2017年7月28日 (金)

ときどきお酒

連日暑さのなか、わたしの個展に来てくださった方がたには、本当に感謝いたします。あと2日ですが、がんばります。

早稲田大学の長谷見先生がまたお酒を差し入れてくれた。

名前はわからないが、コペンハーゲンと書いてあるのが左の壜で、右が、台湾の高粱酒。

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コペンハーゲンは38度、高粱酒は58度と書いてある。べろべろに酔いたい方はお申し付けください。

今日はセルビア大使館からまたラキアの差し入れがあった。

なんだかステップスには強い酒が集まる。でも、本当はわたしはアルコールに弱いのである。少しずつちびちび飲むのがいいかもしれない。ゴッホは、コーヒーと煙草、それとときどきお酒が必要だと言っているし。

26日(水)に朝日新聞を駅で買ったのだが、わたしの個展記事は見つけられなかった。駅やコンビニで売っている朝日新聞は「東京マリオン」は抜いてあるらしい。まあ、しょうがないか…とあきらめていたら、山形東高時代の同級生からメールで、新聞に載ってたね…と連絡があった。早速、その記事コピーして送ってほしいと返信。さっきギャラリーに届いた。ありがたいものである。

さて、来週からギャラリーはお休みになります。わたしはドイツに行ってきます。

夏季休廊

2017 7月30日(日)-8月20日(日)

休み明けは佐々木敬介展でスタートします。8月21日(月)~

☆展示、イベント案内

「太田三郎―世紀の遺書」

8月7日(月)-19日(土)

コバヤシ画廊企画室(銀座3-8-12 ヤマトビルB 1)

「バザー」

2017 9月3日(日) 10:00-15:00

セルビア共和国大使館(北品川4-7-24)Tel.03-3447-3571

販売する品物:衣類、日用品、CD、DVD、日本、セルビアの民芸品、芸術品、食品

好天の場合はバーベキューあり。

参加されるかたは、身分証明書(運転免許証、保険証、パスポートなど)をご持参ください。

お問合せ:080-4117-6284(角崎悦子)

「セルビア民族音楽の夕べ」

9月6日(水)19:30~21:30(開場19:00)

セルビア共和国大使館

参加費:一般4000円、バルカン地域の国の方と学生2000円

演奏:Japalkan(ヤパルカン)

バルカン音楽を紹介している日本人のユニット

曲目:クストリッツァ映画音楽、セルビアやバルカン地域の民謡や踊りの曲、オリジナル曲(演奏時間 約75分)

演奏後、懇親会あり。

参加申込:メールでお申込みください。

secretary.tokyo@mfa.rs 

申込後に下記の口座に参加費を振り込んでください。

りそな銀行 中目黒支店

(普)1328673

セルビア日本音楽交流推進の会

問合せ:セルビア日本音楽交流推進の会 080-4117-6284

serbia-japan@hotmail.co.jp

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『ゴッホの手紙』を読み進めているが、やはり面白くて、身につまされる箇所が多い。

「時々ひょっとしてもう少し余計に金を送ってくれたら、僕のためにではなく絵のために良い結果をもたらすのは受合いだ。僕には良い画家になるか悪い画家になるかどちらかしかない。そうしてもちろん前者を選ぶ。だが、絵画が必要とするものは、まるで破産させてしまう情婦のそれとおなじで、金がなければどうしようもないし、いくらあってもあまることはないものだ。だから、絵を描く仕事というものは団体の費用でおこなわれるべきで、画家が個人でその費用を負うべきものではないだろう。

だが、今のところはそんなことも言えまい、誰もわれわれに無理に描いてくれなどと言っているわけじゃないんだからね。絵画に対する無関心さは、残念ながらかなり一般的なしかも永久的な傾向なんだしね。」

「僕の描く絵はいつになっても値が出ないだろう、などと考えなければならないのは、実に憂鬱な見通しだ。せめてかかっただけの費用がとれるものなら、金のことは考えない、とうそぶくこともできように。」

「僕は毎日とても早起きして、昼も夜もよく食べ、疲れを感じないで断えず仕事ができた。しかし、われわれの生きている今の時世は、われわれの描いたものには値がつかないし、売れないばかりか、ゴーガンを見てもわかる通り、絵で金を借りようとしても誰も貸してはくれない。たとえそれが僅かな金額でしかも立派な絵でもだよ。だから当てのない生活に追い込まれているのさ。われわれの生きているあいだ、この状態は変らないんじゃないかしら。」

