2018年11月14日 (水)

展覧会の秋

どうもわからないことがある。

涼しくなってきて、美術の秋でもあるわけで、いろんなところで、いろんな人が賑やかに展覧会を開いている。

わたしのエネルギーが減ってきたこととも関係あるのだろうが、みなさんの情熱というか、エネルギーというのか、そういうのがわからないのである。

ギャラリーをやっていてこんなことを言うのはおかしいのだが、ギャラリーをやってるからこそ感じるものがあるのだ。

なぜ展覧会をやるのか?何のためにやるのか?

わたしは、なぜ個展をやるのか、というレクチャーをしてきたし、その目指すところはどこにあるのか、ということを考えてきたのだが、本当のところはあやふやなのかもしれない。

わたしが初めて個展をやったのは26歳のときである。京橋にあったかねこ・あーとGⅠでやった。金子さんはかねこ・あーとギャラリーをやっていて、リー・ウーファンとか菅木志雄とかを扱っていて、勢いがあった。その金子さんが、「売れなくてもいい」ギャラリーということで、GⅠを作ったのだった。売れなくてもいいというのはどういうことかというと、若い作家でインスタレーションをやる人たちを育てたいと考えたからだった。「売る」作品はギャラリーでやるから、GⅠの方は好き勝手にやらせるという方針だったらしい。オープニング展はリーさんとか大物のグループ展だった。その展覧会を見に行ったときに、スタッフの女性がわたしに声をかけてくれた。作品を作っているんですか?どういう作品?ここで個展やれば?と言ってくれたのだった。

そのとき、わたしはなぜ個展をやりたかったのかと今振り返ってみると、ほとんどなにも考えていなかったような気がする。ただ「個展ってかっこいいじゃん」と思っていたようである。

後日、金子さんに作品の下絵を見てもらいに行った。紙に描いたドローイングを30枚ほど持っていった。金子さんは、一枚ずつ作品を見て、「ダメ」…「ダメ」…「ダメ」とダメ出しの連射である。ああ、これは個展はできないなと思っていると、最後の一枚まで来てしまった。そして、その最後の一枚を見て、金子さんは、「これはいいんじゃない?」と言って「じゃあ個展やってみるか」と続けてくれたのだった。

ギャラリー代は親に借金した。

最初の個展からテープインスタレーションでやった。会場で、金子さんがわたしをお客さんに紹介するときに「こちらが作家さん」と言った。え?作家?おれって作家なんだ!?とドキドキしたことを憶えている。

とにかく自分の作品をいろんな人に見てもらえるということが新鮮で嬉しかった。インスタレーションだから作品を売るということは考えていなかった。金子さんは、そのうち売れる作品を作れと言った。

英字新聞のアサヒ・イブニング・ニュースの記者が来て取材をしてくれて、作品の写真入りで記事を載せてくれた。

なかなか良いスタートである。

あのころわたしは何を考えて作品を作って、発表していたのだろうか。

いろんな人に出会えて、作品を見てもらい、ほめてもらったら嬉しくて、少しでも名前が知られたらいいなあと思っていたのではなかったか。

名前を知っている活躍中の作家が来てくれたらわくわくした。

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あれから35年…

作品を作るということと、それを発表することはまったく別のことであるし、使うエネルギーも別である。

ただ見てもらったら嬉しい、というのは若いときにだけ許されるのである。

発表することだけが目的ではないはずである。

とにかく良い作品を作らなくてはけない。

作品が売れないのは、作品がイマイチなのである。

売れればいいかというと、そうでもない。

売れなくてもいいのか、というとそれは問題外である。

個展やグループ展は、じっくり考えて、「勝負」することを目指さなければならないのではないだろうか。特に年を取ったらそう何回も勝負できなくなるだろう。

なぜ展覧会をやるのか、改めて考えてみようかな。

☆展覧会

「千崎 千恵夫 展」

11/23(金)-12/16(日) 開廊日 金・土・日

12:00-18:00

スペース23℃ (世田谷区中町2-17-23)大井町線、等々力駅から徒歩10分

「野沢 二郎 展」

11/26(月)-12/1(土)

