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2017年6月26日 (月)

坂本美紗希の発色

いよいよ梅雨に入ってしまったが、今日はなんとか降らずに持ちそうである。よかった。雨がザーっと降ってしまうとお客さんが来なくなるので、心配なのである。雨が降るというのは、わたしのせいではないのではあるが、降ってしまって、お客さんが少ないと、作家に申し訳ない気持ちになってしまうのが、ギャラリーなのだった。

今週の坂本さんは、武蔵美の学生さん二人を伴って搬入をした。

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初個展ではあるが、搬入はてきぱきしてセンスよく展示をした。

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事務所の作品はわたしが飾りつけをした。

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岸田劉生の随筆からいくつか紹介する、と前に言ったので、坂本さんの作品とからめながらやろうかな。岸田劉生を引用しながら坂本作品を解説するということにしよう。

作品のサイズについて、劉生は、大きな作品は描かないほうがいいと言っている。

「ついでだからいうが今日の展覧会に行ってみると、画が皆大きすぎる。あんなでっかいものを何だって描くのだといいたくなる。美を本当に見ると、あんなまねは出来なくなるものだという結論だけを、ここに唯かきそえておこう。」

劉生によると、100cm四方の絵は大きいということになるらしい。

制作している人はよくわかると思うが、大きい絵を描くよりも小さい絵を描くほうが何倍も難しいのである。

坂本美紗希の作品は、今回は、20×20cmと15×15cm、それと10×10cm、合計50点である。小さい。小さいけど、作品としての強度はしっかりしていて、絵画としての深い空間もできている。初個展でこれくらい小さい作品をもってくるのは、じつは実力があるからだ。

「by your side 7」 20×20cm 2017 ¥30,000

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素材は、綿布、綿オーガンジー、綿糸、反応染料、顔料。筆描き染めと刺繍で作られている。テキスタイルというジャンルに入るといえるわけだが、そのへんはあまりこだわらなくていいのではないかと思う。これは絵画である。

飾っておきたくなる「可愛い」作品ではあるのだが、見る人を安心させる何かがあり、染料ならではの発色がそれにつけ加わって、程よいバランスを保っているのが魅力であろうと思う。

技法について、劉生は「技巧」はうまいほうが良いと言っている。

「よく技巧ばかりがうますぎるとか、あまりうま過ぎて面白味がないとかいって、技巧の上手という事を幾分いやしむ考えがある。」

しかし、劉生は、それはバランスの問題であると言い切っていて、とてもわかりやすい。

「だから技巧のうますぎるという画はつまり、技巧が見えすく画なのであって、内容がないか不足であるところから技巧だけが目に入るのである。」

ということである。内容と技術のバランスが取れていると、技術がどうのこうのという議論は起こらないのである。

坂本の作品は、とてもよくバランスが取れているので、見ていると心地よいのである。

「by your side 18」 15×15cm 2017 ¥20,000

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劉生の美術教育についての考え。

「現今、各国の美術学生の教育の仕方は凡て不可である。あの教室から、美術は断じて生れない。生れるものは、「習作」と称する醜怪なものである。」

劉生は共同アトリエはよくないという。みんなで描くのではなく、「一人」にならないとダメだという。

習作を描かないで「画」を描けという。要するに最初から本番なのである。

「何しろ、今日の教育では本当の画家を生むことは絶対に不可能だ。」

「by your side 36」 10×10cm 2017 ¥10,000 

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学校で美術教育が無理だとしたら、どこで教育をするのか。

それはギャラリーでしょ。ギャラリーで発表することが、一番の勉強なんだよね。

ブックカバーやアクセサリーの小物も販売しています。

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