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2017年7月25日 (火)

ゴッホの手紙

7月25日(火)

さて、今日も一日がんばろうかな。リポビタンゴールドSを飲んで気合を入れる。

このリポビタンは作家のナガクボケンジ氏に先週もらったものである。かれはときどき差し入れとしてリポビタンを半ダースほど持ってきてくれる。わたしがいつも疲れたと言っているので気を遣ってくれているのである。

彼はリポビタンといっしょに、「トランス」というらしいのだが、電子機器の部品もプレゼントしてくれた。なぜ持ってきてくれたのかというと、これがわたしの今回の個展の作品に似ているというのである。

これはわたしの作品。

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そしてこれが「トランス」

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おお、似ているではないか!すごく小さいけど、なるほど色合いと形がわたしの作品みたいである。面白い。この縞の色には、一つひとつ意味があって、このトランスはどういう機能が内蔵されているのかがわかるのだそうである。

わたしの作品にはどんな機能も内蔵されてはいなくて、色にも意味はない。

芥川竜之介と志賀直哉を読み終わってしまったので、また教文館に行って本を捜してきた。選んだのは『ゴッホの手紙』上・中・下(岩波文庫)である。この本は昔、パラパラとめくってみたことがあるが、そのときは全く興味をそそられなかったのだが、今見てみると、なんて面白いのだろう!と驚いてしまったのだ。本てさ、何歳でそれを読むかっていうのは、わりと重要だね。有名な本でも、あまり読みたいと思わないのは、まだその「時期」ではないのだろう。

岸田劉生の日記を読んでいて気になったのは、その頃のお金の価値である。その頃の1円は今の相場だといくらくらいになるのだろう?いろいろ調べたらわかるはずであるが、わたしは調べることはしない。本を読んでいくと、ははあ、だいたいこれくらいなんだろうということがわかってきて、それが楽しいのである。わたしの当て推量では1円は現在の8000円ぐらいではないかと思う。

ゴッホの、弟に宛てた手紙を読むと、

「君の手紙と五十フラン札とを有難う。」

とか

「手紙と同封の百フランとを有難う」

などと書いてある。

そのころの1フランで、どのくらいのものが買えたんだろうと、いろいろ想像してしまう。それにしてもゴッホは弟のテオドルにしょっちゅう無心している。テオって本当に兄思いだったんだなあと、なんだか悲しくなるくらいゴッホに尽くしているのだ。1フラン1万円だと、弟は50万とか100万をいつも送っていることになるので、1万円ということはないだろう。じゃあ1000円だとどうなるかというと、5万円、10万円なので、これだとちょっと生活費としては少ないので、1フラン2000円くらいなのではないだろうか。でもゴッホは1日暮らすのに3フランはかかるとか言っているので1フラン1500円というのがわたしの結論である。

ゴッホは絵具も買ってくれと注文している。絵を描かないひとにはつまらないかもしれないが、そこのところをちょっと抜書きしてみる。

「ブラン・ダルジャン  大型チューブ 20本

同じくブラン・ド・ザンク 10本

ヴェール・ヴェロネーズ  普通の倍型チューブ 15本

ジョン・ド・クローム・シトロン  同前 10本

クローム黄 2番  同前 10本

ヴェルミリオン朱  同前 3本

クローム黄 3番  同前 3本

ラック・ジェラニウム  小型チューブ 6本

ラック・オルジネール  同前 12本

カルマン  同前 2本

ブルー・ド・プルス  小型チューブ 4本

シナーブル・ヴェール(非常に明るい)  小型チューブ 4本

ミーヌ・オランジェ  同前 2本

ヴェール・エムロード  同前 6本」

どうなのよこれ。かなりの値段になるよこれ。ほかにキャンバスも送れとせっついている。

そしてつぎの手紙には

「注文した絵具を全部送ってくれて君はすごく親切だ。…」

とある。

大丈夫かテオ!と心配になる。

ゴッホはこんなことも書いている。

「もしも君が一ヶ月か半月困るようだったら知らせてくれ給え。そうしたら素描をかくことにする、その方が費用がかからないから。」

やれやれである。ゴッホの素描がたくさんあるのは、経済的理由もあるようである。『ゴッホの手紙』には素描もたくさん載っていて、やっぱりゴッホはすごいなあ、と思うんだけどね。