コバヤシ画廊(銀座3-8-12ヤマトビルB1)

「一井すみれ 展」

12/2(日)-9(日)

11:00-20:00

Room_412 (渋谷区桜丘町15-8 髙木ビル412号室)

宇野さんが3つのグループ展に参加します。

「日中国際交流美術展 招待作家展」

11/27(火)-12/2(日)

9:00-16:30

千葉県立美術館 第4展示室

「直角はありません」

12/1(土)・2(日)・7(金)・8(土)・9(日)

13:00-19:00

アート・スタジオ Dungeon (板橋区大和町2-1)

「関景考」

宇野和幸・大友一世・矢成光生

12/14(金)-26(水) 月・木休廊

オープニングレセプション:12/15(土)16:30~

ギャラリー睦(千葉市中央区弁天3-8-11)

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2018年11月10日 (土)

藤本氏の立候補

11月9日(金)

バンクシーについて書こうと思って、ブログを書き始めたのだが、途中でやめた。具合悪いのが残ってて続かない。バンクシーについて書き始めたら、バンクシーってつまらないということもわかってきた。

アナトール・フランスの言葉も用意していたのだが、バンクシーの作品は底が浅くて、フランスの言葉を引くまでもないのだった。

どんな言葉を用意していたのかというと、これである。

「…芸術によって芸術をやっつけ、才気によって才気をやっつけることは、その意に反して、才気と芸術とに奉仕することにしかならない、ということに彼は気づかなかったのだ。」

草間弥生についても書こうと思っていた。中国でやられている偽展覧会について。草間の贋作を作るのって、案外難しいかも、とか、贋物と並べると草間の本物は、本物感があるじゃん!とかどうでもいいことを書こうとしていたが、だるくて、これもやめた。

そのままぼうっとしていたら、夕方になって、笠間の藤本均定成氏が現れる。ちょっと、報告があるという。

「たいしたことではないんだけどさ、今度、市議会議員選挙に出ようと思って…」

「!!」

笠間市議会の選挙に立候補するのだそうだ。わお!とうとうそう来たか。

いつかはそうなるだろうと思っていたが、ようやく決心したわけね。

藤本さんは、笠間市では知名度もあるし、いろいろなところで市に貢献もしているので、当選するのではないだろうか。投票日は12月9日だそうである。

応援に行かなくてもいいかな。

昔、笠間でArt Cocktail 展をやっていたころ、みんなで、藤本さんに、議員になればいいのに、とそそのかしていたのだが、本当にそうなるとは思っていなかった。選挙のときは、みんなに一人一枚ずつポスターを描いてもらって、それを作品として掲示すると、酒を飲みながら話していたのだが、この間、選挙と立候補についての説明会があったときに、藤本さんは、このポスターのアイデアについて質問したら、その場で即却下されたそうである。まあ、そりゃそうだろう。

そんな話で盛り上がっているところに一色映理子が登場。来年の個展の打ち合わせに来たのだ。一色は、現在の作品の進捗状況についてどんどんしゃべり出して、止まらなくなる。藤本さんも圧倒されて黙ってしまった。一色さんて、こんなにおしゃべりだっけ?いつもは控えめで静かなイメージがあるのだが、今日はなんかハイである。

案内状に使う作品がまだ出来ていない。本当は9月締め切りだったのだが、10月いっぱいね、と延長して、さらに11月中旬に延ばしたりしたのだが、もう少し変えたいという。日曜日が空いているので、日曜日に仕上げますというので、いいよ、と答える。案内状は、わたしが考えたアイデアと下書きを見せたら、私が考えていたのと同じです、というので、それで即決。

一色は、そのあとまたいろんな話をしてから帰る。

一色は6年ぶりの個展。彼女の転機になる作品が並ぶはずである。この展覧会は、Stepsの転機にもなるかもしれない。

教文館で本を買う。

中野重治 『梨の花』(岩波文庫)

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レジに本を持っていくと、わりと年配の店員さんが、本を見て

「ああ… これは傑作ですよね」

という。

わたしは、彼の目を見ながらうなづく。

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2018年11月 8日 (木)

