2017年4月26日 (水)

掃除のおばさん交代劇

もうすぐゴールデンウィークであるが、2011年の5月1日からSteps Galleryがスタートした。展覧会は2011年10月1日からだったが、このスペースを借りたのは5月1日からだった。だから、来週の5月1日から、ギャラリーは7年目に入るのだ。

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そしてこの6年間、ギャラリーの入っているこの琉映ビルの掃除を担当してきたおばさんが交代することになった。

正直に言ってわたしはこのおばさんが苦手だった。とにかく愛想がないのである。そして掃除もかなり雑である。モップを洗ったバケツの水を、ギャラリーの流しに流してしまうので、シンクはいつも砂でざらついていたりした。

一昨日のことであるが、わたしが朝ギャラリーに着いて準備をしていると、ドアをトントンと叩く音がするので覗いてみると

「今日から掃除を担当することになりましたので、よろしくお願いします」

とほがらかそうなおばさんだった。

「ああ、代わるんですか?」

「そうです。わたしは月・水・金で、もう一人が火・木・土に来ます」

「え?ということは掃除は毎日入るんですか?」

前のおばさんは、月・水・金だけだったけどなあ。今度は毎日になるんだ…

「前の方は月・水・金だけだったですけどねえ…」

「そんなことないですよ。契約は毎日のはずです。3日しか来てなかったんですか?」

「そうですよ」

「それはサボってたんですよ。給料は週6日分もらってたはずですよ」

ビル会社の人もときどきビルに来ているが、おばさんが居ないときが多いので、問い詰めると

「それじゃあ辞めます!」

と逆切れしたらしい。

ということで、これからは掃除は毎日愛想のよいおばさんが担当することになったのだった。

そのおばさんが言うには、このビル(の掃除)は汚いということだった。前の人のいい加減な掃除が許せないらしい。

「この流しは共有なんですよね?」

「はい。うちで掃除してましたけど」

「ここも汚いから掃除しますね」

あとでシンクを見てみるとピカピカになっていた。

トイレもピカピカでトイレットペーパーは切れ目が三角に折ってあった。

わたしはとても気分がよくなって、よし、がんばるかな!という気持ちになったのだった。

☆休廊

ゴールデンウィークはギャラリーはお休みです。

4月30日(日)-5月8日(月)

次回展覧会は5月9日(火)-20日(土)

菅沼 緑 展でスタートします。

パーティーは行ないませんのでご了承ください。緑さんお酒飲まないし…

☆本

井伏鱒二『黒い雨』を読み終わる。

さすがだなあ。

すごくびっくりした箇所があった。主人公は姪の矢須子といっしょに住んでいるのだが、原爆症の症状が出たことを聞いたときの描写が、あまりにも鮮烈で、シュールレアリスティックでもあり、忘れられない3行である。その情景は寺山修司の映画を思わせる。

「矢須子は次第に視力が弱って来て、絶えず耳鳴りがするようになったと云っている。はじめ僕は茶の間でそれを打ちあけられたとき、瞬間、茶の間そのものが消えて青空に大きなクラゲ雲が出たのを見た。はっきりそれを見たー」

次に読むのは

斎藤泰博『ダ・ヴィンチ絵画の謎』(中公新書)なのだが、つい買ってしまったこの本も面白そうなのでどうしようか迷っているところである。

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ヒュー・オールダシー=ウィリアムズ『元素をめぐる美と驚き』上・下(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

元素に関する科学の本なのに、美術の話題が豊富に出てきて、かなり刺激的な本である。アステカの黄金からゴッホの絵具まで、というサブタイトルがついている。

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2017年4月24日 (月)

レクチャー「略歴を書く」

Art Cocktail 2017 寺崎誠三氏撮影の動画です。

https://www.youtube.com/watch?v=39T3r9TGNhE&feature=youtu.be

4月22日(土)

今日はレクチャー「略歴を書く」の日。

先週の水曜日は大使館の搬入で、日曜日はArt Cocktailの搬入。今週の水曜日は大使館の内覧会。そして今日のレクチャーでゴールデンウィーク前のイベントは終了。

