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2017年4月21日 (金)

セルビア大使館へ

4月19日(水) 夕方

品川から歩いてセルビア大使館へ。

「LIFE and DEATH」展の内覧会。

セルビアから来ているヨヴァナに会う。2年ぶりだな。元気そうでよかった。今はイタリア留学中である。

わたしは司会なので、もうどきどきなのである。大使館のイェレナさんが大丈夫?と言ってラキアをもってきてくれたので、ちびちび飲んで少し落ちつきをとりもどす。

今回の内覧会はいろんなイベント抜きで、作品をじっくり見てもらって、来場者同士の交流をしてもらうということを主眼とした。

最初に大使に挨拶してもらってから作家紹介。そして参加者の紹介。普通は参加者をいちいち紹介することはないのだが、こういう会というのはみんな、どんな人が来ているのか知りたいものなのだよね。

スポンサー、評論家、学芸員、アーティスト、セルビア関係者、報道関係者、大使館職員と紹介していく。参加者が多いのでみんな紹介するわけにはいかなかったが、主だった人たちの名前を読み上げて、手を上げてもらう。

料理の紹介。今回はセルビア料理をふるまうことになっていて、作ってくれたのは、日本でセルビア料理を紹介しているイェレナ・イェレミッチさん。セルビアから食材をわざわざ運んで来て作ってもらった。

乾杯は早稲田大学教授の長谷見さん。乾杯はセルビア語で、ジヴェリって言うんだよと伝えて、セルビア語で乾杯してもらう。

そしてしばし歓談。

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古賀亜希子作品

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ヨヴァナ・トゥーツォヴィッチ作品

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金属の板を張り合わせた彫刻である。

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この作品が載っている台であるが、これは前田精史作の台である。そして白い天板は相澤秀人さんが作ってくれた。大使館の壁はコンクリートなので、コンクリートドリルで穴を開けて古賀さんの作品を展示した。このドリルは倉重光則から借りたのであった。いろんな人の協力があって展覧会って成立するものなんだねえ…

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イェレナさんのセルビア料理。

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美味しいんだよね。

ヨヴァナが囲み取材を受けているところ。今回は共同通信の取材があったので、いろんなメディアに記事が載ることになった。

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これは展覧会パンフ。テキストは東京ステーションギャラリー館長の冨田章氏。

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たいへん分かりやすくよい文章なので、全文紹介する。

死せる人形

冨田章

 人形という言葉は、「にんぎょう」と読めば英語のdollとほぼ同義であるが、「ひとがた」と読むとfigureに近い意味となる。いずれの場合でも、わたしたちはそこに象徴的な意味を見出す。子どもが人形(にんぎょう)遊びをするときに、ほとんど生きている人間と同じように話しかけるのは、その象徴性を理解しているからだ。人形(にんぎょう)を捨てることを躊躇する気持ちも同じことである。一方で人形(ひとがた)は、祭礼や宗教的な儀式の場で、まさに人そのものとして扱われ濃厚な象徴性をまとうことになる(お祓いの際に用いられる形代はその典型だ)。

 古賀がモティーフとするリカちゃん人形は、幼少時にこの写真家が遊んでいたものである。成長していくどこかの段階で、人は人形遊びから卒業するが、それは自分の中でいったん人形を葬ることと同義である。たとえ大切に保存されていようとも、子どもの手を離れた時点で人形は死を迎える。一度死んだ人形を大人になってから撮影することは、だから単純な郷愁などではありえない。古賀がもう一度遊びを始めたのでない限り、写真にその姿を留めることは、逆に死を決定的に刻印づけることになるだろう。

 トゥーツォヴィッチのAylanは、地中海の浜辺に打ち上げられた3歳のシリア難民の子どもの名前である。その衝撃的な映像が与えたショックはまだ記憶に新しい。この子どもを人形(ひとがた)として制作することは、この子どもに新しい生命を吹き込む、あるいは永遠の生を与える、などといった言葉で表現される行為では決してない。そうしたきれいな言葉を拒絶する厳しさが、この事実には潜んでいる。むしろ死という現実が、より強烈に突きつけられていると言うべきであろう。

 本展では日本とセルビアという、地理的にも歴史的にもあまり深い関わりを持たないできた両国に生まれ育ち、一方で女であるということと創作者であるという共通点を持つ古賀とトゥーツォヴィッチの作品が、「人形(にんぎょう/ひとがた)」というモティーフを媒介に交感する。平面と立体とい形状の違いのみならず、両者の手法は大きく異なっているし、対象に対峙する姿勢も隔たっている。にもかかわらずその交感が興味深いとすれば、それは彼女たちの作品が、「人形(にんぎょう/ひとがた)」を通して死(と生)を見つめる契機をともに孕んでいるからにほかならない。

LIFE and DEATH

4月20日(木)-28日(金) 会期中無休

11:00-17:00

在日セルビア共和国大使館


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