2020年7月 4日 (土)

吉岡個展は水曜から

新型コロナ感染者が増えていて心配ですが、わたしの個展は予定通り行ないます。スタートが水曜ですのでご注意ください。

吉岡まさみ展

7月8日(水)-18日(土) 日曜休廊

12:00-19:00(土曜日は17:00まで)

パーティーはありません。

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ギャラリー内にテープインスタレーション1点と、事務所にスクラッチドローイング(板に彫刻刀で描いて着色したもの)を20点展示します。

搬入作業は明日。テーピングスタッフは、甲斐千香子・唐詩薏・下田哲也の3人。最近下田君は、名前を下田から霜田にした。霜田誠二の影響があるらしい。

評論家の平井亮一氏から電話。今回のわたしの個展は見に行くことができないけどゴメンということだった。90歳に近いこともあり、コロナが恐いということだった。気をつけてくださいね。

面白い写真をお見せします。

上條さんがギャラリーで作品に手を加えているところ。鉛筆を持ってきて{気になるのよお」と言いながら、どんどん描き込んでいる。

作品に対する執念がすごいね。

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一日雨かなあと思っていたが、今銀座は晴れている。九州は大雨で大変みたいだね…

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2020年7月 2日 (木)

副都心線

7月1日(水)。

女子医大の糖尿病センターの診察が午前中にあって、雨の降り方もたいしたことなかったので、横浜まで行ってみることにする。アトリエ・Kの「selection」を見るため。新宿から横浜までどうやって行くか。新宿駅から湘南新宿ラインに乗って横浜まで行くか。東京か品川に出て総武線で横浜へ、という手もあるのだが、新宿三丁目から副都心線に乗るという方法を見つけた。副都心線って乗ったことがない。どうかなあ。年をとると新しいことをやりたくなくなるのだが、初めて乗る電車というのも引きぎみになる。若いときなら、おう、楽しそうとか思って口笛を吹きながら(吹かないけど)乗ると思うのだが、どうも足が重い。しかし、副都心線に乗ると東横線を通り、みなとみらい線に入り、終点は元町・中華街駅である。この駅からアトリエ・Kは歩いて行けるはずである。これは行ってみるしかないだろう。曙橋から新宿線で隣りの新宿三丁目まで行って、副都心線に乗り換える。駅員さんに、元町・中華街まで行きたいんですが、というと、3番線ですと教えてくれる。東横線に入ると、昔懐かしい駅を通過した。祐天寺とか自由が丘とか。自由が丘にある美術の予備校に1年間通ったなあ。電車の中にある路線図を見てみると、あれ?こんなにたくさん駅があるんだ。これは各駅停車じゃなくて、急行に乗るべきだったなあ。でもまあいいや、本を読みながらのんびり行こう。

今日は『スタインベック短編集』を持ってきた。『隔離の島』は重いのよ。面白い作品があった。「蛇」という。

フィリップス博士は生物学者で、研究所でいろんな実験をしている。ネズミやネコ、蛇もたくさん飼っている。箱に入った猫の部屋にガスを入れる。ネコは暴れるが、しばらくすると静かになる。ドアを叩く人がいるので出てみると、一人の女の人が立っている。ちょっといいですかと言うのだが、今忙しいからと断ると、待っていますと言う。博士は死んだネコの解剖を始めるが、女は全く動じる様子はない。顔を見ると、唇と顎の先端までの長さが異様に短い顔である。手が空いた博士は、ところで何の用ですか?と訊くと女はこう訊いてくる。

「ここに蛇はいますか?」

「いますよガラガラ蛇が」

「雄の蛇はいますか?」

「いますよ」

「どうやってそれが雄かどうかわかるんですか?」

「交尾しているところを見たので区別がつくようになったんです」

「そのオスを売ってください」

女は雄の蛇を一匹買うのだが、それを持ち帰らずにそのまま研究所で預かっていてほしいという。ときどき見に来ます。それなら蛇を買わなくてもいいんじゃないですか?

