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2017年6月12日 (月)

歌舞伎ショック

わたしは能とか狂言とか、歌舞伎とか、古典芸能と呼ばれるものには全く興味がない。つまらないものだと思っている。

昨年、ステップスで個展をやったアメリカの作家イヴァさんは、日本中を旅して回ったが、東京でもいろんなところに出掛けた。歌舞伎も見た。吉岡は歌舞伎は見ないのか?と訊くので、わたしは一度も見たことがないというと、驚いていた。

外国人はよく歌舞伎を見たりするが、何が面白いのだろう?理解できない。歌舞伎も好きではないが歌舞伎俳優も好きではない。なんかちょっと威張っている感じがする。

金曜の夜のNKKテレビでは「ドキュメント72時間」が終わってから、NHK教育では古典芸能をやっている。歌舞伎をやっていた。わたしは興味がないので、チャンネルを変えようと思ったのだが、なんかぼうっとしてしまってそのままにしていた。そうしたらですね、画面から目が離せなくなってしまったのである。なにか特別な演目で面白い場面だったわけではない。普通のいわゆる歌舞伎である。道成寺みたいな地味なものだったような気がする。

見ていても何も面白くないのに、なぜか目が吸い寄せられて、結局最後まで見てしまったのだった。

なぜなんだろう?自分でもそこのところが理解できないのである。別に感動したわけでもないし、なかなか素晴らしいと思ったわけでもない。いや、つまらないと思いながら見てしまったのである。

次の週も見てしまった。

なんといえばよいのだろう…

あえてことばにすれば「怖い」というのが一番近いかもしれない。

いままでわたしが見て来たものを評価することばでは表せない何かを感じてしまったのだろうと思う。

とにかくあまりに奇妙で、あっけにとられたといってもよいだろう。いったい何なんだろうこれは?これが演劇だとしたら、地球の演劇ではない。どこかほかの天体の高等生物が地球に観光にやって来て、その印象を演劇にしたような不思議なものなのである。

書き割りが変である。なんかとらえどころのない、やる気のないイラストみたいだ。お囃子というのだろうか、いよー!とか叫んで鼓をポンと叩いたりして本当に変だ。登場人物にいたっては、その動きが奇妙すぎる。何かを表現しているつもりなのだろうが、洗練されているようで、よけいな動きも多くて、なんなんだこれは?!と岡本太郎の顔で叫びたくなってくる。

次の週も見てしまった。

なぜ見てしまうのか、それについては、またゆっくり自己分析しなくてはならないかもしれない。

今週、4Fのギャラリー58では鍵井保秀展をやっているが、彼の今回の展示のテーマは歌舞伎である。歌舞伎が好きなの?と訊くと、好きだと言う。

へえ…

岸田劉生は日記の中で、歌舞伎のことを書いている。

大正10年1月25日(火) 晴

「…

とにかく旧劇というものはやはり立派な芸術だという感じをうけた。あの舞台全体が一つの創作で、これはやはり内から生まれなくてはとてもあれだけに人の心を魅し去る力はない本当に内から生まれた自然さがある。これを創造した人はかなり大きな芸術家といえると思った。

日本の歌舞伎はかなり進んだ芸術だと思った。

…」

わたしは、劉生のようにまだ歌舞伎を評価できないが、「かなり進んだ芸術」というのはわかるような気がする。

ひょっとすると進みすぎているのかもしれない。なんか未来の演劇という感じがするのである。現代のわれわれの評価基準では全く対応しきれないような、別の次元の芸術なのかもしれない。ずっと先というのは1000年2000年先という意味である。それぐらい先を行ってしまっているので、ものすごい周回遅れでわれわれはそれを見ているので、そんなに先を行っているとは感じないのかもしれない。

また今週も見てしまうかもしれない。

☆展覧会案内

①ブランコ・ブランダイス写真展「WALKING BELGRADE」

6月15日(木)-23日(金)

11:00-17:00

セルビア共和国大使館(品川)

②「エピクロスの空き地」

相澤秀人さんが参加しています。

6月25日(日)-7月6日(木) 7/3(月)休

9:30-17:30

東京都美術館 ギャラリーB

岸田劉生が面白くてまた買ってしまった。劉生と仲がよかったという理由だけで武者小路も

『岸田劉生随筆集』(岩波文庫)

武者小路実篤『友情』(新潮文庫)

Photo

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