2016年12月 3日 (土)

12月の展覧会

いやあ、もう12月なんだよねえ…

Steps Galleryも追い込みに入っている。

イヴァさんは今日、展示を終えて、明日アメリカに帰国予定。

彼女はかなり疲れている。なぜかというと、日本国中を駆け回っていろんなところを見て来たからだ。行ったところを訊いてみると、京都、奈良、大阪、福岡、高山、金沢、日光、箱根、富士山……信じられないくらいの移動距離である。東京でも、骨董を見たり、歌舞伎に行ったりと本当に忙しい。

イヴァさんの作品は来年の「Art Cocktail 2017」でも3点だけ展示します。

お疲れさまでした。

来週からは小山悦子展

12月5日(月)-17日(土)

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5日(月) 17:00からパーティーがあります。ぜひお立ち寄りください。評論家の千葉成夫さんも参加予定です。

次の週は霜田誠二展「すずめ式」

12月19日(月)-24日(土)

開廊時間が曜日によって違うのでご注意ください。

(月)(火)(水) 12:00-19:00

(木)(金) 12:00-17:00

(土) 12:00-15:00

「90分パフォーマンス」があります。

①22日(木) 17:00-19:00

②23日(金) 17:00-19:00

③24日(土) 15:00-17:00

予約

一般¥2,000/学生¥1,500

当日

一般¥2,500/学生¥2,000

予約先

tel.03-6228-6195

e-mail stepsyoshioka@nifty.com

「すずめ式」お楽しみに!

冬休みは

12月25日(日)-2017年1月9日(月)

になります。

2017年は1月10日(火)から、中村ミナト展でスタートする予定です。

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2016年12月 2日 (金)

イヴァ作品動画

https://youtu.be/WtztX6dnn3s

寺崎誠三氏撮影のイヴァ・ハラディス作品動画です。

イヴァさんの個展は明日までです。

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2016年12月 1日 (木)

08番

朝起きて風呂につかり、牛乳を飲んだりして、血糖値を測り、お、今日はいいセンいってるじゃんと安心して、コーヒーを淹れてテレビの前でぼうっとしていると、時間というものはあっという間に過ぎていくもので、気がつくともうバスを使ったら間に合わない時間になってしまい、結局タクシーを呼ぶことになってしまった。

こういうことはたびたび起きる。

「吉岡さん、お久しぶりですね」

とタクシーの運転手さんが言う。この人は白髪の混じった髪をきれいになでつけた紳士で、話も少しレベルが高いので、わたしは好きな運転手さんなのである。

「いやあ、わたしなんか、疲れてしまってなかなか仕事しようと思わないんですよ。ひと月に勤務は7日とかなんですけど、実際は2、3日ってとこですかねえ。あまり無理しても身体がもたないですしねえ。会社には、もっと出てきてよと言われるんだけどねえ…」

「無理はしない方がいいですよ」

「この間なんか、運転手が無理するもんだから一人死んじゃったんですよ。車の中で」

彼の話によると、その運転手は月に14、5日働いていたそうである。14、5日といっても、一日20時間とか乗っているので、実質は働き通しということになる。

「08番(ゼロハチ)の車に乗っていた人ですよ。吉岡さん知らないかなあ。ちょっと小太りで、顔がどす黒くて、髪はオールバックにしているの」

あ、あの糖尿病のおじさんかも。

稲毛タクシーの車体の上には、会社名の書かれたランプが灯っているのだが、そこには数字も書かれていて、05とか36とかの二桁が表示されている。ドライバーは基本的に決まった番号の車に乗っているので、みんな数字で呼び合ったりしているらしいのである。囚人みたいでもある。

「いつもゼロハチって呼ばれていて、無線で呼ぶと、断らないでどこにでも行ってくれるから、会社では重宝してたんですよ。08応答願いますって。その日は朝4時ごろまで仕事してたらしいですよ。ところが、いつもなら無線にすぐ答えるのに、全く返事がなくて、携帯に電話しても出ないしおかしいと思ったんだね。タクシーはどこに停まっているか分かるので、他の運転手に、ゼロハチ寝ちゃってると思うから、ちょっと見てきてって言って見に行ってもらったらしいんだけど、行ってみたら車の中で死んでたんだって」