「いいえ、自分のものにしたいんです」

博士は蛇を5ドルで売る。 

「蛇は何を食べますか?」

「ここでは白鼠を食べさせています」

「ネズミを売ってください。蛇が食べるところが見たいんです」

このあとどうなるのかどきどきしながらページをめくったら、ちょうど電車が終点の元町・中華街に着いたので、本を閉じて電車を降りる。

道がわかるかなあと不安だったが、看板があり、元町、石川町方面とあったので、すぐにわかった。

アトリエ・K到着。

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selection、8人展

Steps 関係の3人もしっかり展示してある。

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中澤 小智子

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小口 あや

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唐 詩薏

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帰りは石川町から横浜に出て、横須賀線で帰った。

 

 

 

 

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2020年6月29日 (月)

ものの見方

6月27日(土)

土曜日はギャラリーは5時に終了。そのあと、中村宏太作品の撮影を寺崎誠三が行う。ガラス作品をアクリルの額に入れてあるので、撮影に手こずっている。時間がかかるかもしれない。

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バルコニーに西山真実さんのお友達が何人かいて、帰ろうとしていたが、わたしが「撮影で時間がかかってるから、ゆっくりしてってもいいですよ」というと、テーブルに戻って談笑を続けていた。

事務所では、上條陽子がワインを飲んでいて、関水さんが相手をしていた。

土曜日は5時に終ることを知らなくて、7時までだと思っていた上條さんは、ずっとおしゃべりをしていて楽しかった。安井賞を獲ったときの話が興味深かった。女性で初めての受賞ということで、いろんなところからの風当たりが強かったそうだ。かなりひどいことを言われた。「女が絵を描くもんじゃない」などと言う人までいたそうである。今ではちょっと考えられないが、まだ若手の女性が獲ったことで、妬みや僻みもあったのだろうと思われる。ノイローゼ気味になってしまったが、安井賞を獲ったことで、フランスに1年間留学できたので、日本から「逃げる」ことができた。フランスから帰ってきて、さてこれからどうしようかと悩んで、どんな絵を描いたらいいのかというプレッシャーもあるなかで、所属していた団体との軋轢などもあり、彼女は団体を辞め、そうだ、なんでも自由にやろう!と決めたそうである。現代美術をやろう、と思ったわけではなく、好き勝手にやっていて、気づいたら現代美術の真っ只中に居たということらしい。

上條さんは、ギャラリーは5時までなんですよと教えると

「あらそうなの?じゃ帰ろうっと」

と階段を降りて行った。

撮影も終ったので、電気を点けてドアを開けると、バルコニーに居た西山さんのお友達が入ってきて、改めて西山作品を見て、購入してくれた。

ル・クレジオ 『隔離の島』 を半分ほど読み進んだ。なんだかため息が出る。疲れるからではなくて、あまりにも美しいからである。天然痘で小さな島に隔離されて、食べ物も水も乏しいなかで、悲惨な生活を続けていて、死者も出て、みんなで火葬したりするのだが、そんな暗く苦しい状態を描写しているのに、なぜか全体としては幻想的な詩を読んでいるような、不思議な時間の中に招きいれられるのだ。

どんなものや状況を描写しても、結局は作者の「人柄」が出てしまうわけで、美しい描写ができるというのは、作者の魂の美しさを反映したものなのだと思う。

こんなふうである。

「だが、ぼくは炎を燃やしつづけている。それを消したくない。隔離所の建物の黒い壁、太陽のきらめきと海、死に取り囲まれた牢獄のようだが、すべてがぼくに復讐の火花を送り返してくる。ぼくは自分の内奥に、この島の玄武岩でできた心臓を宿している。」