ゴッホは弟が居なかったらどうしてたんだろうね。

友人ベルナールに宛てた手紙も面白かった。

「…ドミエも同じようにたいした天才だった。

ミレーも彼が所属していた階級を代表する画家だ。

これらの天才が気狂いじみていたとも考えられないことはない。彼等を手離しで感心して好きになるためには、こちらも少し狂う必要がある。」

「ああ君!頭の変なわれわれはせめて眼でも楽しもうじゃないか、そうだろう。」

もう少し読み進めてみよう。


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2017年7月22日 (土)

夏だ

吉岡展の動画です。

撮影は寺崎誠三氏。

https://youtu.be/OZMMg72FZ8M

ドイツのウテさんから展覧会の案内状が送られてきた。

ハガキなのか、チラシなのかわからないが、こんな感じになっているらしい。

Dm


わたしの作品の写真が使われていて、嬉しいんだけど、なんだかプレッシャーでもある。

この写真はハノーファーの個展のときの写真だが、この展覧会はウテさんも見に来てくれていて、彼女のイメージとしては、この時の作品と同じように作ってほしいのだろうなあ、と思うのだが、こんなに大きくは作れないかも知れない。

そんなことより、この写真に写っている後ろ姿の男のほうが問題である。かっこよくない。この男がわたしでなかったら何の問題もないのだが、これはどう見てもわたしなのであった。

これはアガーテンブルグ城のスケジュールらしい。わりとイベントが詰まっているようである。

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われわれの展覧会は右側のちょっと下に紹介されている。

「Why do some clocks tick differentry ?」

2017 8月13日(日)-10月1日(日)

アガーテンブルグ城(ブレーメン)

フランク・フアマン

チエコ・フアマン

アニカ・カールス

ウテ・ザイフェルト

倉重 光則

勝又 豊子

小川 さとし

吉岡 まさみ

(小川さんの名前は、漢字なのであるが、わたしのパソコンでは出てこない。倫理の倫のニンベンがリッシンベンになった字である)

チラシを見てみると、アーティストクッキングとか、コンサートとかいろんなイベントがあるようである。わたしたちはアーティストトークをやれば良いようである。

なんだかまたちょっと気が重くなってきた。わたしは、本当に旅行が嫌いであるということが、自分で増々わかってきた。

昨日、霜田誠二が来て、「ニパフ」のポスターを置いていった。

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第20回 ニパフ・アジア・パフォーマンス・アート連続展 2017

東京展:8月1日(火)・2日(水)・3日(木) 開演19:00

3331 Arts Chiyoda 地階B104 (千代田区外神田6-11-14)

問合せ・予約:090-1652-9127  nipaf@avis.ne.jp

15人のパフォーマンスです。

海外からのアーティストは7月30日に来日するので、吉岡の個展に間に合わなくて残念!というので、特別に個展が終わってからでも来てもいいよと言って、8月2日に来てもらうことにした。

それにしても暑い!

これからさらに暑くなるのだろうなあ。

夏だ。

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2017年7月20日 (木)

カラード バー

7月19日(水)

今日からわたしの個展がようやくスタート。

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日曜日に纐纈令君に手伝ってもらい、4時間かけて展示。バーをクロスさせた作品と、1本だけの作品と、2種類ある。

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事務所はこんな感じで、全部で38点になった。

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説明というか、なんでこういう作品を作ったのかについては、わたしが自分で書いた文章を配ったので、それを見てください。

でもね、カラード バーというタイトルそのまんまで、棒に色を塗っただけなのである。単純なのである。テーマはなに?と訊かれたら、「色です」と答えるだけなのである。あまり暗い色は使わなかった。「可愛い」と言われたいがためである。購入した人が、壁に飾って毎日眺めていられるような作品にしたかった。

掃除のおばさんに声をかけて、わたしの作品見てくださいよといって、ギャラリーに入ってもらった。「あらあ、いい色合いねえ!」と喜んでくれた。

「いい色合い」っていい言葉だね。

こういう反応がいいなあ。

夕方は何人か集まってくれて、事務所で飲み会。

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「colored bar 100」 木にアクリル 4×4×40cm ¥38,000

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「colored bar 096」 木にアクリル 4×4×40cm ¥38,000

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「colored bar 061」 木にアクリル 4×4×50cm ¥28,000

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「colored bar 073」 木にアクリル 4×4×50cm ¥28,000

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「colored bar 093」 木にアクリル 4×4×30cm ¥15,000

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今読んでいる田中英光の本が読み終わり、芥川竜之介も読み終わりそうなので、また2冊買った。

