2017年8月21日 (月)

ブレーメンの美術隊①

ブレーメンの音楽隊の動物達は、ブレーメンを目指していたのであって、お話の中ではブレーメンに辿り着いてはいない。

ブレーメンの美術隊の5人は、倉重光則、勝又豊子、小林誠、中村きょうこ、そしてわたし。無事にブレーメンに辿り着くことができるだろうか。

8月4日(金)

成田空港で5人が落ち合ったのは午前8時30分。KLMオランダ航空に乗って12時間の地獄の飛行機旅の始まりである。

アムステルダムに着くまでの長い時間は、とりあえず『吾輩は猫である』を読み、がんばる。苦沙弥先生の家に泥棒が入ったあたりまで読んだが、もうギブアップ。トイレに行きたい。でも通路側じゃないから、隣の人に遠慮して、なかなかきっかけをつかめない。1時間に1回はトイレに行きたいのだが、そんなに何回も行くと、変な人に思われそうでなかなか思い切れないのである。

機内のCAさんは、わりと年配の女性が多く、メルケル首相が食事を配っていた。

機内で考えていたことは、水を飲むことと、トイレにいくことばかりである。

好きなときに好きなだけ水が飲めること。

好きな時間に自由にトイレに行けること。

これを幸せと呼ぶのではないだろうか…

なんていうことばかりが頭に浮かぶ。ずっと座っているので、腰とお尻が痛くて我慢できない。

アムステルダムからブレーメンにトランジット。

ブレーメン到着。気温21℃。

入国審査で、われわれ美術隊は早速止められる。

「君たちはいったいなにものか?」

「われわれはブレーメンの美術隊です」

と言って、展覧会のチラシを見せたりして説明する。

しかしらちがあかない。

「誰か迎えに来ていないのか?」

「たぶん、来ている…… あ、ウテさんだ!」

出口にウテさんが迎えに来てくれている。ウテさんが係員に説明してくれて、無事に通過することができた。われわれ美術隊はいろんな荷物を持っているので、いつも怪しまれるのである。

ウテさんの車とタクシーでこれから泊まることになっているゲストハウスに行く。タクシーの運転手はドイツ語がわからないらしく、道に迷ってしまったりして時間がかかった。彼らも移民なんだろうな。

荷物を置いたあと、ウテさんのギャラリーを見に行く。

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立派なギャラリーである。地下もあって、アトリエになっていて、美術関係の教室も開いている。

みんなでスーパーに行って食材を買い込みこれからに具える。夕食はレストランで。

ドイツは夜10時くらいの見当だが、日本は明け方のはずである。

ブレーメン在住のエイコさんも合流。

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ヴァイツェンビールで乾杯。いやあ、やっぱりドイツのビールは美味い。

12時過ぎに就寝。

8月5日(土)

わたしと同室の小林さんと中村きょうこさんがへやの外で

「おはようございます」

と挨拶しているのが聞こえる。時計を見ると午前3時である。

冗談じゃないと思って、また布団をかぶる。こっちの夜は寒い。

7時半みんなで朝食。

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トマト、イチゴ、ゆで卵、パン、クリームチーズ、サラミ、ジュース、コーヒー。

今日は、ウテさんのギャラリーで個展を開く小林さんの搬入。みんなで手伝うことになる。昼過ぎには終わるだろう、そしたらブレーメン観光をしよう、などと言っていたのだが、搬入はなぜだかものすごく時間がかかって、観光はできなかった。

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倉重と吉岡ががんばる。これだけ手伝えば、われわれの搬入も小林さんが手伝ってくれるにちがいない。

ブレーメン在住のはるみさんが来て小林さんと打ち合わせ。明日のオープニングではるみさんが通訳をしてくれることになっている。

15:00みんなでランチ。軽い感じのイタリアンレストランで大量のお肉とビールをお腹に落としこむ。

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ウテさんはいつも赤ワインを飲む。ビールよりもワインが好きなようである。しかもフランス産ワイン。ドイツのワインは白は美味しいが、赤はそれほどではないらしい。