昨日、ロベルト・ロンギの『イタリア絵画史』(ちくま学芸文庫)を買った。

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のっけから、刺激的な言葉が並ぶ。

「いまさら言うまでもないが、芸術とは現実の模倣ではなく、個人的な現実解釈である。

……

画家は、明確な枠組みを有する濃密な視点から世界を見る。その視点こそかれの絵画的見方であり、視覚的現実の果てしないカオスはその見方へと還元されるのである。

美術において常に繰り返される方程式は次のようなものだ。すなわち、

芸術-様式=見方    」

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2020年6月25日 (木)

FAVORITE 2020 作品

☆上條陽子

初日、上條は作品の仕上げをした。細部を補正している。

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年の話をするのもなんだが、彼女はわたしに

「吉岡さん、あんた若いわよ」

という。そりゃそうである。上條はわたしの20歳上である。日影眩と同い年かも。

今回のインスタレーションはタイトルが 「マグマ」 だったのだが、制作途中で変更した。

「コロナ蔓延」 紙にアクリル 280×320cm(インスタレーション) 2020

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迫力に圧倒される。

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上條陽子を知らない方もいるかも知れない。その昔、上條陽子は、少し抽象がかった具象画を描いていた。美術の芥川賞と言われている安井賞を獲ったときは、安井賞を獲った初めての女性作家ということで話題になった。そのまま絵を描いていたら、絵もばんばん売れて、裕福に暮らすことになったはずであるが、何を思ったのか、何年か後に彼女はいきなり現代美術に乗り込んできた。そしてそのまま、現代美術作家として歩いてきて現在に至るのである。

「現代美術に来たら貧乏になっちゃった」

と言いながら、元に戻るつもりはない。生き生きしているのである。

今回は、ドローイング作品を4点持ってきた。作品をわたしに渡しながら

「吉岡さんに合格点もらえなかったら持って帰る」

と言う。何を言ってるんだか。

さすが安井賞作家である。力強い作品からは、元気と勇気をもらえる。わたしは大きい声で

「合格」

と言った。

「マスク 2」 紙に鉛筆 25.0×21.0cm 2020 ¥70,000

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「マスク 4」 紙に鉛筆 22.0×16.0cm 2020 ¥50,000

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上條陽子で忘れてはならないのは、海外作家との交流である。とくにパレスチナ作家と、子どもたちのためのワークショップを毎年のように開催していることは、特筆すべき業績であるだろう。ガザ地区では、「この子達は生まれてから一度も絵を描いたことがありません」という言葉を聞くことになる。しかし、ガザ地区の子供たちは、日本の子どもたちよりも明るく元気である、と上條は言う。昨年は、ガザの3人の画家を日本に呼んで展覧会を開いた。

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☆関水由美子

個展で作品を発表し始めてまだ日も浅いので、わたしが

「まだ若手だね」

と言うと、ずっと

「わたしは若手だから」

といい続けているのだが、関水はわたしと同い年である。いつまで若手でいるのか楽しみである。

「updraft-tommorow's sky Ⅰ」 和紙にアクリル・インク 150×70cm 2020 ¥150,000

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今まで筆をつかわずに流し込みのような技法で作ってきたが、今回は筆のストロークを使ってみた。いろんなことに挑戦しているということは、若手なのかもしれない。

「updraft-wondering」 紙にアクリル・インク 25.7×18.2cm 2020 ¥20,000

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「updraft-to the sky Ⅱ」 紙にアクリル・インク 18.0×14.0cm 2020 ¥10,000

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☆西山真実

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Stepsで発表している作家に、金澤麻由子というパグを描き、映像も手がける作家がいる。ご存知の方は、おそらくわかっているだろうが、金澤は「超」のつく天然である。

昔、たぶん飲み会の席だったと思うのだが、金澤は、西山真実に向かって

「西山さんて天然ですね」

と言い、周りにいたわたしたちが固まってしまったことを思い出す。いやいやいや、天然は君だよ!と全員に言われた。

わたしは、西山真実が天然ではない、と言っているわけではない。彼女は立派な天然である。二人とも同じくらい天然なのである。

天然の作家にはかなわない。計算も、欲も、見栄もないからだ。最強である。

今回の西山作品の素材を見ると、リトグラフとある。絵とことばを組み合わせた作品なのだが、リトグラフで絵画部分を刷って、文字は手描きかと思ったのだが、なんと逆で、絵は手描きで、文字をリトグラフで刷ってあるのである。憎い。