志賀直哉『志賀直哉随筆集』(岩波文庫)

芥川竜之介『年末の一日・浅草公園』(岩波文庫)

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ドイツに行く前に『吾輩は猫である』を開くわけには行かないのである。

『朱儒の言葉』のなかに、面白い箇所がたくさんあったので、美術に関係するところだけちょっと紹介する。

大きな絵は描かなくていいと言っていたのは岸田劉生だが、同じ事を芥川も言っていて痛快である。

「大作を傑作と混同するものは確かに鑑賞上の物質主義である。大作は手間賃の問題に過ぎない。わたしはミケル・アンジェロの「最後の審判」の壁画よりも遥かに六十何歳かのレムブラントの自画像を愛している。」

芸術家についても毒を吐く。或資本家の論理という短文である。

「芸術家の芸術を売るのも、わたしの蟹の缶詰めを売るのも、格別変りのあるはずはない。しかし芸術家は芸術と言えば、天下の宝のように思っている。ああいう芸術家の顰(ヒソ)みに倣えば、わたしもまた一缶六十銭の蟹の缶詰めを自慢しなければならぬ。不肖行年(コウネン)六十一、まだ一度も芸術家のように莫迦々々しい己惚れを起したことはない。」

日本人は芸術を理解しない国民であることは森鷗外が言っていたが、芥川も同じように思っていたようである。

「諸君は芸術の国民を毒することを恐れている。しかしまず安心し給え。少くとも諸君を毒することは絶対に芸術には不可能である。二千年来芸術の魅力を理解せぬ諸君を毒することは。」
















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2017年7月14日 (金)

吉岡まさみ展のお知らせ

来週はわたし吉岡の個展があります。来週も暑くなりそうですが、カラード バーのストライプシリーズを見に来ていただけると嬉しいです。

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こんな感じの作品が30点ほど並びます。

吉岡まさみ展

7月19日(水)-29日(土)

12:00-19:00(土曜日は17:00まで)

パーティーの予定はありませんのであしからず。

わたしは全日在廊するつもりです。

病院に行くので24日(月)の14:00-18:00は抜けますが、それ以外は居ります。

あさって、日曜日に搬入します。他の作家の展示は簡単に決められるのに、自分の作品の飾りつけは、迷ってしまってなかなか決まらないのです。今日もこれから展示を考えるつもり。

日曜に搬入をしたら、月曜と火曜は休憩です。

ドイツの展覧会のカタログにつける作品を2つ作ったら、勢いが出て、たくさん作ってしまった。ドイツ用の作品は13×18cmなのだが、まてよ、15×15cmのサイズのものを作っておけば、来年のアートカクテルに出す作品が出来てしまうじゃん!と素晴らしいアイデアがひらめいたのでした。

で、これがそのうちの3枚。

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ケント紙に写真とドローイングをコピーしただけの作品なのだが、わりとうまくいった。これを額に入れるとすっきりした作品になるはずである。来年4月のアートカクテル展に出します。

secret memory  Ⅵ  紙にインク 15×15cm 2017

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2017年7月13日 (木)

折れた槍

ドイツにもって行く文庫本を3冊買った。この中から1冊に絞ろうと思う。

田中英光 『空吹く風/暗黒天使と小悪魔/愛と憎しみの傷に』(講談社文芸文庫)

芥川竜之介 『朱儒の言葉/文芸的な、余りに文芸的な』(岩波文庫)「朱」は本当は人偏がつくのだが、わたしのパソコンはバカなので、字を知らないのだ。

夏目漱石 『吾輩は猫である』(新潮文庫)

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田中英光の本は持っていけない。なぜかというと、面白くて、もう読み始めてしまったので、ドイツ出発までには読み終わってしまうだろうからだ。田中英光は、太宰治より少し下なのだが、そのデカダンぶりは太宰以上で、かなり破滅型の作家ではある。あまりひどいので、作家仲間からは相手にされず、評論家にも評判がよろしくなかった。しかし、今読むと、しみじみと面白いのだ。だれも評価しないなかで、針生一郎だけが絶賛していたというのも面白い。太宰が情死した1年後に太宰の墓の前で自殺した。

芥川のこの本はかなり昔に読んだはずなのだが、今開いてみると、その言葉は、全く新しく感じられる。本当に森鷗外とか、夏目漱石とか芥川とか、このへんは、読ませるよねえ…