倉重は肉を食べ過ぎて苦しくなっている。

搬入続行。

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終わったのは夜8時。初日からかなり疲れてしまった。

ゲストハウスに戻り、みんなで夕食。

8月6日(日)

昨日の食事が足りなかったのか、低血糖で目が覚める。

朝食後、歩いてウテさんのギャラリーへ。

今日は小林さんの個展オープニング。

ウテさんの挨拶の後、評論家の解説。はるみさんが通訳。

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ワインを飲みながら歓談。フランクさんとチエコさんも顔を見せる。チエコさんがケーキを作ってきてくれている。今日は倉重の誕生日なのである。

「え、そうだっけ?」

と本人も忘れている。

15:00、集まった人たちでイタリアンレストランへ。

ゲストハウスで夕食。小川さとし君が日本から到着。小川君はウテさんの家に泊めてもらう。

明日は、アガーテンブルグに移動。勝又さんはウテさんと車で。他のメンバーは電車。

まだ3日目なのに、1ヶ月くらい居るような感じである。

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2017年8月19日 (土)

佐々木敬介作品

先ほど、佐々木君の搬入が終了。

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月曜日からスタートします。すでに、遠方の方から展示は見に行けないけど、作品の写真と値段を教えてくださいというメールがギャラリーに届いてびっくり。

佐々木敬介

1993 静岡県生まれ

2015 東京藝術大学 日本画科 卒業

2017 東京藝術大学大学院 日本画科 修了

様々なグループ展に参加をして活躍していますが、個展は今回が初めて。少し緊張しているようです。

日本画科のなかで抽象作品を作っていたので、大学では肩身の狭い思いもしたようであるが、自分の好きなスタイルを貫こうとしている姿勢が未来を期待させる。

「4つの線 ①」 キャンバスにアクリル 130.3×97.0cm 2017 ¥260,000

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筆でさっと描いたように見えるが、版画的な技術を駆使して手の込んだ作り方をしている。自由に描画していながら、システマチックな技法で独特な味を出している。

「色面の上の線」 キャンバスにアクリル 29.7×21.0cm 2017 ¥28,000

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「線の向こう」 キャンバスにアクリル 16.0×22.0cm 2017 ¥20,000

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若い作家でこういう抽象に取り組んでいくには、エネルギーと勢いを持続させていくことが必須なわけであるが、いろんな人の支えが必要なのである。ギャラリーもその中の一つ。

「表情」 キャンバスにアクリル 25.7×18.2cm 2017 ¥18,000

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「グレイトーン」 キャンバスにアクリル 14.0×18.0cm 2017 ¥15,000

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2017年8月18日 (金)

ドイツから帰ってきました

昨日、8月17日(木)にドイツから戻ってきました。

今日はまだ時差ぼけが抜けないみたいで、まだ眠いのですが、午後から新宿の眼科に行ってからステップスに来ました。

またブログ再開したいと思います。

ドイツについては、来週から3~4回に分けて報告する予定です。

とにかく、へとへとに疲れたというのが正直なところです。まるまる2週間の旅でしたが、搬入とオープニングに追われて余裕がありませんでした。観光もしていないし、お土産も買ってきませんでした。

唯一、観光と言えるのはカッセルのドクメンタを見にいったことぐらいかな…

ハプニングとトラブル満載でしたが、展示はなんとかうまく行き、満足のいくものになりました。みんな、ドクメンタよりこっちの方がレベル高いよね、なんていう軽口が出るくらいでした。

地元の新聞にも大きく取り上げられて、パーティーも盛り上がりました。

明日は、佐々木君の搬入があり、21日から展覧会がスタートします。また、展示を見に来てくださいね。

佐々木敬介(ササキキョウスケ)展

8月21日(月)-26日(土)

佐々木君は全日在廊する予定です。

吉岡は22日(火)と23日(水)は通院なのでギャラリーはお休みしています。

さて、わたしはこれから溜まった仕事を少しずつこなしていかなければなりません。

山のような郵便物と100通ほどのメールからやっつけようかな。

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2017年8月 2日 (水)

ブログも夏季休暇

8月2日(水)

ニパフのパフォーマンスアーティストたちが、霜田誠二に引き連れられてステップスを訪れた。ニパフは今まさに公演中なのだが、パフォーマンスは夜なので、銀座を回っているらしい。