「川 さあ深呼吸しよう」 和紙・白亜・油・パステル・水彩・リトグラフ 35.7×21.2cm 2020 ¥40,000(売約済)

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「夕方 さむ空 赤い舟 2019,6,6-18:36-18:45」 和紙・白亜・油・パステル・リトグラフ 15.0×20.8cm 2020 ¥27,000

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☆中村宏太

「弾丸」の新作を持ち込んできた。9枚のガラスに弾丸を撃ち込んである。以前は、金属板やシリコンにライフルや散弾銃で弾丸を撃ち込んだが、今回はガラスである。え?ガラスを銃で撃ったら、粉々に砕けるんじゃないのと思うわけだが、ガラスの表面にフィルムを貼って、散乱を防いでいる。

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なんか色がついてるような気がするでしょ。ガラスもフィルムも透明なのに色がついているのである。じつは、使用しているフィルムが偏光フィルムで、弾丸を撃ち込んでガラスが割れたときに、その衝撃でフィルムに微妙なよじれができて、こんなふうな色になるのである。作家本人も予想していなかったそうである。

「境界」 弾丸・ガラス・フィルム 45.0×45.0×1.0cm 2019 ¥400,000

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え?40万円?ひとつ?と驚く方もいるかと思うが、ひとつ40万円である。なぜそういう値段なのかご説明いたしましょう。

日本では射撃でこういう作品を作ることはできないので、中村は、ハワイまで行くのである。ハワイまでの渡航費と滞在費がかかる。ガラスの輸送費も往復でかなりかかるはずである。重いので高いのだ。ハワイの射撃場を借りる。ガラスのセッティングをする。射撃の指導を受ける。日本に運んで額装する。これを全部合計すると、この値段じゃないとできないのである。

それにしても、本物の弾丸がつぶれて、ガラスにめり込んでいるのはすごい。

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☆寺崎誠三

全部で5点の作品を搬入した。

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すべて昔の作品である。バライタ紙にゼラチンシルバープリント。黒が美しい。

なぜ旧作ばかり、しかもかなり古い作品を持ってきたきたのか。それはつまり「自信作」ということなのである。

「GOMI TARO」 ゼラチンシルバープリント 50.0×33.0cm 1991 ¥300,000(額別)

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30年前の五味太郎である。若い。寺崎と五味さんはテニス友達なので、こんな写真が撮れてしまうのである。

「IGETA HIROKO 2」 ゼラチンシルバープリント 33.0×50.0cm 2002 ¥300,000(額別)

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人形作家、井桁裕子の作品を撮った。これも20年前になるんだねえ。

FAVORITE 2020 は7月4日(土)まで。

昨日は作家全員が顔を見せたが、次に全員が揃うのは明後日27日(土)になりそうである。

 

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2020年6月21日 (日)

FAVORITE 展 は水曜から

6月21日(日)

昼からFAVORITE 展 の搬入。

寺崎誠三は、過去の作品からベスト5を選んで飾る。

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関水さんは大作を2点。

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西山真実は小品をたくさん並べている。

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元気な上條さんは、あっという間に作品を展開する。

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ガラスに弾丸を撃ち込んだ作品を慎重に展示しているのは中村宏太。

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今、夕方5時半を過ぎたが、搬入作業はまだ続いている。

FAVORITE 2020 は6月24日(水)からです。

上條陽子/関水由美子/寺崎誠三/中村宏太/西山真実

初日は作家さんたちが来る予定です。

パーティーはありません。

☆展覧会

「中村ミナトのジュエリー」

6/29(月)-7/11(土) 7/5(日)休廊

AC,GALLERY (銀座5-5-9 阿部ビル4F)

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「6人による表現」

関水英司さんが参加しています。

6/29(月)-7/4(土)