年末疲労

具合の悪いのと疲れとで、わたしはぐったりしている。なにも出来ない状態なので、こうやってぶつぶつと愚痴を言うことだけが、慰めなのである。

先週の石原さんの個展の途中あたりから急に具合が悪くなってきた。寒いのと、疲労の堆積が影響している。

外の景色は爽やかなのだが、わたしの身体と気持ちは曇っているのである。

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ギャラリーを始めてから、ベーチェット病の発作はほとんど無くなっていたのだが、久しぶりに本格的な発作が来た感じである。

もうなにも出来なくなるわけですよ。頭がぼうっとして熱っぽくなるし、頭が締め付けられるような頭痛もするし、立つとふらふらする。

土曜日は、前田さんの搬入だったのだが、わたしは限界が来たので、途中で帰らせてもらった。

日曜日はマッサージに行ったが、やはり驚かれる。なんでこんなに凝ってるんですか?

ベーチェットの発作で身体の凝りもひどくなるのである。

昨日の水曜日は久しぶりにどこへも出かけずに一日寝ていた。一歩も外へ出なかった。ずっと寝ていた。いくら寝ても眠さがとれない。12時間寝て起きてもまだ眠いのである。睡眠不足で眠いのではない。眠いという症状なのではないかと思う。

もちろんお風呂に入る元気もないし、顔も洗わないで寝てしまうのである。

昔はこういう症状が一週間とか続いて散々な目にあっていたのだが、いやあ、久しぶりだなあ。今朝はなんとか起きて、お風呂に入って、がんばって出て来た。

なんかもうエネルギーが枯渇してきた。

個展、グループ展とか、みんなそれぞれ元気に活動しているが、わたしはそういうがんばる気持ちが薄れてきたような気がする。

年をとって、エネルギーが少なくなってきたら、無理をしてはいけない。作品を作ったり発表したりするのも、無闇矢鱈とやるのではなく、ちゃんと選んで計画的にしないと、たぶん続かない。

一つひとつ丁寧に、自分のペースでやらなくてはいけない。

無駄なエネルギーの使い方をしてはいけない。

本を読むのも同じである。死ぬまでにあと何冊読めるかわからないが、それほど多くはないことがわかるので、厳選しなくてはならないのである。

アナトール・フランス 『エピクロスの園』(岩波文庫)が癒される。

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ちょっと休もうかな。

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2018年11月 6日 (火)

前田精史の物語性

変化は少しずつ起こる。急激な変化、変容と見えるものでも、それは緩慢なペースでの変化が積み重なったものである。

今回の前田精史の彫刻作品も、明らかな変化を見せつつあるが、急に思い立ったというような変化ではなく、前田の、徐々に変る日常が、その精神に反映したものであると考えるのが妥当であろう。

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では、どのように変化したのであろうか。

それはひとことで言うなら「物語」であるとわたしは考える。

これは「種まき器」と題された作品。

「種まき器」 鉄・真鍮・ 他 30×30×5cm 1998-2018 ¥250,000

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鉄の板に金属のパイプが埋め込まれていて、そのひとつに、ビニールパイプがつながれている。どうやって種をまくつもりなのだろうか。ここにはすでに物語が発生している。

「欲望」 鉄・樹皮・貝殻 90×180cm 2018 ¥600,000

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鉄板の抽象彫刻の上に貝殻と樹皮が取り付けられる。

具体物の登場である。この貝殻と樹皮は、純粋に形や色が面白いから付けてみたのではないことは見るだけでわかるだろう。これは造形であり、言葉でもある。言葉は饒舌であり、すぐさまシュールレアリスティックな物語をつむぎ出すのである。

冷たい静謐な金属抽象彫刻を作る作家と思われていた前田の、奥に(裏に)隠れていた情念が滲み出してきているのかもしれない。

「Rebirth」 鉄・アルミ 他 サイズ可変 1994-2018 ¥1,200,000

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これはあきらかに樹木のイメージを形にしたもので、小さな葉っぱまで付いている。有機的な形がわれわれの眼を惹きつける。