ほっとしたせいか、疲れが出て極度に眠い。

午後、十河雅典夫人が来廊。

十河さんは怪我をしていて来られないから代わりに来ました、とのこと。

トイレに行く途中で転倒してしまい、頭を強く打って救急車で運ばれたらしい。頭を何針か縫ったそうである。いまは自宅に帰っているが、東京までくることは難しいとのこと。

大丈夫だろうか……

今回のアートカクテルに出品している中村宏太氏の知り合いの方が来て、中村君情報を教えてくれた。中村君は、以前わたしが美学校でセルビアの話をしたときに、友人に連れられて参加したのが知り合ったきっかけだった。で、今回のアートカクテルに出品をすることになったのだった。

だから、わたしは、中村君がどんな人なのかよく知らなかったのだったが、その友人によると、彼はハーヴァード大学を受験して合格したのだが、何とハーヴァードを蹴って東京藝大の油画科を選んだとのこと。

げ…

セルビアのレクチャーのときから、彼はわたしのことを「吉岡先生」と呼ぶのだが、それはぜひともやめていただきたい。

彼のおじいさんは芸術院会員だそうである。

世の中にはいろんな人が居る。

レクチャーは17:30から。参加者が5~6人だったら、テーブルを出して、ワインでも飲みながらだらだらとやろうと思っていたのだが、10人を超えてしまったので、普通に椅子を並べて授業みたいになった。

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例によって、レクチャーの内容は参加した曽根原正好氏のブログに詳しいので、そちらを参照してください。

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で検索してください。

参加者には宮田徹也氏とか早稲田大学の長谷見先生だとか「やっかいな」人物もいてやりにくかったのだが、わたしとしては言いたかったことをすき放題にしゃべったので、それなりに楽しかった。

思いがけない質問もいろいろあって面白かった。

「作品リストに値段が書いてあって、売れたら赤いシールを貼っていますが、価格の数字の上にシールを貼って値段が分からないようになっちゃってるの、あれどう思います?」

という質問には

「お客さんの側から言うと、値段て知りたいものだから隠す必要はないですね」

と答えると、

「うちのギャラリーでは数字の上に貼ってますね…」

と声を上げたのは、加島美術のスタッフの方だった。加島さんで扱う作品は、ステップスの作品の値段に0を二つくらい足さなければならないだろうから、ちょっとレベルが違うような気もするが…

終了後はみんなで軽くワインを飲む。

関水由美子さんが先週の個展のときに持ってきていた「外国の強いお酒」の蓋を開けて飲む。どこの酒だろうね、とみんなで壜のラベルを見たのだが、読めない…何語だろう。

長谷見先生が、どれどれと壜を持って手の中でまわして

「ああ、これはスウェーデンのお酒だね」

とのこと。

「これは凍らしてシャーベット状にして飲むんだよ」

彼はお酒に詳しいのである。

「ストックホルムなんてね、街から通りを一つ隔てると真っ暗なんだよ。お酒を飲むしかないんだろうね。ちなみに、世界で一番アル中の多い国はフランスとスウェーデンだよ」

ミニ知識を披露する。

本来凍らせて飲むスウェーデンの40度のお酒を、ぐびぐび飲んでいるのは宮田徹也。

レクチャー「略歴を書く」は、来年2月にもやる予定。

セルビアのミリツァ・ニコリッチの個展は無事に開催されたらしい。

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挨拶をしているのはミラン・トゥーツォヴィッチ

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なんだかユーモラスである。




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2017年4月21日 (金)

セルビア大使館へ

4月19日(水) 夕方

品川から歩いてセルビア大使館へ。

「LIFE and DEATH」展の内覧会。

セルビアから来ているヨヴァナに会う。2年ぶりだな。元気そうでよかった。今はイタリア留学中である。

わたしは司会なので、もうどきどきなのである。大使館のイェレナさんが大丈夫?と言ってラキアをもってきてくれたので、ちびちび飲んで少し落ちつきをとりもどす。

今回の内覧会はいろんなイベント抜きで、作品をじっくり見てもらって、来場者同士の交流をしてもらうということを主眼とした。

最初に大使に挨拶してもらってから作家紹介。そして参加者の紹介。普通は参加者をいちいち紹介することはないのだが、こういう会というのはみんな、どんな人が来ているのか知りたいものなのだよね。

スポンサー、評論家、学芸員、アーティスト、セルビア関係者、報道関係者、大使館職員と紹介していく。参加者が多いのでみんな紹介するわけにはいかなかったが、主だった人たちの名前を読み上げて、手を上げてもらう。

料理の紹介。今回はセルビア料理をふるまうことになっていて、作ってくれたのは、日本でセルビア料理を紹介しているイェレナ・イェレミッチさん。セルビアから食材をわざわざ運んで来て作ってもらった。