うしお画廊 (銀座7-11-6 GINZA ISONO ビル3F)

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「山本まり子 展」

7/13(月)-18(土)

藍画廊 (銀座 1-5-2 西勢ビル 2F)

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2020年6月18日 (木)

隔離の島

6月18日(水)

今日は、わたしはギャラリーをお休み。一日のんびりする。アトリエの大掃除の続きをやる。床にはホコリが溜まり、大きな段ボール箱が散乱しているのだが、ガラス窓の汚れがひどいので、ガラス拭きをやることにした。掃除の手順としては、ガラス拭きなどは最後だろうとは思うのだが、気になるところを優先したくなるのである。拭き終わると気分もすっきり。

アイスコーヒーを飲みながら煙草をふかして休憩していると、携帯が鳴る。倉重光則から電話である。

「別に用事はないんだけどさあ…」

とまるで女子高生のようである。倉重は、寂しくなるといろんな人に電話するのである。横須賀美術館の個展の準備で忙しいようだった。

ル・クレジオ 『隔離の島』 を読み進めている。この作品は、半自伝的小説三部作(『黄金探索者』、『隔離の島』、『はじまりの時』)のまん中にあたる。三部作のまん中だけを出版するというのはどういうことなのだろう。『隔離の島』 というタイトルからもわかるように、感染症に関する小説なので、「今」ということなのだろう。

本屋さんには感染症に関する本とか、カミュの 『ペスト』 が平積みにされていたりするわけで、この本を出版したちくま書房も、このタイミングを逃さなかったので、どうよ、と思っているだろう。

『隔離の島』 は1995年の作品だが、今回ちくま文庫に入ったのは、発効日をみると、2020年6月10日とある。1週間前である。翻訳者の中地義和さんは、文庫版のための訳者あとがきというのを書いている。日付を見ると2020年4月とある。

「…目下、「新型コロナウイルス」が猖獗を極めている。本書の人物たちを苛むのは天然痘あるが、小説が位置する十九世紀には欧米ではすでにワクチンが開発され、予防接種(種痘)が実施されていた。………メディアが、感染者や死者の日々肥大する数としてウイルスの脅威を訴え、感染拡大を防ぐための外出自粛を説く時代の読者に、十九世紀末、インド洋上の小島で作家の祖父の身に起きた実話に基づくこのフィクション、人間が地を這うようにして生き延び、生まれ変わる、陰惨にして壮麗な物語は、はたして何を伝えるだろうか。」

さて、この小説であるが、最初に、主な登場人物というページがあり、20人以上の人の説明書きが載っている。これを見ただけで、ありゃあ!これは大変だワ、と慌てる。登場人物の説明をないがしろにしてはいけない。ここをちゃんと頭に入れておかないまま読み進めると、大変なことになるということを、経験上知っているのである。読書というのは、登山みたいなもので、物語の頂上を目指して登場人物を確認しながら登っていくのだが、途中で見失ってしまうと、遭難してしまうか、断念して下山を余儀なくされるのである。

でも、なかなか憶えられない。読みながら、途中で何度も最初のページに戻ることになるのだろう。登場人物だけではなく、家系図などもあり、登場人物の関係も押さえておかないと、あれ?これ誰だっけ?ということになる。地図もついている。モーリシャス島とフラット島である。これもある程度覚えなくてはならない。なんか大変なのであるが、慣れると楽しい。「訳注」というのもいちばん後ろについていて、1ページに1つくらいあるので、これも大変なのだが、「注」というのは、わたしは好きなのよ。注を読むのって楽しい。翻訳者とか解説者の力量が現われるので面白いのである。とにかく、ページを戻ったり進んだりするのが面倒なのだが、読み始めると、物語の中に引き込まれてしまう。さすがに、ル・クレジオである。

☆展覧会案内

K

「selection」

6月26日(金)-7月7日(火) 6/29(月)休廊

ATELIER・K (横浜市中区石川町 1-6 三甚ビル 3F)