これなんか、もう葉っぱだもんね。

「葉・葉・葉」 アルミ サイズ可変 2018 各¥10,000

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事務所の壁には小品をたくさん並べた。

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「white area Ⅶ」 楠・ジェッソ 15×15×3cm 2018 ¥15,000(売約済)

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「dance(黄)」 紙・合板・塗料 24×24×4.5cm 2017 ¥21,000

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テーブルの上には「葉っぱ」が50枚。

「leaf」 アルミ・銅 24×4.5×4.5cm 2018 各¥10,000(アルミ)、各¥12,000(銅)

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こうやって並べると涼やかであるが、制作の方法を聞くと、かなりハードな仕事であるらしい。アルミと銅の棒を叩いて葉のよぷな形に成形するわけだが、鉄床の上でハンマーを振り下ろしながら一日中叩いていると、腕がパンパンに腫れあがるそうである。一日がんばって3点が限界だそうである。

作品の上の物語を読むのも楽しいが、前田の個人的な物語も含めると、さらに味わい深い。


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2018年11月 3日 (土)

前田精史の彫刻

来週から2週間は前田精史展。

ものすごく気合が入っていて、今午後2時なのだが、バルコニーで作品の梱包を解いたりしてすでに忙しい。搬入は今日と明日の2日かけて行なう。

小品がたくさんあって、全部で100点を超えるようである。

小品というのは、これである。

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高さが24cm。右が銅で、左がアルミで出来ている。leafというタイトルである。銅は¥12,000で、アルミが¥10,000.大サービス品である。

パーティーはやります。初日17:00-19:00。ぜひ新作を見に来てください。

前田さんは、基本的に毎日居る予定ですが、時間は不定です。

以前のブログで、箏の澤村祐司さんのことを書いたが、昨日、彼から電話がかかってきた。コンサートには行けなかったのだが、妻が「行きたい」というので、チラシを渡したのだが、行ってみると当日券はすでに売り切れていて、キャンセル待ちにも行列ができていたそうで、結局、聴くことはできなかったそうである。すごい人気である。そのことを、メールで澤村さんに送ってみたのだが、そしたら電話がかかってきて、「申し訳ありませんでした。CDを送らせていただきます。」と言うのである。

この人は大物になるね。

島崎藤村 『新生』を読み終わる。

いやあ、すごかった。姪の節子は親戚の居る台湾に行くことになるのであるが、そのあとはどうなったんだろうねえ。

これを書いてしまうという藤村の覚悟がすごい。

親戚やいろんな人から、こんなことを書いてしまってどうするんだ!と総攻撃を受けるし、世評も非難の声が止まないのであるが、そのときは、大変だったろうなあと思うのだが、こうやって書くことによって、われわれはいろんなことを学ぶのである。

節子という、不幸ではあるが、素晴らしい女性が居たことがこうしてずっと残るわけである。

藤村が 『新生』 を書くことを節子自身も了承する。

台湾に行くことはもちろん望んで行くのではないし、叔父さんの藤村のことは、ずっと好きなのである。

台湾に行く直前の手紙。

「わが心にあらず、御心のままに。

節子

捨吉様

心からの信頼をもって遠い旅に上る身の幸を思い、そのよろこびをここに残してまいります。」

泣いてしまった。

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2018年11月 1日 (木)

『新生』

島崎藤村 『新生』の前編を読み終わり、後編も半ばを過ぎるところまで進んできた。

藤村というと、なんだか堅そうで、読もうと思わなかったのだが、『藤村とパリ』を読んで、藤村の作品も開いてみようと思ったのであったが、いきなり 『新生』でよかったのかどうか迷うところだが、『藤村とパリ』は 『新生』と重なっているので、まあしょうがないのである。

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藤村は子供がたくさんいたのだが、次々と病死していき、奥さんも死んでしまって、意気消沈していたのだが、親戚の姪が二人住み込みで藤村の家の手伝いをすることになって、なんとか一家は無事に生活している。しばらくして姪の姉のほうは結婚して家を出て行く。残った節子だけががんばって家の世話をしている。なんということもない、平和な日々を送っているのだが、ある日突然節子は、「わたしは母親になります」と告白するのである。赤ちゃんができたのである。

え?え?え?