「そうなんだ…」

「心筋梗塞かなんかだったらしいですよ」

「やっぱり無理しちゃだめですよねえ」

ゼロハチさんは、たいしたことないことを言っては自分で、ワーハ、ワーハと大きな声で笑っていた。血糖値がなかなか下がらないのはわたしと同じだったので、それはインスリン足りないですよ、もう少し増やしたほうがいいですよ、なんて素人診断でわたしはアドバイスをしていた。いつも顔色が悪く心配ではあったのだ。

そんなに働き詰めだったんだ。まだ50代だったそうである。

08さんの名前も知らないままの別れになってしまった。

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2016年11月29日 (火)

八重洲ブックセンター

11月28日(月)

読む本がなくて「つなぎ」で読んでいた

中島義道『過酷なるニーチェ』(河出文庫)

も読み終わりそうになったので、本を買いに行く。

中島先生は、カントの研究者なのだが、数年前にニーチェに目覚めて、最近はニーチェに関する著作が多い。

東京駅の八重洲口を出て、少し右方向に進んで横断歩道を渡ると八重洲ブックセンターである。ここは置いてある本の数が多いので、わたしは大変重宝しているのである。4階までエスカレーターに運んでもらい、4階から5階へは、フロアーの中央付近にある階段を昇る。1階、2階はお客さんが多く混雑しているのだが、5階の文庫本コーナーは人がまばらになる。

わたしは、とりあえずすべての文庫を見て歩き、これはと思った本を覚えておいて、最後にそれを取り出すのである。

全部見ると1時間くらいかかるかなあ、と思っていたのだが、わりと速足で見て廻ったにもかかわらず2時間以上が経過していた。

八重洲ブックセンターの本の数はものすごく多いのである。韓国のデモ参加者の人数くらい多い。

本を買うというのは釣りに似ている。一本釣りだね。調子の良いときもあるし、釣果の上がらないときもある。

今日は4冊釣り上げた。まあまあというところか。

大岡昇平『幼年』(講談社文芸文庫)

エミール・ゾラ『水車小屋攻撃』(岩波文庫)

ヘンリ・ミラー『北回帰線』(新潮文庫)

高良勉 編『山之口獏詩集』(岩波文庫)

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やあ、こうやって釣り上げた獲物を並べるのは楽しいねえ。

良い本というのは、書き出しだけで引き込まれてしまうので、どれから読んでいいか迷ってしまうのだが、そうやって迷うのも楽しいのである。

大岡昇平の『幼年』は文字どおり大岡の幼年恋慕である。

「私の少年時代は主に渋谷ですごされた。…」

これだけで涎が出る。

ゾラは『居酒屋』とか『ナナ』とかをそのうち読もうと思っているのだが、まずこの短編集から入ってみる。

「この日メルリエ爺さんの水車小屋は、夏の美しい夕暮れに包まれて、華やかなお祝い気分にみちていた。」

いいねえ。

ヘンリ・ミラーもいつか読まねばとずっと思っていたが、やっと購入した。

「ぼくはヴィラ・ボルゲエゼに住んでいる。ここは塵っぱひとつなく、椅子の置場所ひとつまちがっていない。ここでは、ぼくたちはみな孤独であり、生気をうしなっている。」

ぞくぞくするねえ…

山之口獏の詩は、とにかくその語り口が素直にこちらに流れてくるので、空気を吸うように読むことが出来る。

「詩を書くことよりも まずめしを食えという

それは世間の出来事である」

この4冊でとりあえず12月を乗り切って、年を越すことも出来るような気がするなあ。

もうすぐ2016年も終わってしまうなあ…

ギャラリーも今週のイヴァ・ハラディス展の次は小山悦子展、そして最終は霜田誠二で締める。

イヴァさんは京都や奈良、福岡、岐阜などを廻って、そろそろ東京に戻ってくるはずである。とってもbeautifulだったというメールが来た。

わたしはあと少し、とってもbeautifulな銀座で年末を迎えるのである。


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2016年11月25日 (金)

ベオグラードのミラン

現在テニスといえば、日本では錦織圭であるし、セルビアでいうとジョコヴィッチであろう。

しかし、セルビアでは、何年か前までは、女子テニスのヤンコヴィッチ選手が押しも押されぬ第一人者であった。テニスに詳しい人なら、その活躍ぶりをご存知のことと思う。

ヤンコヴィッチさんはミラン・トゥーツォヴィッチ作品のコレクターでもあり、今、彼女の肝いりでミランの個展が開催されている。

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ベオグラードの大きなところなようである。

ミランは日本ではまだまだ知られてはいないが、セルビアでは第一人者なのである。

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かなり広い会場のようで、作品の数もものすごい。

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この展覧会は、ヤンコヴィッチさんのコレクションに新作をかなりの点数を加えたものである。2年ほど前から、ミランはこの個展の作品制作に忙殺されていたのである。