乾杯は早稲田大学教授の長谷見さん。乾杯はセルビア語で、ジヴェリって言うんだよと伝えて、セルビア語で乾杯してもらう。

そしてしばし歓談。

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古賀亜希子作品

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ヨヴァナ・トゥーツォヴィッチ作品

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金属の板を張り合わせた彫刻である。

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この作品が載っている台であるが、これは前田精史作の台である。そして白い天板は相澤秀人さんが作ってくれた。大使館の壁はコンクリートなので、コンクリートドリルで穴を開けて古賀さんの作品を展示した。このドリルは倉重光則から借りたのであった。いろんな人の協力があって展覧会って成立するものなんだねえ…

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イェレナさんのセルビア料理。

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美味しいんだよね。

ヨヴァナが囲み取材を受けているところ。今回は共同通信の取材があったので、いろんなメディアに記事が載ることになった。

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これは展覧会パンフ。テキストは東京ステーションギャラリー館長の冨田章氏。

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たいへん分かりやすくよい文章なので、全文紹介する。

死せる人形

冨田章

 人形という言葉は、「にんぎょう」と読めば英語のdollとほぼ同義であるが、「ひとがた」と読むとfigureに近い意味となる。いずれの場合でも、わたしたちはそこに象徴的な意味を見出す。子どもが人形(にんぎょう)遊びをするときに、ほとんど生きている人間と同じように話しかけるのは、その象徴性を理解しているからだ。人形(にんぎょう)を捨てることを躊躇する気持ちも同じことである。一方で人形(ひとがた)は、祭礼や宗教的な儀式の場で、まさに人そのものとして扱われ濃厚な象徴性をまとうことになる(お祓いの際に用いられる形代はその典型だ)。

 古賀がモティーフとするリカちゃん人形は、幼少時にこの写真家が遊んでいたものである。成長していくどこかの段階で、人は人形遊びから卒業するが、それは自分の中でいったん人形を葬ることと同義である。たとえ大切に保存されていようとも、子どもの手を離れた時点で人形は死を迎える。一度死んだ人形を大人になってから撮影することは、だから単純な郷愁などではありえない。古賀がもう一度遊びを始めたのでない限り、写真にその姿を留めることは、逆に死を決定的に刻印づけることになるだろう。

 トゥーツォヴィッチのAylanは、地中海の浜辺に打ち上げられた3歳のシリア難民の子どもの名前である。その衝撃的な映像が与えたショックはまだ記憶に新しい。この子どもを人形(ひとがた)として制作することは、この子どもに新しい生命を吹き込む、あるいは永遠の生を与える、などといった言葉で表現される行為では決してない。そうしたきれいな言葉を拒絶する厳しさが、この事実には潜んでいる。むしろ死という現実が、より強烈に突きつけられていると言うべきであろう。

 本展では日本とセルビアという、地理的にも歴史的にもあまり深い関わりを持たないできた両国に生まれ育ち、一方で女であるということと創作者であるという共通点を持つ古賀とトゥーツォヴィッチの作品が、「人形(にんぎょう/ひとがた)」というモティーフを媒介に交感する。平面と立体とい形状の違いのみならず、両者の手法は大きく異なっているし、対象に対峙する姿勢も隔たっている。にもかかわらずその交感が興味深いとすれば、それは彼女たちの作品が、「人形(にんぎょう/ひとがた)」を通して死(と生)を見つめる契機をともに孕んでいるからにほかならない。

LIFE and DEATH

4月20日(木)-28日(金) 会期中無休

11:00-17:00

在日セルビア共和国大使館


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2017年4月20日 (木)

アートカクテル

4月19日(水) 午後

今日からArt Cocktail 2017がスタート。

日曜日に搬入で、スタッフ3人といっしょに奮闘。途中から宇野和幸せんせいも駆けつけてくれて、予定よりも早めに終わって一安心。でもやはり100点の作品を展示するのは大変で疲れ果ててしまった。

会場の様子はこんな感じ。

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初日でもあり、お客さんでにぎやかだったのだが、わたしは夕方から、セルビア大使館の展覧会「LIFE and DEATH」の内覧会があって司会を担当しているので、途中からギャラリーを抜けて、大使館のある品川に向かったのだった。

☆展覧会案内

「西林 佳寿子 ジュエリー展」

5/7(日)-13日(土)