読みすすんでいくと、赤ちゃんの父親は、なんと藤村なのである。

何の伏線もないまま、いきなりの急展開に仰天する。

井上荒野の小説もたじたじの暗転である。

この小説は、「事件」後かなり経ってから、新聞に連載されたのであるが、これを読んだ田山花袋は、驚き焦って、これは大変だ、藤村は自殺するかもしれないと心配したそうである。

節子が妊娠したことで、藤村は慌てふためき、気が動転し、毎日煩悶しながら打開策を考えるのであるが、なかなか解決する方法が見つからない。

結局どうしたかというと、フランスに留学することにしたのである。

逃げたわけである。

3年間(3年半)、藤村はフランスで過すことになるのだが、この経緯とフランスでの生活を追ったのが 『藤村とパリ』なのであった。

『新生』は特異な小説である。姪との不倫、そしてパリでの生活は旅日記でもあるし、それが混在していて、読むほうは混乱する。そこが面白いんだけどね。文章も文豪らしからぬ荒いタッチで、それがリアルでもあって、苦しい小説なのに、読む手が止まらなくなるのである。

節子は、子供を生むのであるが、その子供は里子として、引き取られていく。赤ちゃんの父親は、ある男なのだが、今は行方不明になっているということにしたのである。

パリでの生活に登場する人物は名前を変えているのだが、『藤村のパリ』を読むと、これは誰で、こっちは誰々ということがわかって面白い。

日本人画家との交流もかなりあったらしい。ある年の忘年会で酒を飲む。酔っ払ったやつが、変な踊りを踊って、誤って鍋だか薬缶だかに沸騰していたお湯を藤村と山本鼎がかぶって、大やけどを負ってしまうのである。何日も熱が出て苦しむほどのひどい火傷だったらしい。医者にに行き、手当てをしてもらって、宴会場に戻ると、件の男はまだ踊っていたので、あきれてものも言えなかったそうだ。この男というのが藤田嗣治である。

藤村は画家たちを野蛮人と思っていたようである。

フランスから帰ってからどうしたかというと、藤村は、また自分の家に帰るのだが、節子もやはり待っていて、これからどうするのか…。それを今読んでいるところなのである。

いやはや、どきどきさせっぱなしの小説なのである。

またつづきを書くかな。

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2018年10月29日 (月)

石原ケンジの写真

石原さんが写真?とお思いの方は多いかと推測されるが、そう、石原さんは写真も撮るのである。

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ステップスの個展DMのデザインを担当してくれていて、HPもやってくれている、彼はデザイナーなのである。ステップスでは、円をモチーフとした抽象画や動物のイラストで個展を行ってきたが、今回は初めて写真で攻めてきた。

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むか~しの話になるが、嵯峨美術大学の宇野先生が、学内のギャラリーで、写真のグループ展を企画した。どんな内容かというと、大学の先生たちで、写真をやっている人を募って展覧会をやろう、というものだった。油絵や日本画、彫刻等の先生方が写真作品を出品するという面白い企画だった。その時に、学内だけだと面白くないというので、「外」からも人を呼ぼうということで、寺崎誠三、石原ケンジ、吉岡の3人が呼ばれて行ったことがある。愉しい京都の一夜を過したのはもう「昔」のことになってしまったなあ。

石原氏は昔からひそかに写真を撮りためて居るのである。

「すきなもの」 写真 2018 ¥80,000

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小さくプリントしたものを並べて構成した作品である。

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写真を撮るためにわざわざ旅行に出かけたり、静物を構成したりはしない。身の回りのものを、奇をてらわずに撮っているので、見るほうも身構えることなく見ることができるのがたのしい。

空の写真だけ何十枚も並べたものもあり、いったいどこの空を撮ったんだろうと眺めていると、すべて彼の自宅からの眺めであることを知らされ、東京の空の表情の豊かさに驚いたりする。