わたしの作品を見てから、バルコニーで休憩。今日はわりと涼しいからよかった。

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アジアのアーティストと日本人の出演者合わせて10数人。みんな元気でいいなあ。

野生感とエネルギーに充ちている。

わたしは明後日からドイツ行きで憂鬱なのとは対照的である。

アーティストの中村宏太さんが、個展の打ち合わせで訪れる。事情があって、今年中に個展を入れる必要があるとのことで、なんとか調整して1週間入れることができた。他のギャラリーも当たってみたとのことだったが、ステップスは明るいので、やっぱりここでやりたいとのこと。ありがたいことである。

ステップスは今は休み中なのであるが、それを知らずに来たのは、坂本美紗希さんの搬入を手伝ってくれた、武蔵美の大学院生。

新宿の眼科に行って、目薬をもらってくる。ドイツに行くのに、少し余分に持っていかなくてはならないからだ。

新宿駅地下の「珈人」で遅い昼食。蟹ピラフとアイスコーヒー。今はなるべくパンは食べずに米を食べておきたい。ドイツに行ったらパンばかりになるはずなので、今のうちにご飯を食べておきたい。

銀座。伊東屋に寄ってA2パネルを4枚購入。蕎麦屋の「山形田」に頼まれている作品をパネル張りするためのもの。これはドイツから帰ってきてからだなあ。

ギャラリーに戻る。これから数通の面倒なメールを終わらせて、わたしの作品の撤去作業。

夜遅くなってしまうなあ…

明日は一日かけてドイツの荷物作り。

というわけで、ブログはしばらくお休みさせていただきます。

8月17日に戻ってくるので、次回は8月20日ごろに再開したいと思います。

みなさんも楽しい夏休みを!

P.S.

長谷見先生からメールがあり、「コペンハーゲンの酒」は「アクアヴィット」とのことでした。

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2017年7月31日 (月)

個展お礼

吉岡の個展も無事終了して、ギャラリーは夏休みに入りました。

暑い中おいでいただいた方には感謝いたします。

サイン帳には260人以上の署名があったので、実際の来場者は300人くらいかな、と思います。

作品も38点のうち、ちょうど半分の19点が売れました。

みなさん、ありがとうございました!

吉岡は金曜日からドイツに行ってきます。

テーピングインスタレーションの作品をアガーテンブルグ城に作ってきます。

11月には横浜のアトリエ・Kでやはりテープの作品を発表する予定です。

来年の個展では、ストライプではなく水玉の作品をステップスで発表します。

再来年の2019年はテープインスタレーション。

2020には再度カラード バーのシリーズを飾るつもりです。2020年にステップスギャラリーが存続していればですが…

まあ、脈絡なくいろんなシリーズをバラバラとやっていくつもりです。

作品の「一貫性」とか嫌いなのです。一貫性があるとなにが良いのかな?

どこが?なんで?

とわたしは訊きたい。

いろんな顔を持っているほうがポストモダンだと思っているわたしなのでした。

☆作品募集のお知らせ

「取手映画祭 2017」

映画祭開催日:2017 10月8日(日) 取手ウエルネスプラザ

ショート・ショートフィルム作品募集

大賞 10万円

応募期間:2017 7月24日~9月24日

入選10作品は映画祭にて上映。

問合せ:tel・fax 0297-72-8396 e-mail:toride.eigasai@gmail.com(染谷)

HP:toride-eigasai.webnode.jp

審査員

折笠 良(映像作家)

小泉 晋弥(茨城大学教授)

佐藤 時啓(東京芸術大学教授)

島田 忠幸(実行委員長)

谷 新(美術評論家)

藤井 信吾(取手市長)

松村 克弥(映画監督)

道川 昭如(カメラマン)

☆ゴッホの手紙

「われわれがこうして腰を落ちつけていれば、何時かわれわれにも勝利の日が訪れてくるだろう。人のうわさにのぼるような人間にはなれなくててもね。「内に苦あれば外に喜びあり」といった諺を、いくらか思わせるところがあるよ。