AC GALLERY(銀座5-5-9阿部ビル4F)

「金子稜威雄 追悼展」(ジュエリー)

5/8(月)-13日(土)

のばな(銀座2-4-1銀楽ビル2F)

「中村ミナト・島添昭義 二人展」(ジュエリー)

5/15(月)-25(木) 火曜日休

アートスペース煌翔(杉並区阿佐ヶ谷南3-2-29)

「清水晃展」

5/15(月)-27(土)

ギャラリーKANON(銀座1-9-8 奥野ビル613)

「田中秀穂 展」

5/25(木)-30(火)

NMCギャラリー&スタジオ(小平市小川西町4-14-27)

「一井すみれ 展」

5/27(土)-6/7(水)

SUNABA GALLERY(大阪市浪速区日本橋4-17-15)

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2017年4月15日 (土)

ブレーメン

ドイツのブレーメンで開催されるグループ展の連絡がまたウテさんから入る。わたしのテーピングで使うテープは多めに持ってこいとのこと。ウテさんは以前わたしがハノーファーでやった個展のときにテープが足りなくなったことを知っているのである。さらに、テーピング作品では写真も使ってやって欲しいとのこと。これはたぶんお城の学芸員からの指令なんだろうな。そして、展覧会は8月なのに、すでに展覧会のお知らせはいろんなところで始めているらしい。これはその記事。

http://www.schlossagathenburg.de/programm/541/warum-ticken-manche-uhren-anders/?category=3

今ちょうど倉重が来たので、いっしょに見た。わたしが

「おれの作品のほうが大きく載ってるよ」

と言うと倉重は

「でもおれのほうが内容が濃い」

二人とも負けず嫌いなのである。

倉重は泡盛を飲んで酔っぱらってしまった。おれは嫌いなアーティストは二人居る、とかいろんなぶっちゃけ話も始まる。

セルビアの思い出話とかを関水さんに話す。

「吉岡と二人暮らしをしたんだよ。あれはエロスだったねえ」

「まあ、エロスといえばエロスかな」

「だって毎日が初体験なんだから…」

倉重はこれから展覧会の打ち合わせらしいのだが、大丈夫だろうか。

倉重は大阪のアベノハルカスでのコンサートの舞台を作ったり、韓国で展覧会があったりする。そのあとがドイツである。またエロスになるのだろうな。

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2017年4月14日 (金)

アートカクテルは4/19(水)から

来週のお知らせをします。

Art Cocktail 2017

4月19日(水)-29日(土) 日曜休廊

17日(月)と18日(火)はお休みですのでご注意ください。

12:00-19:00(土曜日は17:00まで)

パーティー等は予定しておりません。

ちなみに初日の19日(水)は吉岡はギャラリーに居ません。14:00-16:00ごろには顔を出していますがその後は出掛けるので悪しからず。

セルビア大使館の展覧会「LIFE and DEATH」の内覧会がちょうど19日で、わたしは司会をすることになっているのです。

16日(日)はアートカクテルの搬入。わたしを含めて4人で8時間かけてやります。作品は100点以上あって、今日も続々と作品が集まっているので、てんやわんやです。

とりあえず今ある作品を紹介します。

カセイ イノウエ

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永野のり子

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島花梨

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古賀亜希子

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勝田徳朗

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小口あや

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松本聡子

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相澤秀人

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槙野央

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☆展覧会

「間島 秀徳 展」

4/17(月)-29(土) 11:00-19:00

ギャルリー志門(銀座6-13-7 新保ビル3F)

昨日ね、ドイツのウテさんからメールが来たんだけど、8月のブレーメンでのグループ展のときに、ちょうどドクメンタ展が開催されているので、日帰りで行きましょうよ、とのこと。

ドクメンタは見たことがないので、ぜひぜひ見てみたい。ブレーメンとカッセルは遠いのかな?