夏目漱石は、わたしはかなり読んできたのだが、なぜか『吾輩は猫である』だけは避けてきた。理由はわからない。でも、そろそろ読むべきときかな、と勝手な判断をしたわけなのである。漱石は、あっという間に漱石の世界に引き込んでしまうんだよねえ。すごいと思う。細かい注解がついているのもうれしい。言葉の解説が、これでもかというくらいついていて、これが煩いという人もいると思うのだが、わたしはこの注解をよむのが楽しみでもあるのだ。注解を書く人というのも、かなりの知識と情熱が必要なわけで、これを書いた人の性格とかを想像しながら読むのも一興なのである。

芥川も本としてはそれほどの長編でもないので、ドイツに持っていくのは『吾輩は猫である』にしようかな。決定!

さて、芥川の『文芸的な、余りに文芸的な』の最後に、「二人の紅毛画家」という面白い文章が載っている。ピカソとマティスについての短い感想なのだが、芥川の時代には、すでにピカソもマティスも紹介されていたんだね。このへんの時代感覚がよくわからない。芥川がこれを書いたのは1927年(昭和2年)だから、ピカソ46歳、マティス58歳のときである。ピカソもマティスも明治、大正時代の人なんだよねえ。

岸田劉生の時代は、これよりもう少し前だから、ピカソもマティスも出てこない。セザンヌやゴッホについての文章があるだけである。

でも劉生の時代には萬鉄五郎とかも居たわけで、そのへんぎりぎりの境界線だったんだろうな。

さて、芥川の文章であるが、彼はピカソをよしとしている。「槍の柄は折れた」というところに、芥川自身の格闘を重ね合わせているのだろうと思う。この文章を書いた2ヵ月後に彼は自殺している。

「ピカソはいつも城を攻めている。ジアン・ダアクでなければ破れない城を。彼はあるいはこの城の破れないことを知っているかも知れない。が、ひとり石火矢の下に剛情にもひとり城を攻めている。こういうピカソを去ってマティスを見る時、何か気やすさを感じるのは必しも僕一人ではあるまい。マティスは海にヨットを走らせている。武器の音や煙硝の匂はそこからは少しも起って来ない。ただ桃色に白の縞のある三角の帆だけ風を孕んでいる。僕は偶然この二人の画を見、ピカソに同情を感ずると同時にマティスには親しみや羨ましさを感じた。マティスは僕ら素人の目にもリアリズムに叩きこんだ腕を持っている。そのまたリアリズムに叩きこんだ腕はマティスの画に精彩を与えているものの、時々画面の装飾的効果に多少の破綻を生じているかも知れない。もしどちらをとるかと言えば、僕のとりたいのはピカソである。兜の毛は炎に焼け、槍の柄は折れたピカソである。」

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2017年7月11日 (火)

持ち物チェック

連日32℃を越える気温が続くと、さすがにお客さんは減る。バルコニーから下を見ると、歩いている人もまばらである。

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この道路を歩いている人の数を見ることで、わたしは、今日何人のお客さんが来るのか、見当がつくようになってきている。

暇だね…

向かいにオープンしたばかりの、イッセーミヤケのお店もあまり人が入っていない。

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気温がせめて30℃止まりだと、ぜんぜん違うんだけどなあ。

わたしは来月ドイツに行くために、そろそろ荷物を作らなければならない。暇なので、持ち物を書き出してチェックしようかな…と思っているところである。

荷物でまず一番最初に書き出すものは、パンツである。パンツは大事である。たくさん持っていかなくてはならない。

昨日、作家の永野のり子が来て、川辺美咲の「ノスタルジック ヘンタイ」を見ながら

「なんだっけあれ…あの、大切なときに、ほら、いざというときに穿くの、なんていうんだっけ?」

「勝負パンツ?」

「そうそう!これって勝負パンティーだよね。普段穿くやつじゃないよね。あたしは穿いたことないけどさ」

ドイツにも勝負パンツは持っていかないつもりである。

とにかく、パンツが大事。次にティーシャツ。まあ衣類だね。

あとわたしが忘れてならないのはですね、じつは、耳かき、軽石、ひげを切るはさみ、などという日常生活で使う細々としたものが一番大切だったりするのである。

なんでこんなに沢山のものを持っていかなくてはならないのか、悲しくなる。

今日は、ギャラリーを閉めたら、教文館に寄って、ドイツにもって行く文庫本を選ぼうと思う。何をもっていくのか決めるのは、とても大切で、楽しみでもあるのである。

府中のギャラリードードーの荒瀬さんが来る。ドードーはカフェギャラリーである。ギャラリーをやっている人と話をすると、かならず愚痴の撒き散らしになる。今日はプロ意識の低い作家の悪口になる。