作品をいくつか見てみよう。

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ミランの作品には物語りが詰め込まれている。

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これはモランディの肖像だな。

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この展覧会が終了したら、新作はすべてヤンコヴィッチさんが買い上げるのである。

ヤンコヴィッチさんはアメリカに別荘があり、ミランの作品はすべて別荘にある。ミランの作品を展示するスペースも用意しているらしいが、それって美術館くらい大きいものになるのではないだろうか。

これは、展覧会初日らしいが、これを見ただけで、ミランの人気が分かるだろう。

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中央の女性がヤンコヴィッチさんである。

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実は、ミランはこの作品をすべて携えて、日本で展覧会を開きたいと考えていて、われわれ日本の関係者やセルビア大使館は、会場を捜しているところである。

この作品のほかに、3×3mもある大作もあり、どこか美術館のような広い空間がほしいなあと考えているのである。東京都心に近いところで、適当な会場がないだろうか…

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一見、伝統的な技法で伝統的なモチーフを描いているように見えるが、現代美術の中でも最先端を行くスタイルであることは、見る力のある人は見抜くことが出来るはずである。

分かりやすい絵であると同時に難解な作品でもある。

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いつか、ミラン・トゥーツォヴィッチの大きな個展を日本で開催したいものである。





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2016年11月22日 (火)

イヴァ・ハラディス展

この写真をご覧下さい。画面下に見えるのは、わたしの手です。

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小指になにやら指輪みたいなものをしています。これは指輪ですが、2ドル紙幣を、折り紙のように折って作った指輪なんです。イヴァさんがわたしに「お土産」として持ってきてくれたものです。2ドル紙幣っていうのは、アメリカではあまり出回っていないらしく、「珍しい」のだそうです。日本で2000円札が珍しいのと同じかもしれません。

「これを着けてると、ラッキーなことがあるわよ」

とのことです。

イヴァさんに、わざわざこんな指輪をプレゼントしてもらっていることが、すでにラッキーなことです。と、わたしは言わなかったけどね。

上にあるキーホルダーもプレゼント。

「CALIFORNIA 1」と書いてある。これは、カリフォルニアのハイウェイ1号線の標識ですね。イヴァさんはCALIFORNIA 1 沿いに住んでいるのだそうです。

昨日はオープニングで、雨にもかかわらず、たくさんの人に来ていただき、とてもありがたかったです。

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作品はこんなふうに並べてあります。

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壁ごとに、作品の高さを変えました。わたしが考えた展示図を見せて、個々の壁を高くしてこっちを低くして…と説明すると、イヴァさんは

「ここはステップス(段差がある)だもんね」

とすぐに了解してくれました。事務所に展示する作品は仏陀の絵が8枚だからこういうふうにサークルにしてもいいかな?と訊くと

「イエス、ワンダフル!」

と結局全部まかせてくれました。

やっぱり、キャリアと実力のある作家と仕事をすると楽だワ。

作品は小さく描こうと思って描いてきたそうなのだが

「こうやって飾ってみると、本当に小さいわ!」

と自分で笑っていました。

左がイヴァさん。

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「AMATORY 9」 紙に鉛筆、アクリル 12.7×12.7cm ¥94,000

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一見、版画のように見えるが、すべて手描きです。

タイトルの「AMATORY」を日本語にするとなんというのだろうと、ずっと考えていました。

辞書を引くと、「恋愛の」とか「好色的な」と書いてあります。でも、イヴァさんの絵は淫靡なのにどこか上品なのです。

「AMATORY 13」 紙に鉛筆、アクリル 12.7×12.7cm ¥116,000

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で、わたしはAMATORYを「誘惑」と訳すことにしました。かなりの意訳です。でも自分で考えてるだけなので、タイトルは「AMATORY」のままですけどね。

とにかくここまできっちり描いてくるのは、やっぱりプロだなあと思うのでした。

「AMATORY 29」 紙に鉛筆、アクリル 12.7×12.7cm ¥105,000

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エロチックなものをここまで昇華して、それを生きる喜びと力に変換させていく技量には恐れ入るが、技術だけの問題でないことは言うまでもないだろう。イヴァさんは動乱期にチェコからアメリカに亡命して、アーティストとして自立していくまでに、わたしなど、想像も出来ないような苦しみがあったのだろうと思う。

