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2017年2月14日 (火)

マックのテーブルを拭く

今朝も、稲毛駅前のパン屋さんサンジェルマンでコーヒーを飲んできた。小さなパンを一つとホットコーヒーを一杯。トレイに載せたパンをレジまで持っていき、「コーヒーで」と言って支払いをして、別のカウンターでコーヒーを受け取り、席に着く。朝の10時前だと290円のコーヒーが190円である。それを目当てに早めに来る客もいる。

こういう店はすべてセルフサービスである。食べ終わったら、食器や紙くずなどは、自分で片づけるのである。ドトールもそうだし、マクドナルドも同じである。

本当は、セルフサービスではなく、「いらっしゃいませ」と言って注文をとり、コーヒーを運んできてくれる喫茶店のほうがいいのだが、そういう店は少なくなってしまった。

サンジェルマンでは、わたしの片づけも慣れたもので手早い。パンを入れた篭に砂糖の紙袋と、コーヒーをかき混ぜる木の棒と紙ナプキンとプラスチックのミルク容器と他にいらなくなった紙くずをカバンから出してその上に載せる。かたづけ用の台があり、まず漏斗状になった穴に煙草の吸殻を捨てて、灰皿を置く。次に紙くず軍団をゴミ箱に入れて、篭を置く。その次には、飲み残しのコーヒーを吸殻とは別の漏斗に流し込んで、紙コップを捨てる、という要領である。

マクドナルドも同じである。ドトールは少し違う。

ドトールは、頼んだものを自分で運ぶところは同じだが、かたづけが違う。トレイをそのままかたづけカウンターに置くだけでいいのだ。細かい仕分けやごみ捨ては店員さんがやってくれるのである。親切である。

ドトールは、なぜこういうシステムなのか分からないのだが、ひょっとしたら、店員が片づけたほうが面倒でないのかも知れない。

日本のお店は、こういうセルフサービスの店でも定期的に店員がテーブルを拭いたりしてくれて、清潔できれいである。マクドナルドなども、客が散らかして帰っても店員さんがさっと片づけてくれて、気分がいいのであるが、これがニューヨークのマックなんかだと勝手が違ってくる。そもそもうらぶれた感じがして雰囲気が暗いのである。客は黒人が多いし、しかも陽気でなくて、むっつりしているのである。そうよ、おれたちはマクドナルドで食う金しか持ってないんだよという顔で、なんか不機嫌なのである。店員だって同じでなんか不機嫌である。あたしたちはね、安い時給でこんなつまらない仕事をしてさ、ああ、面倒くさい、早く注文言いなよ、という感じなのである。ぶっきらぼうである。なんか意気消沈してしまう。

セルフサービスだからみんな自分で片づけるわけだが、それでもテーブルの上はなんか汚い。ハンバーガーの包み紙がそのままだったり、こぼしたコーヒーやソースなどがこびりついたりしている。日本人のわたしは、こういうのを見ると片づけたくなるのである。

そして片づけたのである。ごみを捨てて、テーブルを拭いた。すっきり!気分がいいぜ。ざまあみろ。なんなら店内全部をきれいにしたい。

まあ、こんな感じでニューヨークのマックはたそがれた感にあふれているのだが、これが、慣れてくると、それはそれである種の風情のようなものがあって悪くないのである。

ぶっきらぼうな店員も見ていると面白い。

日本のマックにはメニューに「スマイル¥0」とか書いてあったりして、本当にみんなにこにこして接客するのだが、ニューヨークではそんなことは通用しない。なんでそんなに愛想振りまかなくちゃなんねえんだよと店員から不平の言葉が出てくるだろう。もし、ニューヨークのマックのメニューに「スマイル」があったら「$3,00」くらいだろうな。

こういううらぶれた感じというのは慣れてくると、けっこう居心地がよいのである。店員がスマイルを送ってこないから、こっちだって不機嫌な顔しててもいいし、気楽なのである。

団鬼六が同じようなことを書いている。『お~い、丼(どん)』(ちくま文庫)のなかで、吉野家について書いてある箇所である。昔は高級ホテルのバーでオールドパーのストレートを飲みながら、バーテンと話したり、紹介された外国人の客と英語で話して、面白くもないのに笑ったりしていたのだが、そういう気障な生活が嫌になってしまったのである。そして、桜木町の吉野家で誰にも気兼ねなく過ごすのが好きになってしまったようなのである。牛皿とおしんこを箸でつまみながら、酒をちびりちびりと舐めるのである。吉野家ではお酒は一人3本まで、夜の12時を過ぎたら酒の提供はしないという決まりがあるのだが、飲んべえにはそれがいいというのである。あきらめがつく。

セルフサービスについて書くつもりだったが、わき道にそれた。

稲毛のサンジェルマンに話を戻す。ここでは、あと片づけは客がやるのであるが、ときどき店員さんが、テーブルに注文の品を運んできたり、お片づけコーナーでゴミ袋を新しいものに換えたりしているときがあるのだが、そういうときに片づけをしようとしていると、店員さんが「あ、そのままでいいです」とか「お預かりします」とか言って、片づけてくれるのである。

こういうとき、店員さんはとても良い人に思えるし、ときには美人に見えたりもするから、そこのところはドトールでは味わえないのである。

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