「これは非売品、とかいう作家は困るよねえ」

「そうそう、ギャラリーはお店なんだからさ、非売品はないの。八百屋で、この胡瓜は非売品ですって言ってるようなものだよ。そういうアマチュアが多い」

これは非売です、っていう作品はだいたいたいしたことがない。売りたくない作品は最初から持ってこないでね。

「うちはカフェだからさ、コーヒーを淹れて出すお店なんだけどさ、カフェに来て椅子にも座らないで、何も注文しない客も居るんだよ。座れって言っても座らないの。この間なんか、帰れ!って言っちゃった。そしたら、ごめんごめんとか言ってたけど、許さなかった」

「いいねえ、それ」

作家は、ギャラリーがどういうところなのか、ちゃんと考えたほうがいいと思う。(作品が)売れなくてもいいとかいうやつも居るが、それこそ帰れ!である。作品は売れてなんぼなのである。ギャラリーは売り上げで経営が成り立っているのである。売れなくてもいいというのは、ギャラリーが儲からなくてもいいと言っているのと同じことなである。失礼である。結果として全然売れなかった、というのは仕方がないのである。売ろうとして売れないのは運が悪かったのである。しかし、端から売るつもりのない作家はやはりプロ意識が欠如しているのである。作品を見てもらいたいというだけなら、美術館で個展をやればいい。そんなに素晴らしい作品なら、美術館がほっておかないんじゃないの?

ギャラリーはさ、朝、ギャラリーに来て、さて、今日もがんばろうかなと気合を入れるわけなんだけど、がんばろうかな、と思う気力は、作品を売るぞ!という気持ちから生れてくるのである。ギャラリーで作品が売れると、その作品や作家が認められたような気持ちになるが、同時にギャラリーも認められたような気になり、とてもとても嬉しいものなのである。

暑いからじゃんじゃん書いちゃったけど、この辺にしておこう。

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2017年7月 8日 (土)

セルビア共和国銀座領事館

7月8日(土)

15:00からFAVORITE展のパーティー。時間を過ぎても誰も来ない…

今日はこれだけ暑いから、みんな出掛けないんだなあと思っていたら、15:30になったころからポツポツ人が現われだした。

日本人5人、セルビア人1人のグループ展で、セルビア人作家は来ていないのに、セルビア人のお客さんがどんどん来場。セルビアでは30分ぐらい遅れて来るのが普通で、時間通りに来たりすると驚かれたりしてしまうのがセルビアなのである。

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この娘は、今回料理を作ってくれた大使館のティアナさんの娘レナちゃん。事務所でお絵かきをして、それをギャラリーの壁に飾って欲しいというので、画鋲で展示してあげた。

これはティアナさんが作ってくれたお菓子とパイ。

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手前の皿に載っているのが「ピタ サ ヴィシュニヤマ」というチェリーパイ。その上が「ピタ サ メーソム」という肉のパイ。で、次が「チュッパッツィ」、チョコレートとココナツのケーキである。美味しくて、みんなどんどん食べていた。

こんなパーティーはステップスでは初めてである。どういうことかというと、参加者が、日本人よりもセルビア人の方が多いのである!

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やっぱりステップスはセルビアの銀座領事館なのだろうか…

筑波に住んでいるイェレナさんと友人のヨヴァナさんが、版画作品を見せに来た。ヨヴァナさんの妹のソフィヤさんの作品である。来年の「On the Steps」にソフィヤさんに参加してもらおうと思っているので、作品をじかに見て欲しいとのことだったので持ってきてくれたのである。展示方法なども相談する。

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ギャラリー内は人が多くて冷房が効かない。

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女子医大でお世話になった看護師さんのSさんが来て、わたしの作品を「選びに」来たとのこと。早く決めておかないとなくなっちゃうでしょ?と言って、1点予約していった。

パーティーは17:00までなのだが、今はすでに18:00まだまだ終わりそうにない…

参加作家の作品をもう一度見てみよう。今度は部分をアップで。また違う魅力が見えると思う。

達和子

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川辺美咲

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田邉光則

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石原ケンジ

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ミハイロ・カラノヴィッチ

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佐藤全孝

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来週も暑い日が続くのかなあ。







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2017年7月 5日 (水)