人生っていうのは、必ず作品に表れるから怖いものである。

「AMATORY 19」 紙に鉛筆、アクリル 12.7×12,7cm ¥116,000

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事務所のスペースには「瞑想」のシリーズ。

Jimusho

「TEM BUDDHA 2」 紙に鉛筆、アクリル 12.7×12.7cm ¥110,000

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タイに旅行したときに、仏教や瞑想に興味をもったそうです。

イヴァさんはアクセサリー作家でもあり、フエルトを使って、ネックレスなどの装身具を作っています。

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「Starburst」 ネックレス ¥75,000

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イヴァさんの作品は実物を見ないとその魅力を堪能することはできません。

ぜひ、じかにご覧になってください。
























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2016年11月19日 (土)

イヴァさん到着

来週から個展のイヴァ・ハラディスさんが、さっきギャラリーに来て、作品を預けていった。昨日来日したのである。日本には以前も来たことがあるとのことだったが、個展は初めてなのだと思う。

今夜、搬入なのであるが、それまでちょっと遊びに、と出掛けていった。アメリカの友人夫妻もいっしょである。

イヴァ・ハラディス展

11月21日(月)-12月3日(土)日曜と23日(祝)は休みです。

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初日21日(月)17:00-19:00 パーティーをやりますので、みなさん、お誘いあわせの上、ご来廊下さい。

イヴァさんは21日(月)と最終日12月3日(土)にギャラリーに居る予定です。

案内状にあるような絵がたくさんあります。大きな絵に見えるかも知れませんが、実は12×12cmほどの小さい作品です。

このAMATORYシリーズのほかに「お坊さん」のシリーズなどというものもあります。

フェルトを使ったアクセサリーも持ってきています。(かなり高級なアクセサリーですが…)

イヴァさんは倉重光則の友人です。

チェコ生れのチェコ人ですが、アメリカに亡命。現在はサンフランシスコに住んでいて、ロサンジェルスを中心に発表をしています。

さて、搬入がんばるかなあ…

ステップス向かいのビルは、現在、内装に入っているようなのだが、夜になると派手な電飾が灯る。

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いろんな色に変化する。なんかすごいビルになりそうである。

昨日、わたしは一日かけて自分の略歴をパソコンで書いた。昨年パソコンが壊れて、データが全部なくなってしまったので、略歴も消えたのだった。

ドイツのウテさんから略歴を送れという要請が来たので、急いで作ったのだった。来年ドイツでグループ展があり、ドイツでの助成金を申請するようなので、略歴が要るのだった。

なので、日本語より先に英文での作成ということになった。

略歴って英語でなんていうか知ってる?わたしはてっきりbiographyかと思っていたのだが、curriculum vitae カリキュラム・ヴィータというようである。勉強不足であった。

ついでなので、わたしが今までに個展をやった回数を数えてみたら、なんと38回だった。個展を始めてからもう35年も経っている。一年に一回以上やっているんだなあ。来年わたしは個展が二つあるので、40回ということになるなあ…

時間はあっという間に過ぎていくのである。

ウテさんからのメールには略歴には、重要な展覧会を入れるように、それから「文献」とコレクションも書けとある。

重要な展覧会…

文献と言うのは作品について書かれた印刷物のことである。

コレクション… 山形美術館に以前買ってもらったことがあるだけである。

重要な展覧会は海外でやった展覧会を選んで、文献はなんとかかき集めて、コレクションはプライベートコレクションも入れて、なんとか体裁を整えて送ったのだが、わたしは考え込んでしまった。

そうかあ、そうだよね、重要な展覧会というのは、自分で今回の作品は画期的だ!と一人喜ぶ展覧会ではなくて、助成金を審査する委員が納得するところの重要さでなくてはならないし、文献は、個展を見た評論家や新聞記者や雑誌編集者等を納得させなければ書いてもらえないわけだし、コレクションにいたっては、お金を出して買いたい!と思わせる作品でなければならないのだった。

作品を発表するというのは、毎回、勝負なのだなあとつくづく考えさせられたのであった。

イヴァさんがわざわざ日本に来て作品を発表するというのも彼女の「勝負」なのである。

気合い入れなくちゃな!!