「ひとりあるき」 写真 2018 ¥80,000

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「ビー玉 Ⅰ」 写真 2018 ¥20,000

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「あおがすき Ⅲ」 写真 2018 ¥20,000

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「水辺」 写真 2018 ¥20,000

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日常の美しさが際立つ作品ばかりが並ぶ。

☆木嶋正吾展

10/30(火)-11/13(火) 日・月休廊

12:00-18:00 

秀友画廊(銀座 7-8-1丸吉ビル 6F)

☆川辺美咲さんと飲む会

美咲さんがドイツから帰国しています。11/2(金)にステップスに来ます。会いたい方は、ギャラリーに来てね。18:00ごろからギャラリーで軽く飲んで、そのあと近所に食事に出る予定です。











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2018年10月26日 (金)

貧乏

10月26日(金)

眠くてしょうがなくて、コーヒーを淹れて相澤さんと飲む。

よし、島崎藤村の『新生』について書こうかな、と思っているところへ上條陽子が来た。上條さんにもコーヒーを淹れる。

そしたら、日影眩から電話があり、ステップスで作品集を売ってもらえないかなというので、いいですよと答える。今上條さんが来てるよと伝える。

上條さんは日影さんの個展を見たあとステップスに寄ったらしい。今日は高島屋でやっている絹谷幸二展も見て来たらしい。

絹谷氏とは昔からの知り合いなのだそうだ。

上條の話によると、高島屋では絹谷作品の売り上げがすでに2億だそうである。相澤さんと3人で深い深いため息をつく。

初日で32点売れたらしいよ。ステップスの窓を指差して、これくらいのが6000万だった。家が一軒建っちゃうわよねえ。世界が違うとはこのことである。

わたしは、絹谷さんは「ぼくの友達で上條陽子という貧乏な絵描きがいてね」と言ってるんじゃない?と憎まれ口をたたいてみるが、意気が上がらない。

なんか島崎藤村を書く場合じゃなくなってきた。

上條「あたしの絵なんか1万でも売れないのに」

上條さんが安井賞獲ったとき、わたしはまだ学生だったはずで、そのときは凄いのが出てきたなあ、と思ったものだが、こうして貧乏話をいっしょにするとは思ってみなかったなあ。日影さんが加わったらさらに貧しい話は盛り上がったことだろう。

ため息まじりの噂話が続いたが、そうかあ、億かあ。世の中はそういう世界もあるんだなあと思ったら、少しだけ気合が入った。

来週は石原ケンジ写真展である。くわしい説明は来週にしたいと思う。石原さんは全日ギャラリーに来る予定である。そして全日お酒を飲む予定である。

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2018年10月25日 (木)

日影眩のドローイング

10月25日(木)

相澤さんにギャラリーの留守番を頼んで、日影さんの個展を見に行く。6丁目のギャラリーGK。日影さんはランチに出たということだったが、しょっちゅう会っているので、作品を見るだけでいい。

今回は、紙に描いたドローイングばかりの展示で、気軽に描いている雰囲気があって、肩が凝らない。

これは段ボールに描いた作品。

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紙袋に描いた作品も面白かった。

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全部で80点も飾ったらしい。

裸婦のデッサンとかもあって、へえ!という感じだな。

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キャンバスに描くのと違って気楽に描けていいらしい。

作品集も出来上がっていた。

日影眩 『仰視のエロティシズム』(論創社 ¥2,000)

テキストは谷川渥。

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1980年前後に、スポーツ新聞に連載していたイラストレーションが集められている。エロい作品なのに、どこか上品でもある。



「あなたは直視できるか?ページをめくるたびにギリギリのエロスが溢出する!」という伴田良輔の帯のコピーも楽しい。

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2018年10月22日 (月)

浦和の串田治展

10月21日(日)

浦和まで串田治レクイエム展を見に行った。

ちょっくら浦和まで行ってくらあ、というノリで出かけたが、浦和は千葉から行くと「ちょっくら」ではなかった。片道2時間以上かかった。

レクイエム展は今日が最終日である。

浦和駅から10分くらい歩いてギャラリー彩光舎に到着。初めて来たが、ほう、ここで串田治は教えていたのか、と眺める。彩光舎は額縁店とギャラリーと美術予備校の3つが合わさったところらしい。