8人展ですが、Steps 経由の作家が3人参加しています。小口あや/中澤小智子/TANG SHIYI(唐詩薏)

 

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2020年6月15日 (月)

うのぜみ展スタート

今日は気温が33度になるという予報でどうなるか分からないが、とにかくギャラリーをスタートさせられたことは嬉しい。土曜日に搬入がおわったときに、宇野さんが、「ギャラリーが開いてるっていいことだねえ…」としみじみと言っていた。

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ビールを飲みながら

「ボクの居るべき場所は、大学じゃなくて、ここ(ギャラリー)だと思う」

とつぶやいていた。作家魂か。

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今回は、生徒さんは東京に来られないが、魂をこめた作品が並んでいるので、ぜひ見に来てください。

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宇野和幸 「Landscape of vestiges 1」 和紙にシンナープリント、墨、アクリル、他 24.0×267.0cm 2020 ¥450,000

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宇野和幸 「Landscape of vestiges 3」 和紙にシンナープリント、墨、アクリル、コラージュ、他 13.0×23.0cm 2020 ¥30,000

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蘇理愛花 「mud」 スタイロフォーム、他 90.0×80.0×26.0cm 2020 ¥80,000

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蘇理愛花 「shine」 板、スタイロフォーム、テンペラ、アルキド樹脂絵の具 18.0×14.0×13.0cm 2020 ¥8,000

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勝木有香 「Flow area」 紙にシルクスクリーン 72.8×103.0cm 2020 ¥100,000(額込)

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勝木有香 「He is a fidgety man-2」 紙にシルクスクリーン 59.4×42.0cm 2020 ¥30,000

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若い作家の作品は、やっぱり新鮮で面白い。

クッツェー 『鉄の時代』 読了。

うーん、とうなってしまう。なんという迫力だろう。

「この人には語るべき物語があることは、以前からわかっていた。いま彼は手の指のことを糸口にして、それを語りはじめた。水夫の物語だ。それをわたしが信じるか?どうでもいいのだ、そんなことは。核となる部分に幾ばくかの真実を含まない嘘など存在しないのだから。人はひたすら、話に耳を傾けるすべを学ぶべきなのだ。」

クッツェーは南アフリカの作家で、アパルトヘイトを背景にした、緊張感あふれる作品を作り出しているが、アパルトヘイトがテーマではない。もっと、人間の根源まで降りていくような世界が展開されるのだ。

なんだか、このところ、面白い文庫本が出版されているような気がする。次に読むのは

ル・クレジオ 『隔離の島』 (ちくま文庫)

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現在、存命作家で面白いのは、クッツェー、ル・クレジオ、ミラン・クンデラ、ミシェル・ウエルベック あたりかなあ。ただ、まだ日本で翻訳されていない作家はたくさんいるはずなのだが…

どうやって紹介して、評価されるようになるのか。難しいところである。

美術もなかなかねえ……

 

 

 

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2020年6月12日 (金)

さよならパーティー荒らし

昨日と一昨日は、自宅アトリエの掃除をやった。やったといっても、体力がついていかないので、一日3時間か4時間がせいぜいである。ものすごく汗をかいた。ようやく床が見えてきて、床拭きも少しできたので、一安心。それでも半分もできていないのが現状である。去年掃除をしたときは、45リットルのごみ袋が30くらいになったが、今回は2日だけで10袋である。ほとんどが、書類、段ボールなどの紙である。気が遠くなるくらいの量なのだが、少しずつやっていけばいつかは終るだろうという希望を持っている。

昔の作品がたくさん出てきた。予備校時代の木炭デッサンとか、大学時代のシルクスクリーンの作品とか…デッサン下手くそ。むかしの作品を見ると、けっこうたくさん作ってたんだなあと驚く。思い切って全部捨てることにする。