仕方がないさ、まだまだ戦わなければならないのだとすれば、ここでじっくりと機の熟するのを待たなければならないのだ。」

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2017年7月28日 (金)

ときどきお酒

連日暑さのなか、わたしの個展に来てくださった方がたには、本当に感謝いたします。あと2日ですが、がんばります。

早稲田大学の長谷見先生がまたお酒を差し入れてくれた。

名前はわからないが、コペンハーゲンと書いてあるのが左の壜で、右が、台湾の高粱酒。

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コペンハーゲンは38度、高粱酒は58度と書いてある。べろべろに酔いたい方はお申し付けください。

今日はセルビア大使館からまたラキアの差し入れがあった。

なんだかステップスには強い酒が集まる。でも、本当はわたしはアルコールに弱いのである。少しずつちびちび飲むのがいいかもしれない。ゴッホは、コーヒーと煙草、それとときどきお酒が必要だと言っているし。

26日(水)に朝日新聞を駅で買ったのだが、わたしの個展記事は見つけられなかった。駅やコンビニで売っている朝日新聞は「東京マリオン」は抜いてあるらしい。まあ、しょうがないか…とあきらめていたら、山形東高時代の同級生からメールで、新聞に載ってたね…と連絡があった。早速、その記事コピーして送ってほしいと返信。さっきギャラリーに届いた。ありがたいものである。

さて、来週からギャラリーはお休みになります。わたしはドイツに行ってきます。

夏季休廊

2017 7月30日(日)-8月20日(日)

休み明けは佐々木敬介展でスタートします。8月21日(月)~

☆展示、イベント案内

「太田三郎―世紀の遺書」

8月7日(月)-19日(土)

コバヤシ画廊企画室(銀座3-8-12 ヤマトビルB 1)

「バザー」

2017 9月3日(日) 10:00-15:00

セルビア共和国大使館(北品川4-7-24)Tel.03-3447-3571

販売する品物:衣類、日用品、CD、DVD、日本、セルビアの民芸品、芸術品、食品

好天の場合はバーベキューあり。

参加されるかたは、身分証明書(運転免許証、保険証、パスポートなど)をご持参ください。

お問合せ:080-4117-6284(角崎悦子)

「セルビア民族音楽の夕べ」

9月6日(水)19:30~21:30(開場19:00)

セルビア共和国大使館

参加費:一般4000円、バルカン地域の国の方と学生2000円

演奏:Japalkan(ヤパルカン)

バルカン音楽を紹介している日本人のユニット

曲目:クストリッツァ映画音楽、セルビアやバルカン地域の民謡や踊りの曲、オリジナル曲(演奏時間 約75分)

演奏後、懇親会あり。

参加申込:メールでお申込みください。

secretary.tokyo@mfa.rs 

申込後に下記の口座に参加費を振り込んでください。

りそな銀行 中目黒支店

(普)1328673

セルビア日本音楽交流推進の会

問合せ:セルビア日本音楽交流推進の会 080-4117-6284

serbia-japan@hotmail.co.jp

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『ゴッホの手紙』を読み進めているが、やはり面白くて、身につまされる箇所が多い。

「時々ひょっとしてもう少し余計に金を送ってくれたら、僕のためにではなく絵のために良い結果をもたらすのは受合いだ。僕には良い画家になるか悪い画家になるかどちらかしかない。そうしてもちろん前者を選ぶ。だが、絵画が必要とするものは、まるで破産させてしまう情婦のそれとおなじで、金がなければどうしようもないし、いくらあってもあまることはないものだ。だから、絵を描く仕事というものは団体の費用でおこなわれるべきで、画家が個人でその費用を負うべきものではないだろう。

だが、今のところはそんなことも言えまい、誰もわれわれに無理に描いてくれなどと言っているわけじゃないんだからね。絵画に対する無関心さは、残念ながらかなり一般的なしかも永久的な傾向なんだしね。」

「僕の描く絵はいつになっても値が出ないだろう、などと考えなければならないのは、実に憂鬱な見通しだ。せめてかかっただけの費用がとれるものなら、金のことは考えない、とうそぶくこともできように。」