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2016年11月17日 (木)

セルビアのトマト

この間、美学校でのレクチャーについてちょっと報告したんだけど、セルビアの食べ物のことに話題が及んだときに、大使館のイェレナさんとわたしの意見が一致して嬉しかったことを思い出す。それは、セルビアのトマトが美味しい!、ということと日本のトマトは不味い!ということなのである。

わたしは、もしまたセルビアに行ったとしたら何を食べたいですか、と訊かれたら、真っ先に思い浮かべるのはトマトなのである。

いやあ、美味しかったのよセルビアのトマト。昔の日本のトマトもこれくらい美味しかったような気がする。野性味があって、決して甘くはなく水っぽくもない。このトマトを食べたら元気になるぜ!と言いたい。

日本のトマトは値段が高くて、必要以上に甘くて、不味いのである。これをずっと食べていたら病気になるような気さえするのだが、日本に居る限りこれを我慢して食べなければならないのだろうな…

いわゆる路地ものという作物が減って、みんなビニールハウスで育てているからこういうことになるんじゃないかな。

この間、セルビアから山崎洋さんが来て、大阪大学で研究員として日本に来ている佳代子さんとで二人を囲む会があったのだけれど、そのときに洋さんは、最近では、セルビアもだんだん日本みたいになりつつあるよと言っていたが、どこでも効率と儲けが優先する世の中なのであろう。セルビアのトマトが美味しいうちにまたセルビアに行きたいものである。

トマトのほかに美味しい野菜はパプリカである。ピーマンのでかいやつね。パプリカはセルビアの代表的な野菜といっていいかもしれない。普通のパプリカは大きいといってもせいぜい10cmというところではないだろうか。しかし、セルビアのパプリカはゆうに20cm以上はあり、女性の靴くらい大きいのである。これを縦半分に切って焼く。そしてそれをオリーブ油に漬け込んで味付けする。のだろうな、とわたしは想像する。これを皿に1枚載ったのが出てくる。ステーキを食べる要領で、ナイフで切り刻んでフォークで口に入れるのである。

非常に美味である。しかし、みなさん、セルビアに行ってこれを出されたら、おいしい!とか言って調子に乗って全部食べるのは(わたしは)止めたほうがいいと思う。なぜなら、このパプリカを1枚食べてしまったら、それだけで満腹になってしまい、次に出てくる料理に手が出なくなる恐れがあるからである。

わたしは最近、パプリカを縦に切ってスティック状にして、これでマヨネーズを掬ってぱりぱり齧るのにはまっている。野菜は生で食べるのが美味しいね。大根も同じようにして食べている。大根の小さくて赤くて丸い、日本ではラディッシュと呼ばれているあれね、あれもわたしは大好物である。セルビアのラディッシュはでかくて、野球のボールくらいあった(ちょっと大袈裟かな…)。

サルトルの『嘔吐』の主人公は、貧乏なので、図書館で一日過ごして、夜ビールを飲むのだが、肉とかソーセージとかそんなつまみをたのむことができないで、野菜を齧っていたが、その野菜というのがラディッシュだったような記憶があるが、どうなんだろう。ラディッシュを齧るたびにわたしはサルトルを思い出すのだ。

セルビアは野菜だけでなく肉も美味しい。

以前、ミレナさんがステップスで個展をしたときに、「でですけ」で焼肉をご馳走して、「どう?」と訊いた。ここの和牛はA5ランクなので、自信をもっていたのだが、「たしかにたいへん美味しいと思う。でも、セルビアの牛肉はもっと美味しい」と言うのだった。

昨年セルビアに行って肉を食べたときに、その意味するところを了解した。たぶん、「美味しい」の意味というか、方向性がぜんぜん違うのである。日本人は、「甘い」と「柔らかい」が、食べ物の評価基準になっている。そういう意味では和牛は美味しいのであるが、セルビアのお肉の評価基準は自然の味だったり、野性味だったりするのではないだろうかと思った。牛肉も豚肉も鶏肉も、野生の味がした。これを食べてしまうと日本の肉は、何かもの足りないのだ。

ついでだから、セルビアの食べ物をもう一つ。前にも書いたかも知れないが、カイマックという食べ物があって、これが夢のような味なのである。見た目はヨーグルトか、クリームチーズのようである。これは生乳を沸かして、表面にできる薄皮があるでしょ?あれを集めて、それを醗酵させるかなんかして作るんだな。チーズのようにはくせがなくて、ヨーグルトのようにあっさりしているわけでもなく、滋味豊かな味があるのである。そのままスプーンで食べてもいいし、パンに塗ってもいけるのである。