今日はこれからギャラリーの掃除をする。明日は「うのぜみ展」の搬入なので、準備をしなくてはならない。作品は、今日、宅配便で届く予定である。搬入は3人分を宇野さん一人でやる。いっしょに展示する嵯峨美術大学の学生2人は、コロナ用心のため、東京に来るということは難しいので、会期中も在廊の予定はない。

初日のパーティーもやらない。どこのギャラリーもパーティーは控えるはずである。少なくとも今年はパーティーは無しである。来年もどうなるかわからない。パーティーだけではなく、トークショーなどのイベントも消えるね。まあ、様子を見ながら、できることを考えていこう。

パーティー荒らしの方々はどうするのだろうか。どこのギャラリーを覗いてもパーティーをやってるところはないから、もう姿を消してしまうのだろうか。

さようなら、パーティ荒らし!

来週からようやく展覧会をやる。8週間ぶりである、みなさん顔をみせてくださいね。

うのぜみ展 「ブレと滲みと不定形」

6月15日(月)-20日(土)

宇野 和幸/勝木 有香/蘇理 愛花

初日は宇野さん在廊します。

飲み物、食べ物は提供しませんのでご了承ください。

安部公房 『けものたちは故郷をめざす』 読了。

「…つまり、罠からのがれようとすること自体が、罠にかかることなのだ。…」

「…ともかく、あんたも、このことだけはよく憶えていたほうがいいよ。命知らずっていうのはな、他人の命を知らないってことなんだ。自分の命じゃない。自分の命は、人一倍大事にする連中のことさ………だから、あんただって、命知らずの仲間入りするつもりなら、もっと自分の命を大切にすることだね…」

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2020年6月 6日 (土)

元祖カツカレー

6月5日(金)

午前中に、作品の最終仕上げをした。ようやく終ったら昼なっていて、お腹が空いたので、昼食を食べに行こうとギャラリーを出る。なにがいいかなあ。奮発して焼肉ランチにするかなあ、とメニューを考えながら階段を降りてビルの外に出ると、なんかこの人知ってるぞ、という顔の人が通りかかる。マスクをしているが、日影眩であることがわたしにはわかった。たぶん誰にでもわかるだろう。

「あら、日影さん!」

「おお!吉岡さん」

偶然の出会いである。ギャラリーを廻っているわけではなく、ただ、銀座に来たから、ステップスの前を通って様子を見ていこうと思ったのだという。

「これから昼食べに行こうと思ってさ。カレーの店があるんだよ」

「ああ、そう。カレーやさんてどこ?」

「すぐそこだよ」

立ち食い蕎麦のよもだそばのカレーかな、と思ったのだが、日影さんは、カツカレーだという。よもだそばにはカツカレーはない。

「元祖カツカレーの店なんだよ」

というのだ。

「わたしもランチにしようと思ってるところだから、いっしょに行きましょう」

3丁目のさくら水産の向かいにその店はあった。日影さんは通院の帰りで、昼はカツカレーにしようと考えて銀座に来たのだそうだ。煉瓦亭の並びである。店の名前は「銀座スイス」、こんなところにこんな店があったのね。

こじんまりとした店だが、落ち着いた雰囲気の洋食の店である。ここが元祖カツカレーの店らしい。日本で初めてカツカレーを出したのがここなのだそうである。読売巨人軍の何とかさんが、カレーにカツを載せてくれ、と言ったのがそもそもの始まりである。壁にそう書いてあった。

メニューの名前も「元祖カツカレー」である。二人ともそれを頼む。

日影さんは、そうだ写真撮らなくちゃと、わたしの写真を撮ったので、わたしも日影さんの写真を撮る。

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おお、なかなか美味しい。カレーの味が深い。カツは、いい肉を使っているのがわかる。クリストが亡くなったらしいね、という話をしながら食べる。

また来ようかな。

ロサンゼルスのグループ展のカタログが届く。去年の8月にやった7人展である。最初は作る予定はなかったのだが、やっぱり作っておこうよ、ということになって、勝又さんのデザインで作ったのである。費用はメンバーがお金を出し合った。