「僕は毎日とても早起きして、昼も夜もよく食べ、疲れを感じないで断えず仕事ができた。しかし、われわれの生きている今の時世は、われわれの描いたものには値がつかないし、売れないばかりか、ゴーガンを見てもわかる通り、絵で金を借りようとしても誰も貸してはくれない。たとえそれが僅かな金額でしかも立派な絵でもだよ。だから当てのない生活に追い込まれているのさ。われわれの生きているあいだ、この状態は変らないんじゃないかしら。」

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2017年7月25日 (火)

ゴッホの手紙

7月25日(火)

さて、今日も一日がんばろうかな。リポビタンゴールドSを飲んで気合を入れる。

このリポビタンは作家のナガクボケンジ氏に先週もらったものである。かれはときどき差し入れとしてリポビタンを半ダースほど持ってきてくれる。わたしがいつも疲れたと言っているので気を遣ってくれているのである。

彼はリポビタンといっしょに、「トランス」というらしいのだが、電子機器の部品もプレゼントしてくれた。なぜ持ってきてくれたのかというと、これがわたしの今回の個展の作品に似ているというのである。

これはわたしの作品。

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そしてこれが「トランス」

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おお、似ているではないか!すごく小さいけど、なるほど色合いと形がわたしの作品みたいである。面白い。この縞の色には、一つひとつ意味があって、このトランスはどういう機能が内蔵されているのかがわかるのだそうである。

わたしの作品にはどんな機能も内蔵されてはいなくて、色にも意味はない。

芥川竜之介と志賀直哉を読み終わってしまったので、また教文館に行って本を捜してきた。選んだのは『ゴッホの手紙』上・中・下(岩波文庫)である。この本は昔、パラパラとめくってみたことがあるが、そのときは全く興味をそそられなかったのだが、今見てみると、なんて面白いのだろう!と驚いてしまったのだ。本てさ、何歳でそれを読むかっていうのは、わりと重要だね。有名な本でも、あまり読みたいと思わないのは、まだその「時期」ではないのだろう。

岸田劉生の日記を読んでいて気になったのは、その頃のお金の価値である。その頃の1円は今の相場だといくらくらいになるのだろう?いろいろ調べたらわかるはずであるが、わたしは調べることはしない。本を読んでいくと、ははあ、だいたいこれくらいなんだろうということがわかってきて、それが楽しいのである。わたしの当て推量では1円は現在の8000円ぐらいではないかと思う。

ゴッホの、弟に宛てた手紙を読むと、

「君の手紙と五十フラン札とを有難う。」

とか

「手紙と同封の百フランとを有難う」

などと書いてある。

そのころの1フランで、どのくらいのものが買えたんだろうと、いろいろ想像してしまう。それにしてもゴッホは弟のテオドルにしょっちゅう無心している。テオって本当に兄思いだったんだなあと、なんだか悲しくなるくらいゴッホに尽くしているのだ。1フラン1万円だと、弟は50万とか100万をいつも送っていることになるので、1万円ということはないだろう。じゃあ1000円だとどうなるかというと、5万円、10万円なので、これだとちょっと生活費としては少ないので、1フラン2000円くらいなのではないだろうか。でもゴッホは1日暮らすのに3フランはかかるとか言っているので1フラン1500円というのがわたしの結論である。