いわゆる市販の牛乳を使ってもカイマックは作れない。生乳でないとダメらしい。

お腹空いちゃったな…

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2016年11月14日 (月)

萩谷 将司 展 スタート

今回の萩谷作品は、色調が、以前よりもさらにグレーが強くなっている気がする。グレーというよりは黒に近くなっている。

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暗さが透きとおっている。

「いつも悲しいふりをする」 キャンバスに油彩 91.0×116.7cm 2015年 ¥400,000

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風景に感情が入る。

感情を入れようとしているのではなく、ただ風景を描写することに徹することで生れてくるなにか孤独に似た悲しさがあるのだ。

斉藤茂吉の「写生」とどこか通じ合う老成感があるのだが、萩谷はまだ29歳である。

「不自然なくらい普通に思えた」 キャンバスに油彩 53.0×65.2cm 2016年 ¥100,000

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「当たり前のことを言うように」 キャンバスに油彩 12.3×16.5cm 2016年 ¥10,000

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「やがては忘れてしまうものだよ」 キャンバスに油彩 38.0×45.5cm 2016年 ¥50,000

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動物はほとんど姿を消して、人物は一人もいない風景が、ただそこにある。この風景を見ているのは、作者なのか、あなたなのか、あるいはわれわれの知らない誰かなのだろうか。

「嘘ではないのだろうけれど」 キャンバスに油彩 22.0×27.3cm 2016年 ¥30,000

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2016年11月12日 (土)

パーティーはあと2回

今年もあとわずかになってしまいました。今週の三輪田めぐみ展のあとは、萩谷 将司、イヴァ・ハラディス、小山 悦子、霜田 誠二の4本だけです。

来週は萩谷 将司 展

「百兵衛」という季刊の美術雑誌があり、毎号、各ギャラリーの若手推薦作家を紹介するコーナーがあります。Stepsもスペースを貰っていて、今まで数名の作家を紹介してきたのですが、来年1月発行の第40号では、ステップスは萩谷君を紹介します。その紹介文をわたしが短く書いたので、それを写してみます。

「夜が明ける直前の空、日没後、闇が訪れる前の薄暮。萩谷は、執拗にこの束の間の時間帯を追いかける。木や湖や動物たちの輪郭をやっと捕らえられるような暗がりに置かれると、われわれは、否応なく存在の不確かさの空漠のなかに放り込まれてしまうのである。それは懐かしくもあり、不安でもある。」

萩谷 将司 展

11月14日(月)-19日(土)

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萩谷君は金曜の夕方と土曜日全日在廊予定です。

萩谷君は今年のシェル美術賞にも入選していて、展覧会が12月に国立新美術館で開催されます。これも後日紹介をしたいと思います。

その後の展覧会ではパーティーが2つあります。またお知らせは近くなったらいたしますが、予告をしておきたいと思います。

①イヴァ・ハラディス展 パーティー

11月21日(月) 17:00-19:00

イヴァさんもサンフランシスコから来日しますので、ぜひ交流をしてください。

②小山 悦子 展 パーティー

12月5日(月) 17:00-19:00

小山さんが手作りのおつまみを用意して待っていますので、お楽しみに!

霜田 誠二 展はパーティーはありませんが、パフォーマンスが3回あります。これもよろしくご参加いただきたいと思います。12月22・23・24日。

☆展覧会案内

「平石 裕 展」

11月14日(月)-26日(土)

SPC GALLERY(中央区日本橋兜町9-7 SPCビル3F)

「永井 研治 展」

11月25日(金)-12月22日(木) 日曜休館

武蔵野美術大学美術館 展示室3

永井さんは武蔵野美大の版画の先生。セルビアでも展覧会をしています。

「宇野 和幸 展」

12月19日(月)-27日(火)

巷房・1・2・階段下

「ジョイデブ・ロアジャと日本を遊ぶ会」

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11月25日(金)17:00-20:00

絵画展 17:00-19:00

パーティー 19:00-20:00

26日(土)13:00-21:00

絵画展 13:00-18:00

トーク 18:00-18:40

パフォーマンス 19:00-21:00

27日(日)12:00-18:00

絵画展 12:00-15:00

トーク 15:00-15:40

パフォーマンス 16:00-18:00

絵画展は無料ですが、トーク、パフォーマンスは入場料が必要です。

一般・2500円/学生・2200円

会場:キッド・アイラック・アート・ホール5階ギャラリー

問合せ/申込 nipaf@avis.ne.jp

霜田誠二が企画しています。

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