ギャラリーは広い。

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懐かしい作品が並べられてあった。1980年代に、真木画廊の山岸信郎氏が「節足動物のような」と形容した板に彩色し、立体的な作品に仕上げたものである。

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串田夫人と話をする。

残った作品をなるべく少なくしたいと言うが、売るのはなかなか難しいが、やれることはやりましょうと答える。

今回の追悼展に続いて、来年の6月には青山のトキ・アートスペースで追悼展vol.2を開催することになっている。そして、vol.3をStepsで9月に開催する予定である。

板に着彩した作品は、下地を作らないで、直接描いているので、アクリル絵具の鮮やかな色がとんでしまっていたが、わたしはこの方が色が落ち着いていていい感じがした。色が褪せていくのも悪くはない。

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今回の追悼展を企画したのは、近藤昌美氏をはじめとした、串田さんに昔、彩光舎で教えてもらっていた教え子たちである。40ページの立派なカタログも作ってくれたようだ。テキストは千葉成夫である。千葉と串田は卓球友だちだった。

プロフィールの展覧会歴を見ていたら懐かしくなった。ちょっと思い出に浸るのを許していただこう。

1986年に「未在」(真木、田村画廊)とある。これはわたしが企画したグループ展である。

この時の参加者は誰だったかな。高橋睦治、藤本均定成、中村ミナト、越川修身、串田治、吉岡、たぶんこの6人。

喫茶室ルノアールで何回も話し合いをした覚えがある。串田さんは、スチレンボードを使って、会場の模型まで作ってきた。

「未在」は1989年にもう一回やっている。世田谷美術館の区民ギャラリーを借りて開催した。この時の参加者は7人で、北川聡、串田治、越川修身、新里陽一、高橋睦治、藤本均定成、吉岡。

このあと、自然に連絡が間遠になり、いつからか連絡先も分からなくなり、10年以上会うことがなかった。

どういうきっかけでまた串田氏に会うことになったのだろう。なぜか思い出せないのだが、わたしがステップスギャラリーを始めようとしていたときにひょっこり遭遇したはずである。そして、串田治の個展を4回やった。最後の個展はStepsだった。

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小品がとてもセンスが良く感じられた。

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学生時代の自画像とかも飾られてあった。高校生のときのものもあった。

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晩年は平面作品を集中して作っていたので、昔の作品を知らない人は、ぜひ一度立体作品も見てほしいと思う。

喫茶店があったら、休んでいこうと思いながら、浦和駅まで歩いたが、見あたらかったので、駅の改札口を入り、立ち食い蕎麦でたぬき蕎麦を食べ、ベックスコーヒーでコーヒーを飲みながら、串田治カタログを広げる。

こういうカタログは生前に作っておけばよかったね。

最近、作品集を作る人が増えてきた。特に70歳を過ぎると、みんな作り出すのである。自分の「まとめ」をしている感じである。わたしももう少ししたら作らなくてはならなくなるかも知れない。

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左から、串田治、稲憲一郎、新里陽一のカタログ。

☆展覧会

「稲 憲一郎 展」  

10/22(月)-11/4(日)

26(金)・30(火)・11/2(金)休廊

t&nky studio(あとりえ・ほあいえ) (練馬区上石神井3-6-30)

「達 和子 展」

10/25(木)-11/4(日) 10/30(火)、31(水)休廊

ギャラリー テムズ(小金井市前原町3-20-2)

「関水 英司 展」

10/26(金)-31(水)

Galerie 412(渋谷区神宮前4-12-10表参道ヒルズ同潤館3F302)

「西山 真実 展」

10/27(土)-11/11(日) 水曜休廊

なるせ美術座(町田市成瀬4-7-4公園上)

河盛好蔵の「藤村のパリ」もまもなく読み終わりそうなので

島崎藤村 『新生』 前編・後編(岩波文庫)を買っておく。

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なんだか少しずつ寒くなってきていているので、身体を冷やさないようにしなくちゃ、と厚着するようにしている。







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