ゴッホは絵具も買ってくれと注文している。絵を描かないひとにはつまらないかもしれないが、そこのところをちょっと抜書きしてみる。

「ブラン・ダルジャン  大型チューブ 20本

同じくブラン・ド・ザンク 10本

ヴェール・ヴェロネーズ  普通の倍型チューブ 15本

ジョン・ド・クローム・シトロン  同前 10本

クローム黄 2番  同前 10本

ヴェルミリオン朱  同前 3本

クローム黄 3番  同前 3本

ラック・ジェラニウム  小型チューブ 6本

ラック・オルジネール  同前 12本

カルマン  同前 2本

ブルー・ド・プルス  小型チューブ 4本

シナーブル・ヴェール(非常に明るい)  小型チューブ 4本

ミーヌ・オランジェ  同前 2本

ヴェール・エムロード  同前 6本」

どうなのよこれ。かなりの値段になるよこれ。ほかにキャンバスも送れとせっついている。

そしてつぎの手紙には

「注文した絵具を全部送ってくれて君はすごく親切だ。…」

とある。

大丈夫かテオ!と心配になる。

ゴッホはこんなことも書いている。

「もしも君が一ヶ月か半月困るようだったら知らせてくれ給え。そうしたら素描をかくことにする、その方が費用がかからないから。」

やれやれである。ゴッホの素描がたくさんあるのは、経済的理由もあるようである。『ゴッホの手紙』には素描もたくさん載っていて、やっぱりゴッホはすごいなあ、と思うんだけどね。

ゴッホは弟が居なかったらどうしてたんだろうね。

友人ベルナールに宛てた手紙も面白かった。

「…ドミエも同じようにたいした天才だった。

ミレーも彼が所属していた階級を代表する画家だ。

これらの天才が気狂いじみていたとも考えられないことはない。彼等を手離しで感心して好きになるためには、こちらも少し狂う必要がある。」

「ああ君!頭の変なわれわれはせめて眼でも楽しもうじゃないか、そうだろう。」

もう少し読み進めてみよう。


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2017年7月22日 (土)

夏だ

吉岡展の動画です。

撮影は寺崎誠三氏。

https://youtu.be/OZMMg72FZ8M

ドイツのウテさんから展覧会の案内状が送られてきた。

ハガキなのか、チラシなのかわからないが、こんな感じになっているらしい。

Dm


わたしの作品の写真が使われていて、嬉しいんだけど、なんだかプレッシャーでもある。

この写真はハノーファーの個展のときの写真だが、この展覧会はウテさんも見に来てくれていて、彼女のイメージとしては、この時の作品と同じように作ってほしいのだろうなあ、と思うのだが、こんなに大きくは作れないかも知れない。

そんなことより、この写真に写っている後ろ姿の男のほうが問題である。かっこよくない。この男がわたしでなかったら何の問題もないのだが、これはどう見てもわたしなのであった。

これはアガーテンブルグ城のスケジュールらしい。わりとイベントが詰まっているようである。

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われわれの展覧会は右側のちょっと下に紹介されている。

「Why do some clocks tick differentry ?」

2017 8月13日(日)-10月1日(日)

アガーテンブルグ城(ブレーメン)

フランク・フアマン

チエコ・フアマン

アニカ・カールス

ウテ・ザイフェルト

倉重 光則

勝又 豊子

小川 さとし

吉岡 まさみ

(小川さんの名前は、漢字なのであるが、わたしのパソコンでは出てこない。倫理の倫のニンベンがリッシンベンになった字である)

チラシを見てみると、アーティストクッキングとか、コンサートとかいろんなイベントがあるようである。わたしたちはアーティストトークをやれば良いようである。

なんだかまたちょっと気が重くなってきた。わたしは、本当に旅行が嫌いであるということが、自分で増々わかってきた。

昨日、霜田誠二が来て、「ニパフ」のポスターを置いていった。

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第20回 ニパフ・アジア・パフォーマンス・アート連続展 2017

東京展:8月1日(火)・2日(水)・3日(木) 開演19:00

3331 Arts Chiyoda 地階B104 (千代田区外神田6-11-14)

問合せ・予約:090-1652-9127  nipaf@avis.ne.jp

15人のパフォーマンスです。

海外からのアーティストは7月30日に来日するので、吉岡の個展に間に合わなくて残念!というので、特別に個展が終わってからでも来てもいいよと言って、8月2日に来てもらうことにした。

それにしても暑い!