FAVORITE 2017 スタート

なんだか暑くてかなわないのだが、ステップスギャラリーは暑さと関係なく走り抜けるのである。

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世間の騒がしさとは無縁の静かな空間を作っていると自負する展覧会です。どうぞ遊びにきてください。

これはミハイロ・カラノヴィッチ。絵画2点と鳩の立体2点。

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手前が達和子、奥が佐藤全孝作品。

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こちらは手前が田邉光則、奥が石原ケンジ。

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これは川辺美咲のドローイング。真ん中の棚にあるのが、作品集「ノスタルジック ヘンタイ」 ¥2,000

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ギャラリーの弱点は、今日のような暑い日と大雨、それと台風、大雪である。客足がなくなる。しかし、天候が悪くても、作品が見たい人はギャラリーに来るのであるから、まあ、それほど心配しなくていい。問題は、みんながどうしても見たい!という展示であるかどうかなのである。魅力のある作品なら、必ず見に来てくれるはずである。

最近は作品がなかなか売れない。どこのギャラリーでも、多分、今の「売れなさ」に困っていると思う。リーマンショックのときに美術作品が売れなくなった。その後、日本では福島の原発事故があり、そのときも、ギャラリーの作品はなかなか売れなくなった。消費税が8%に上がったときはそれ以上にひどい状態になった。そして、現在は、今までで一番売れない時期になってしまったような気がする。この現状を作家さんたちはあまりご存知ないのである。

まあ、景気が回復してくれることを願うだけなのだが、それでも先週の坂本美紗希の作品は、(安かったこともあるが)初個展にしては売れたほうじゃないだろうか。知り合いが買ってくれただけではなく、彼女の知り合いでもない人が買ってくれたし、作家が居ないときにも「これ買おうかな」と言って買ってくれた人もいた。なぜ売れたかというと、作品に魅力があったからである。それだけのことなのである。実に単純なことなのであるが、そういう当たり前のことがわからなくなっている作家が多いような気がする。

では、どういう作品が魅力があるのか、というと、持ってかえってずっと見ていたいと思わせる何かがあるかどうかである。それは、こうやったら売れる、というテクニックの問題ではないのだけれどね。

ミハイロ・カラノヴィッチ 「鳩 a」 ミクストメディア 15×27×15cm 2017 ¥45,000 

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川辺 美咲 「ノスタルジック ヘンタイ d」 紙にインク、水彩 19.7×28.7cm 2016 ¥50,000(額込)

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石原ケンジ 「Paint it,Black 2」 紙にアクリル、墨 42×60cm 2017 ¥30,000

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佐藤 全孝 「鏡のなかなら No.2」 キャンバスに油彩 72×91cm 2017 ¥320,000

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達 和子 「MUZU MUZU Ⅱ」 木にアクリル、鉛筆、セラミックスタッコ 74.5×92.5cm 2006 ¥200,000

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田邉 光則 「La Mia Macchina Ⅱ」 紙に水彩 31.8×41cm 2017 ¥50,000(額込)

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さて、今回の「FAVORITE」はどんな魅力を発散するのだろうか。楽しみながら見届けたい。




















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2017年6月29日 (木)

作品終了

わたしの作品がようやく終了した。個展3週間前に終わったからよしとしよう。

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バルコニーの倉庫に入れてあるが、あとは組み立てとサイン入れだけなので、楽しんでやろう。やっぱり1年かかってしまったなあ。ストライプの幅とか間隔を測るための紙で作った補助具は思い切り捨てた。絵具も目につかないところに仕舞っておいた。しばらく制作から離れたい。

6月29日(水)

早く起きて出掛けようと思っていたが、やはりどうしても起き上がれずに家を出たのは午後だった。新宿の眼科で目薬をもらってから御茶ノ水に移動…だったのだが、新宿駅の地下街のイベントコーナーで古書フェアーをやっていたので、覗いてみることにしたが、これが間違いだった。古本も本なわけで、わたしは夢中になってしまって、出られなくなってしまったのだった。何軒か(たぶん20軒くらい)の古書店が共同でやっているイベントらしく、店ごとに特徴があって面白い。時間はどんどん経っていく。いい加減切り上げないと御茶ノ水に行けなくなってしまうと思いながら、それでもうろうろしていると、絵画のコーナーがあった。浮世絵の複製とかが額に入れられて展示されているなかに、池田満寿夫の版画とかもあった。古書店て、なぜか絵画とかも扱うんだよね。古書と古画か。

