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2017年4月 6日 (木)

リトルプリンセス

毎日こき使われてへとへとな上に、食事を抜かれたりして、目が回りそうになるくらい空腹が続いているところだったが、お使いの途中で、泥濘のなかに4ペンス硬貨を見つけたセーラ。目の前にパン屋さんがあり、そこでお店の人に、これ落としませんでしたか?と聞くと、それはずっとそこに落ちていたのだから、あなたのものよと言われる。セーラはその4ペンスでパンを買う。ぶどうパンが一つ1ペンス。4つ買える。お店の人はセーラのあまりにみすぼらしい姿を見て2つおまけをしてくれて、ぶどうパンを6つ手に入れる。たぶんロールパンみたいな小さなパンなので、セーラは、これを6つ全部食べても空腹は癒されないと思いながら店を出ると、そこにはセーラよりももっと空腹で飢えた顔を見せる小さな少女がいた。

セーラは考える。

「こういうとき、プリンセスならどうする?」

バーネット『小公女』にわたしは勇気と力をもらっている。なんという小説なのだろうと思う。

セーラは6つのパンのうち5つを少女にあげてしまうのである。セーラは残った1つのパンをひと片ちぎって口に入れる。これはひとちぎりで食事1回分なんだわ。ああ、お腹一杯。こんなに食べきれないわという空想。

『小公女』は児童文学ではない。わたしはこれを今読んで本当によかったと思う。

訳者の畔柳和代はあとがきのなかでこんなふうに言っている。

「今回は…大人も読む『小公女』を意識しながら訳した。本当の子どものみなさんには、むずかしかったらすみません。」

バーネットの時代にはそもそも児童文学というジャンルはまだなかったのだ。

『小公女』の中には宝石のようなことばがいたるところにちりばめられていて、素直に感動してしまった。

「おなかが空いているってどういうことか、私、わかるんです。真似事をしても忘れられなくなると、とてもつらいんです。」

「でも何が起ころうと、とセーラはその日ずっと思っていた―何が起ころうと、世界のどこかにいる素晴らしくやさしい人が味方なのだ―私の味方。誰だか一生わからなくても― 一生お礼を言えなくても―これからは前ほどさびしくなることはない!ああ、〈魔法〉は本当によくしてくれた!」

『小公女』の次に読む本は

D.H.ロレンス『無意識の幻想』(中公文庫)

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過激な論戦を挑んでいて刺激的である。

☆展覧会

「島田忠幸 展」-プリニウスの動物達-

4/16(日)-6/25(日) 金・土・日・祝 開館 11:00-16:00

中之沢美術館(群馬県前橋市粕川町中之沢249-14)

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「LIFE and DEATH」 セルビア・日本現代美術交流展

ヨヴァナ・トゥーツォヴィッチ/古賀亜希子

4/20(木)-28(金) 11:00-17:00

会期中無休・入場無料

在日セルビア共和国大使館(品川区北品川4-7-24)

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ヨヴァナさんは展覧会に合わせて来日します。

月刊「ギャラリー」と「美術屋 百兵衛」の今月号に記事がありますので、機会があったら見てください。

☆パーティー

来週のSteps Galleryの「関水由美子展」ですが、初日4月10日(月)17:00-19:00 パーティーを開きます。バルコニーが気持ちいい季節になってきました。ぜひおでかけください。

☆レクチャー

吉岡レクチャー最後のお知らせです。

レクチャー「略歴を書く」-美術の事務作業を復習する-

4月22日(土)17:30-18:30

会場:Steps Gallery

申込:4月18日(火)までにメールでお申込みください。完全予約制

    stepsyoshioka@nifty.com

参加費:300円

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