていた。次の電車まで90分あるので、みんな駅のカフェで思い思いのものを中途半端に食べる。今夜はみんなでウテさんに夕ご飯をご馳走することになっていたのだが、電車とともにキャンセル。

19:02発の電車に乗り込むが、混んでいて座れない。2時間くらいだから立っていても平気なのだが、途中で、インドネシア人のおじさんが、ここ空いてるから座りなよと言ってくれる。

ブレーメンから電車に乗ってゲストハウスに戻る。

疲れて、そのまま寝てしまう。

(つづく)


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