池田満寿夫の値段を見たら、2万円だった。池田の版画の本物が2万円で買えるわけはないので、これは複製である。でも素人さんは本物だと思って買ってしまうのだろうな。その隣に鶴岡政男の作品があった。え?こんなところに鶴岡政男があるのだろうか。肉筆画とあり、パステルで描いた絵のようだった。A4サイズくらいの大きさで、サインもちゃんと入っていた。でもタイトルはなかった。鶴岡政男の経歴とかも詳しく書いてあった。これはひょっとしたら掘り出し物では!?と思って値段を見ると9万8千円だった。微妙な値段である。わたしは眼を近づけてまじまじと作品を見た。神経質な細い線で抽象っぽい形態が描いてあるだけなのだが、わたしには本物に見えた。鶴岡政男の贋作って、たぶんないよね。そして欲しくなった。安いと思ったが、それでも買えなかったので、代わりに古い中公文庫を一冊買って出てきた。

買ったのは、村松梢風『女経』(中公文庫)1992年発行で380円と書いてあるものが、300円だった。後扉の内側に本屋さんのシールが張ってある。「中島古書店 横浜市中区北仲通4-45 松島ビル3-D」と書いてある。こういうのを読むのも楽しい。この本の書き出しは

「私は顔のまるい女が好きである。」

である。面白そう。

3

御茶ノ水に移動。「レモン画翆」で写真を拡大コピーしてもらう。50年以上前の小さな写真をB1サイズに伸ばしてもらう。これはドイツの展覧会で使うもの。安い紙でいいですといって2枚伸ばしてもらう。2枚で5000円。1時間で出来るというので、喫茶店で待つことにする。山の喫茶店「穂高」でレモンスカッシュ。『バルカン』(中公新書)を読みながら煙草を一服。この「バルカン」はめちゃくちゃわかりやすくて面白い。お薦めである。バルカンということばは、それほど古い言葉ではないらしい。せいぜい200年くらい前のもので、広く使われるようになったのは100年前くらいからだそうだ。斉藤茂吉がバルカンという言葉を使っていたから、日本でも知られていたようである。1500年ごろから2000年ごろまでの南東欧の地図がついていて、勉強になる。

まだ時間があったので、向かいの丸善に寄ってまた本を買う。井上荒野『さようなら、猫』(光文社文庫)

6月29日(木)

さっき、中村宏太さんが来た。この間のArt Cocktail2017で、金属板に(本物の)弾丸を撃ち込んだ作品を展示していた作家である。わたしは早速「おめでとう!」と言った。彼は今年の「アートオリンピア2017」で銅賞を獲ったのである。82カ国3828点の中の3位である。すごい。アートカクテルと同じ弾丸シリーズの作品である。ちなみに3位の賞金は200万円である。1位は1000万円だったかな。1位と2位は海外の作家なので、日本人では彼が1位である。期待の作家だね。

☆展覧会

来週のSteps Galleryは「FAVORITE  2017」ですが、7月5日(水)スタートになりますので、ご注意ください。8日(土)15:00~17:00パーティーをやりますので、お出かけください。作家さんも顔をだす予定です。ベルリン在住の川辺美咲さんと、ミラノ在住のミハイロ・カラノヴィッチさんは居ませんが、セルビア関係者は何人か出席します。セルビア大使館の秘書のティアナさんが、手作りのおつまみとデザートを用意してくれるそうです。

「FAVORITE 2017」

7月5日(水)-15日(土) 日曜休

参加作家:石原ケンジ/川辺美咲/佐藤全孝/達和子/田邉光則/ミハイロ・カラノヴィッチ

「瓜生 剛 展」

7/1(土)-9(日)

B-gallery(西池袋2-31-6)

「槙野 匠 展」

7/4(火)-9(日)

Galerie Ciel(水戸市見川町2434-1)

高島史於舞台写真展「5人の舞姫」

7/6(木)-12(水)

ストライプハウスギャラリー(六本木5-10-33)

「酒井 清一 展」

7/7(金)-19(水)

ギャラリー睦(千葉市中央区弁天3-8-11)

「長見 有方 写真展」

7/10(月)-15日(土)

巷房・2(地下) (銀座1- 9-8 奥野ビル)

「MICHIRU 作品展」

7/18(火)-27(木)

space 2*3 (日本橋本町1-7-9)

「大森梨紗子 展」

7/23(日)-31(月)

ギャラリー風(大阪市中央区北浜2-1-23)

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