今日、兵庫の大森梨紗子から作品といっしょに椎茸が送られてきた。彼女は百姓なので、いろいろな作物を作っているのだけれど、とにかくその大きさに驚く。

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どうやって料理してくれようか。

今読んでいる本はこの2冊

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井伏鱒二「黒い雨」(新潮文庫)

斉藤泰弘「ダ・ヴィンチ絵画の謎」(中公新書)

さて、またアートカクテルのキャプション作りに戻らなくては…




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2017年4月13日 (木)

水彩画禁止区域

稲毛駅前のパン屋さん「サンジェルマン」に現われる「よぼじい」の話である。この人のことは何度か書いているので、覚えている方もいらっしゃると思うのだが、またまたやらかしてくれちゃったわけで、わたしは今ものすごく忙しくてブログを書く時間がないのだが、しかし、これはどうしても書いておかなくてはならないと決して書くのである。

よぼじいというのは、よぼよぼの爺さんという意味である。よぼよぼなんだけど年齢は73である。しかし見た目は87歳くらいである。73とは思えないほどよぼよぼなのである。よぼよぼなのに口だけは達者でうるさいのである。話し相手がいないときは時代小説を読んでいる。読み進むのが速いので、たぶん会話文だけ読んで、あとは飛ばしているのである。

さて、このあいだ、サンジェルマンで朝食を食べているとよぼじいが現われてコーヒーを飲みだした。しばらくするともってきた頭陀袋からごそごそと何かを取り出して、テーブルに並べ始めたのである。なにか平たい箱のようなものが現われた。ん?んん?ひょっとしたらそれって絵具じゃない?水彩絵具だ。うそ…

次に出てきたのはスケッチブックである。あら…

サンジェルマンのテーブルは小さい丸テーブルで小さい。ドトールとかにある一人用の丸テーブルと同じくらいの大きさで、絵具とスケッチブックを載せたら一杯になってしまったので、よぼじいは飲み終わったコーヒーカップをかたづけてしまった。そしてパレットを出した。あ、それは四角いプラスチックの…水入れじゃん。爺さんはその水入れを持ってトイレに行った。すぐ戻ってきたが、水入れには水が満たしてあった。

爺さんはスケッチブックを開くと、プラスチックのパレットの穴に親指を差し込んで筆を動かし始めた。これは紛うことなく水彩画の制作である。

わたしは絶句した。

パリのカフェとかでスケッチしているのなら様になるとは思う。しかし、ここは名前はサンジェルマンだけど、日本のパン屋さんの喫茶室のさらに奥の喫煙コーナーなのである。

そういうことはやめてほしい。なんか見苦しくて恥ずかしい。

ドトールなどのカフェでは、「お勉強」をする学生が多くて、場所をとるので迷惑なのだが、お店のほうでも「ここでの勉強はほかのお客様のご迷惑になりますのでご遠慮ください」と張り紙をしたりしている。

サンジェルマンでも張り紙をしてほしいと切に願う。

「ほかのお客様のご迷惑になりますので、水彩画を描くのはご遠慮ください」

わたしは、ここサンジェルマンの喫茶室を「水彩画禁止区域」に指定する。

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2017年4月10日 (月)

関水由美子のこつこつ

関水さんは今回の個展の作品制作で2kg痩せたそうである。

ということはですね、連続で5回くらい個展をやったら10kg体重が減るということだろうか。

それってライザップ並みかもしれない。

痩せるくらいに制作に打ち込んだわけなので、作品のエネルギーはかなりのものである。

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今日から関水由美子 展

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もともと日本画科の出身なので、紙に墨などを使った作品が多い。

丹念に丹念に小さなイメージを膨らましていく。こつこつこつこつと描いていくと、やがて壮大なイメージが現われるのである。

「空に向かっている」 紙・墨・インク・岩絵具・アクリル 130×156cm 2017 ¥700,000

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事務所のスペースには小品がいっぱいである。これじゃあ痩せるわけなのである。

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「いま みえるもの 14(左) 11(右)」 和紙・墨・インク・岩絵具・アクリル 13.5×9cm、13×9cm 2017 各¥8,000

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「遠回りする」 和紙・墨・インク・岩絵具・アクリル 10×10cm 2017 ¥8,000(額込)

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「心放たれる」 和紙・墨・インク・岩絵具・アクリル 41×32cm 2017 ¥30,000

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「こつこつ」というパワーの出し方による作品というのは見る人の目を、制作にかけた同じ時間だけひきつけるものなので、飽きないものなのである。

関水さんは毎日フルでギャラリーに詰める予定です。










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2017年4月 6日 (木)