「表現するグリッド上の放浪者達」

2019年 8月1日ー25日                       

勝又豊子/神田毎実/倉重光則/小林誠/千崎千恵夫/中村圭/吉岡まさみ

こんな感じである。みんなそれぞれコメントを寄せている。

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教文館を覗いたら、またまた面白そうな本を見つけてしまったので買う。

河盛好蔵 『人とつき合う法』 (新潮文庫)

J・M・クッツェー 『鉄の時代』 (河出文庫)

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河盛好蔵は以前 『藤村のパリ』 が面白かったので買ってみた。『人とつき合う法』 は60年前の本だよ。

クッツェーは、この人の本は全部面白い。

 

 

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2020年6月 4日 (木)

鯖のスモーク

昨日は女子医大の眼科受診で曙橋まで。

ちょうどお昼だったので駅前でランチを食べることにする。

豚カツと考えたが、今日は揚げ物という気分ではないので、隣りのお店に入ってみることにする。

OLIVEという店で、夜は飲み屋かなという雰囲気。地下まで階段を降りてドアを開けると、レストランバーのようなテーブルと椅子が少し高めに設定してある、洋風な造り。昼なのにお客さんは一人もいない。ガムランの音楽が流れていて、アジア風でもある。一人ですと言うと、お好きなところへというので、6人がけの大きなテーブルに腰を落ち着ける。カウンターの黒板に書いてあるランチメニューには、豚肉のしょうが焼きとか、クリームコロッケとかあったが、鯖のスモークというのがあったので、迷わず「鯖で…」と注文する。

水を飲みながら待っていたが、なかなか出てこない。鯖を燻製にしているところなのかな?鯖のほかに味噌汁とかお新香とか出てくる定食なのだろうか。しばらくすると、中年のおじさんが、カップスープを運んでくる。コンソメっぽいが、ワカメが浮かんでいる。一口飲む。美味しい。スープを飲みながら待ち続ける。お腹が空いてきたなあと思っているところへ、ようやくランチが到着。お待たせしました。(はい、待ちました)。おお、ワンプレートか。小さめの鯖の切り身が3切れ、ソースがかかっている。チャーハンの形をした白いご飯がドン。丼にご飯を入れてぱかっとひっくり返したような形。本当に丼を使ったのかもしれない。それにサラダがたっぷり載っている。さっそく鯖を一口。タルタルのようなソースがかかっているのだが、うっすらと黄色である。アジア系の香辛料の香りとかすかなカレー味。鯖は燻製が効いていて香ばしい。美味しいじゃん!ソースがいい。井之頭五郎の言葉を借りるなら、「ナイス・アシスト!」である。

「鯖美味しいですね」

というと

「うちはいい鯖を使ってるんですよね」

と、どや顔で答えるマスター。

思ったよりもボリュームがあり、お腹がふくれた。

マスターは、はい、これサービス、といいながら、アイスコーヒーを持ってきてくれる。

「お客さんいないからね… 今晩もお客さん来ないのかなあ。東京アラート出ちゃったしねえ」

わたしがお店を出るまで、お客さんは一人も入ってこなかった。

女子医大は、緊急事態宣言中も患者さんの数は減っていなかったのに、昨日は妙に患者が少なくて、診察は早めに終った。

さて、今日は、ギャラリーで、作品用の箱作り。

段ボール箱を使って作る。

まず、作品の大きさに合わせて、下図を鉛筆で書く。

Photo_20200604120401

これが意外と時間がかかる。

で、そのあと、線に沿ってカッターで切っていく。

Photo_20200604120601

折り目にも軽くカッターを入れて、形を整える。

Photo_20200604120701

白いガムテープを使って、組み立てる。

そうすると、こんなふうに完成するのである。

Photo_20200604120901

めでたし。

箱を一つ作るだけなら楽しいのだが、これを20個作るとなると、内職の作業みたいになってきて、辛くなってくる。

休みながら、少しずつやろうかな。

 

 

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