これからさらに暑くなるのだろうなあ。

夏だ。

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2017年7月20日 (木)

カラード バー

7月19日(水)

今日からわたしの個展がようやくスタート。

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日曜日に纐纈令君に手伝ってもらい、4時間かけて展示。バーをクロスさせた作品と、1本だけの作品と、2種類ある。

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事務所はこんな感じで、全部で38点になった。

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説明というか、なんでこういう作品を作ったのかについては、わたしが自分で書いた文章を配ったので、それを見てください。

でもね、カラード バーというタイトルそのまんまで、棒に色を塗っただけなのである。単純なのである。テーマはなに?と訊かれたら、「色です」と答えるだけなのである。あまり暗い色は使わなかった。「可愛い」と言われたいがためである。購入した人が、壁に飾って毎日眺めていられるような作品にしたかった。

掃除のおばさんに声をかけて、わたしの作品見てくださいよといって、ギャラリーに入ってもらった。「あらあ、いい色合いねえ!」と喜んでくれた。

「いい色合い」っていい言葉だね。

こういう反応がいいなあ。

夕方は何人か集まってくれて、事務所で飲み会。

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「colored bar 100」 木にアクリル 4×4×40cm ¥38,000

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「colored bar 096」 木にアクリル 4×4×40cm ¥38,000

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「colored bar 061」 木にアクリル 4×4×50cm ¥28,000

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「colored bar 073」 木にアクリル 4×4×50cm ¥28,000

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「colored bar 093」 木にアクリル 4×4×30cm ¥15,000

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今読んでいる田中英光の本が読み終わり、芥川竜之介も読み終わりそうなので、また2冊買った。

志賀直哉『志賀直哉随筆集』(岩波文庫)

芥川竜之介『年末の一日・浅草公園』(岩波文庫)

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ドイツに行く前に『吾輩は猫である』を開くわけには行かないのである。

『朱儒の言葉』のなかに、面白い箇所がたくさんあったので、美術に関係するところだけちょっと紹介する。

大きな絵は描かなくていいと言っていたのは岸田劉生だが、同じ事を芥川も言っていて痛快である。

「大作を傑作と混同するものは確かに鑑賞上の物質主義である。大作は手間賃の問題に過ぎない。わたしはミケル・アンジェロの「最後の審判」の壁画よりも遥かに六十何歳かのレムブラントの自画像を愛している。」

芸術家についても毒を吐く。或資本家の論理という短文である。

「芸術家の芸術を売るのも、わたしの蟹の缶詰めを売るのも、格別変りのあるはずはない。しかし芸術家は芸術と言えば、天下の宝のように思っている。ああいう芸術家の顰(ヒソ)みに倣えば、わたしもまた一缶六十銭の蟹の缶詰めを自慢しなければならぬ。不肖行年(コウネン)六十一、まだ一度も芸術家のように莫迦々々しい己惚れを起したことはない。」

日本人は芸術を理解しない国民であることは森鷗外が言っていたが、芥川も同じように思っていたようである。

「諸君は芸術の国民を毒することを恐れている。しかしまず安心し給え。少くとも諸君を毒することは絶対に芸術には不可能である。二千年来芸術の魅力を理解せぬ諸君を毒することは。」
















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2017年7月14日 (金)

吉岡まさみ展のお知らせ

来週はわたし吉岡の個展があります。来週も暑くなりそうですが、カラード バーのストライプシリーズを見に来ていただけると嬉しいです。

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こんな感じの作品が30点ほど並びます。

吉岡まさみ展

7月19日(水)-29日(土)

12:00-19:00(土曜日は17:00まで)

パーティーの予定はありませんのであしからず。

わたしは全日在廊するつもりです。

病院に行くので24日(月)の14:00-18:00は抜けますが、それ以外は居ります。

あさって、日曜日に搬入します。他の作家の展示は簡単に決められるのに、自分の作品の飾りつけは、迷ってしまってなかなか決まらないのです。今日もこれから展示を考えるつもり。

日曜に搬入をしたら、月曜と火曜は休憩です。

ドイツの展覧会のカタログにつける作品を2つ作ったら、勢いが出て、たくさん作ってしまった。ドイツ用の作品は13×18cmなのだが、まてよ、15×15cmのサイズのものを作っておけば、来年のアートカクテルに出す作品が出来てしまうじゃん!と素晴らしいアイデアがひらめいたのでした。

で、これがそのうちの3枚。

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ケント紙に写真とドローイングをコピーしただけの作品なのだが、わりとうまくいった。これを額に入れるとすっきりした作品になるはずである。来年4月のアートカクテル展に出します。

secret memory  Ⅵ  紙にインク 15×15cm 2017

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