リトルプリンセス

毎日こき使われてへとへとな上に、食事を抜かれたりして、目が回りそうになるくらい空腹が続いているところだったが、お使いの途中で、泥濘のなかに4ペンス硬貨を見つけたセーラ。目の前にパン屋さんがあり、そこでお店の人に、これ落としませんでしたか?と聞くと、それはずっとそこに落ちていたのだから、あなたのものよと言われる。セーラはその4ペンスでパンを買う。ぶどうパンが一つ1ペンス。4つ買える。お店の人はセーラのあまりにみすぼらしい姿を見て2つおまけをしてくれて、ぶどうパンを6つ手に入れる。たぶんロールパンみたいな小さなパンなので、セーラは、これを6つ全部食べても空腹は癒されないと思いながら店を出ると、そこにはセーラよりももっと空腹で飢えた顔を見せる小さな少女がいた。

セーラは考える。

「こういうとき、プリンセスならどうする?」

バーネット『小公女』にわたしは勇気と力をもらっている。なんという小説なのだろうと思う。

セーラは6つのパンのうち5つを少女にあげてしまうのである。セーラは残った1つのパンをひと片ちぎって口に入れる。これはひとちぎりで食事1回分なんだわ。ああ、お腹一杯。こんなに食べきれないわという空想。

『小公女』は児童文学ではない。わたしはこれを今読んで本当によかったと思う。

訳者の畔柳和代はあとがきのなかでこんなふうに言っている。

「今回は…大人も読む『小公女』を意識しながら訳した。本当の子どものみなさんには、むずかしかったらすみません。」

バーネットの時代にはそもそも児童文学というジャンルはまだなかったのだ。

『小公女』の中には宝石のようなことばがいたるところにちりばめられていて、素直に感動してしまった。

「おなかが空いているってどういうことか、私、わかるんです。真似事をしても忘れられなくなると、とてもつらいんです。」

「でも何が起ころうと、とセーラはその日ずっと思っていた―何が起ころうと、世界のどこかにいる素晴らしくやさしい人が味方なのだ―私の味方。誰だか一生わからなくても― 一生お礼を言えなくても―これからは前ほどさびしくなることはない!ああ、〈魔法〉は本当によくしてくれた!」

『小公女』の次に読む本は

D.H.ロレンス『無意識の幻想』(中公文庫)

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過激な論戦を挑んでいて刺激的である。

☆展覧会

「島田忠幸 展」-プリニウスの動物達-

4/16(日)-6/25(日) 金・土・日・祝 開館 11:00-16:00

中之沢美術館(群馬県前橋市粕川町中之沢249-14)

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「LIFE and DEATH」 セルビア・日本現代美術交流展

ヨヴァナ・トゥーツォヴィッチ/古賀亜希子

4/20(木)-28(金) 11:00-17:00

会期中無休・入場無料

在日セルビア共和国大使館(品川区北品川4-7-24)

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ヨヴァナさんは展覧会に合わせて来日します。

月刊「ギャラリー」と「美術屋 百兵衛」の今月号に記事がありますので、機会があったら見てください。

☆パーティー

来週のSteps Galleryの「関水由美子展」ですが、初日4月10日(月)17:00-19:00 パーティーを開きます。バルコニーが気持ちいい季節になってきました。ぜひおでかけください。

☆レクチャー

吉岡レクチャー最後のお知らせです。

レクチャー「略歴を書く」-美術の事務作業を復習する-

4月22日(土)17:30-18:30

会場:Steps Gallery

申込:4月18日(火)までにメールでお申込みください。完全予約制

    stepsyoshioka@nifty.com

参加費:300円

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2017年4月 3日 (月)

森彬博展スタート

若い作家とベテラン作家というのは、なぜだか作品を見れば分かるのであるが、それが不思議である。何なんだろうね、作品は作品で独立しているわけだし、作品に若いもベテランもないと思うのだが、それがあるから不思議なのである。

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小品を中心に並べた。日常の自分の周辺にあるものたちに対する観察と違和感がテーマになっている。

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一見、とりとめのない題材と画材で描かれていて、見ているほうが集中するのに骨が折れる感じなのだが、それこそが森のテーマなのであろうと思う。

「farmer's tempo」 キャンバスに油彩、アクリル 45.5×65.2cm 2017 ¥140,000

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「かくれが」 キャンバスに油彩 20×20cm 2016 ¥24,000

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抽象画も描く。

「Grassy emerald」 キャンバスに油彩、アクリル 2017 ¥31,000

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「Un birthday」 木に油彩、アクリル 27.2×22cm 2017 ¥18,000

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どの作品も非常に繊細で神経質な感じがするのだが、同時にどこかほっとさせるところもあって、そこのとりとめのなさが魅力であるということもできる。

かるーく描いているようであるが、本人はかなり疲れてしまったようだ。







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